以前は絵空事だった中国メーカー製パーツでのPC
中国ならではのスピード感で実現する可能性は否定できない
中国にはGAFAに依存しないサービスが立ち上がるように、ハードウェアもまた外国に依存せず、有事のときでも影響を受けない環境づくりを進めている。
純中国製PCは処理能力は非力ながらも地方政府で導入事例が報告されている。ブルームバーグの報道からは、2年内に中国国内の政府機関のPC5000万台をすべて中国産にする指示がなされという報道もある(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-06/RBFW5DT1UM0Y01)。
この手の話は10年以上前からあり、当時は実現性は皆無に等しく、夢物語と解釈されていたし、中国メディアの側も何度も振り回されたことから、実現性や性能には懐疑的で慎重だ。それでも以前に比べれば、龍芯を筆頭に様々なCPUやGPUなど中国産パーツが開発されているほか、搭載PCもレノボをはじめ各社からリリースされるようになっている。
以前よりはずっと純中国技術で固めたパソコンの登場は現実的になりつつある。これまで見てきた「中国スピード」を考えれば、「2年後に中国の役所のパソコンを純国産に」という目標が実現できるかもしれない。今回出てきた企業名は頭の隅に残しておくと、ある日、タオバオやアリエクスプレスなどの中国のECサイトで販売されるという報に「おっ! あのときの!!」と思い出すことだろう。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で、一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」、「中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか? 中国式災害対策技術読本」(星海社新書)、「中国S級B級論 発展途上と最先端が混在する国」(さくら舎)などを執筆。最新著作は「移民時代の異国飯」(星海社新書、Amazon.co.jpへのリンク)
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