成長が進まなかった日本の半導体産業
だが、しばらくの間、日本の半導体産業は、厳しい局面にあったのは事実だ。
日本の半導体産業は、1980年代後半には、世界の半導体市場の50%を超えるシェアを持っていた。しかし、その後競争力を失い、現在では10%弱のシェアにまで落ちている。
しかも、2000年から2020年にかけて、世界の半導体市場は20兆円から、50兆円へと増加したが、日本では市場規模は成長せず4兆円規模のままで推移している。
とくに、キオクシアの早坂社長が指摘するのが、半導体産業人口の減少だ。
2000年には19万人だったものが、2020年には8万人まで減少しているのだ。
「理工系人材の減少や、半導体産業に直結する電気電子情報学科の人気の低下も影響している」と早坂社長は指摘する。
少し前までは半導体不況という言葉が先行し、日本の半導体産業にはマイナスのイメージがあったのも事実だ。子供が半導体産業に就職したいといっても、親が反対するというケースも少なくなかったという。学生だけでなく、親の世代にも、これからの半導体産業が魅力的な産業であることを理解してもらう必要があるだろう。CEATECでの展示はそうした狙いもある。
この連載の記事
-
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ -
第580回
ビジネス
コンカーの第2章は始まるのか、SAPの生成AIを使って効率的な経費精算を -
第579回
ビジネス
AIの筋トレはいまから始めるべし、マイクロソフト津坂社長がCopilotの議論から得たもの -
第578回
ビジネス
大赤字からの再起はかるバルミューダ、その足掛かりは? -
第577回
ビジネス
日本の強さは量子力学におけるトンネル効果があるため、量子と出会い、広げよう - この連載の一覧へ