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慶大、超音波で空中に浮かせた培養液で細胞の遺伝子導入に成功

2022年09月16日 06時23分更新

文● MIT Technology Review Japan

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慶應義塾大学の研究チームは、超音波で空中に浮揚させた培養液中で動物細胞への遺伝子導入が可能であることを実証した。容器を使わずに化学、生物学実験の実施が可能となり、プラスチック廃棄物の削減につながるという。

慶應義塾大学の研究チームは、超音波で空中に浮揚させた培養液中で動物細胞への遺伝子導入が可能であることを実証した。容器を使わずに化学、生物学実験の実施が可能となり、プラスチック廃棄物の削減につながるという。 研究チームは、超音波で浮揚させた液滴内に細胞を懸濁させ、その後4時間ほど浮揚させてトランスフェクション(動物細胞への核酸の導入)を進め、遺伝子導入効果を調査した。空気中で30分以上液滴を浮揚させると、水分が蒸発していくが、液滴をCMOSイメージセンサーを使用したカメラで監視し、減少した水分を継続的に補給して浮揚状態を維持した。 その結果、遺伝子導入効果はトランスフェクション時間の延長とともに向上し、一般的なトランスフェクション時間である4時間ほどの場合、静置した細胞と比較して3倍以上も効果が高まった。プラスミドDNAの取り込み量をリアルタイムPCRで調べたところ、試験管内で静置した細胞よりも3倍高く、導入効率の向上が発現活性につながっていることが明らかになった。つまり、空中に浮揚させることで、試験管内よりも遺伝子導入効果が高まったということになる。 研究チームによると、細胞外の物質を細胞が取り込む機構であるエンドサイトーシスの取り込み経路の統合が発生して、発現効率が高まった可能性があるという。超音波浮揚によって細胞特性の変化を誘発することが明らかになったとしており、超音波浮揚が細胞工学分野における新たな実験条件になる可能性があるとしている。 研究成果は8月26日、アドバンスト・サイエンス(Advanced Science)誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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