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Dropboxがオンラインイベント開催、フリーランス協会代表などが出席して魅力と課題を語る

フリーランスが「自由さ」を享受しつつトラブルを回避する方法とは

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 Dropbox Japanは2022年8月8日、オンラインイベント「フリーランスが示す働き方改革 ~新たな働き方を体現するフリーランスから学ぶ魅力と環境改善の必要性~」を開催した。

 「パラレルキャリア」「リスキリング」といった自律的なキャリア形成が社会的に要請される現在、フリーランスという働き方にはどんな魅力があり、どんな課題が残されているのか。同イベントでは、フリーランス協会代表、契約不履行や代金未払いなどのトラブルに詳しい弁護士、フリーランス経験のある起業家という登壇者それぞれの立場から、現在の実情やこれからの見通しが紹介された。

フリーランス協会 平田氏の基調講演スライドより。アフターコロナの働き方として、単に「働く場所」の多様化だけでなく「働く個人/チーム/組織」の変化も指摘する

パネルディスカッションの模様。左からDropbox Japan 代表取締役社長の梅田成二氏、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事の平田麻莉氏、ひかり総合法律事務所 弁護士の山田康成氏、meeTalk 代表取締役社長の山中直子氏

基調講演:「アフターコロナの働き方」を先行するフリーランス

 プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(以下、フリーランス協会と略記)代表理事の平田麻莉氏による基調講演では、同協会による多数のアンケート調査結果から、フリーランス当事者が現在の働き方をどう評価しているのか、フリーランスとして働くうえで何が課題になっているのか、フリーランス支援/保護政策はどこまで進捗しているのかといった、日本におけるフリーランスの現状が報告された。

プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事の平田麻莉氏

フリーランス協会は「国内最大規模のフリーランスネットワーク」として、フリーランスの活動環境整備に向けた政策提言、制度設計協力と制度の周知、福利厚生の提供などを行う非営利団体(一般社団法人)

 平田氏はまず、ひとくちに「フリーランス」と言っても実際にはさまざまな職種と働き方の人がいることを指摘する。特定の企業と雇用関係を持たない独立系フリーランスだけでなく、企業との雇用関係ももちながら副業としてフリーランスで働く人もいる。これらを包括するフリーランスの定義として、「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身のスキルや対価を提供して対価を得ている人」だと説明する。

フリーランス協会におけるフリーランスの定義。企業に勤めながらフリーランスとして副業の活動をする人もいる

 「フリーランスで働く醍醐味」とはなにか。フリーランス協会が会社員経験のある会員に実施した調査結果を見ると、過去の会社員時代と比較して「(働くことへの)満足度」が高いとする回答者は9割近くに上る。具体的に見ても「スキル/経験」「自由時間」「自己投資」「人脈」が「増えた」、「ストレス」「働く時間」が「減った」という回答が大半を占める。

 なお「収入」については「増えた」がやや多いという程度にとどまるが、これについては「子育てや介護との両立のために、時間の自由を求めてフリーランスになった方、収入が減ることを織り込み済みでフリーランスになった方も一部にいる結果だと思う」(平田氏)と説明する。

過去の会社員時代と比較して「満足度が上がった」と答えた人は9割近くに上る

 「アフターコロナの働き方」については、フリーランス、会社員の双方で、場所や時間にとらわれない働き方だけではなく「兼業/副業/複業の一般化」「企業の内外を自在に移動する働き方」への期待が高いという。「会社員の方からも、テレワークの導入によって副業を始めやすくなったという声を多く聞く」(平田氏)。

 さらにDropboxのような、リモートで働くチーム内のコラボレーションと管理を可能にするツールも多数登場しており、リモートワーク環境はますます快適になっている。

フリーランスに限らず会社員も、アフターコロナ時代における働き方の変化に対する期待度は高い

 こうした流れをふまえ、平田氏は「アフターコロナの働き方」として、働く場所の拡張だけでなく「流動化する個人」「プロジェクト化するチーム」「ネットワーク化する組織」といった動きにもつながるのではないかと語った。フリーランスは、そうした動きを先行した働き方とも言えるだろう。

 「アフターコロナにはワークプレイスが拡張していく。そうすると個人がもっと流動化して、物理的な場所(オフィス)だけでなく組織に対する意識も変化し、副業やプロボノといったさまざまなコミュニティに帰属する流動化が進む。さらに、チームはプロジェクトドリブンで集まり、ミッションを完遂したら解散するようなかたちになり、会社組織も中の人、外の人という壁を作るのではなく、どんどんネットワーク化して絡み合っていく。そういう未来が見えてきているのではないかと思う」(平田氏)

 もちろんフリーランスという働き方にも課題は多く残っている。フリーランスは事業者/個人事業主であり、働き方の裁量や経済的な自立性を手にすることができる一方で、企業労働者のように雇用関連の制度や労働基準法などで守られるわけではない。実際にフリーランスの課題認識を調査すると「出産や育児、介護などのセーフティネット」「健康保険組合」「厚生年金」といったセーフティネットを求める声は多い。また企業との契約における透明性、ルールの明確化、トラブル回避といったものも残されたテーマとなっている。

 平田氏は、こうしたさまざまな課題を解消するためにフリーランス協会として政府に対する働きかけを行ったり、福利厚生の仕組みを提供したりしていると紹介した。福利厚生面では「収入/けが/介護の保険」「弁護士費用保険」「提携業務SaaS/コワーキングスペース」「eラーニング」などが割安で利用できる会員向けサービスを提供しているという。

フリーランス当事者が考える課題と、現在の政策整備の進捗。ライフリスクに対するセーフティネット、企業との契約などにおける業務トラブル対策といった部分が中心だ

フリーランス協会としてさまざまな働きかけをおこなってきた。フリーランス保護のためのガイドラインや法律の整備も徐々に進んでおり、協会も協力していると説明した

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