第12世代に刷新されパフォーマンスが爆上がり

Core i7-1260P搭載の新VAIO SX14が最良の選択肢となる

文●飯島範久 編集●ASCII.jp編集部

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 VAIOから新VAIO SX14が発表された。昨年10月に新モデルを発売してから半年ほどでのリニューアルという、従来モデルを購入した人にとっては「マジか!」と嘆く人が多いかもしれない。

 今回のアップデートポイントは、第12世代インテルCoreプロセッサーが搭載されたこと。最上位モデルは、Core i7-1280Pを搭載したALL BLACK EDITIONで、5Gモジュールも載せられることから、ほほ死角のないマシンに仕上がったと言えそうだ。

 そんなVAIO SX14で今回は通常モデルの最上位にあたるCore i7-1260Pプロセッサーを搭載したマシンをひと足早くお借りできたので、その実力を検証してみた。Core i7-1280Pを搭載したVAIO SX12 | ALL BLACK EDITIONVAIO SX14 | ALL BLACK EDITIONについては、それぞれの記事を参照してほしい。

【合わせて読む】2023年版の「VAIO SX14」レビュー

VAIOの顔となるVAIO SX14。第13世代Core搭載で高性能化。使いやすさはそのままに「Teams」や「Zoom」といったウェブ会議時にバッテリーを節約する機能や美肌カメラなどを搭載。

PプロセッサーはVTPに対応

 新VAIO SX14の詳細については、VAIOのサイトを参照していただくとして、ここでは今回お借りしたモデルのスペックを中心に特徴を簡単に紹介していこう。

 まずCPUは第12世代インテルCore i7-1260Pプロセッサーを搭載。動作周波数はPコア(Performance-core)2.1GHz~4.7GHz、Eコア(Efficient-core)1.5GHz~3.4GHz。コア/スレッド数は、Pコアが4コア/8スレッド、Eコアが8コア/8スレッドで合計12コア/16スレッド。Core i7-1280Pと比べると、コア/スレッド数では劣るものの、ベースクロックがPコア/Eコアともにわずかながら高く、ターボ時の最大動作周波数が0.1GHz低い設定となっている。意外とバランスの取れたパフォーマンスを発揮するかもしれない。

「HWiNFO64」のシステム概要の表示

VAIO SX14の中身。ヒートパイプを外した状態。VAIO SX12に比べて空間が多い

 Pプロセッサー搭載モデルには、CPU能力を最大限に引き出すVAIO TruePerformance(VTP)技術に対応。これにより、ワンランク上の性能を発揮してくれる。

Pプロセッサー搭載モデルはVTPに対応。電源周りの強化に加え、ヒートパイプも太いものになっている

 GPUは、CPU内蔵のインテル Iris Xe グラフィックスで、動作周波数は1.40GHz。メモリーは、DDR4-2133の16GBか32GBかを選択可能。ストレージは、第四世代ハイスピードSSD(PCIe 4.0対応 NVMe 暗号化機能付き)256GB/512GB/1TB/2TBの4タイプを用意している。

 無線LANはWi-Fi 6Eに対応した。6GHz帯の最大1200MHzという広帯域が利用可能となり、より高速で大容量の転送が可能となる。ただし、現状はまだ日本では認可前のため認可され次第、アップデートにより利用可能となる。

 WANは4G LTEを搭載可能。5GはALL BLACK EDITIONのみ選択可能なため、5GにこだわるならALL BLACK EDITIONをチョイスしよう。

 外観はパッと見の変化はないが、サイズ上は約320.4(W)×222.9(D)×13.3~17.9(H)mmで、最薄部が従来モデルに比べ約2mm薄くなっている。ただ重量は約1046g~(Pプロセッサー搭載モデルは1080g~)と従来モデルより40g以上重くなっている。

ファインホワイトの天板にシルバーのロゴが映える。オーナメントもシルバー

 ディスプレーは、フルHD、タッチパネル付きフルHD、4Kの中から選択できる。今回お借りしたマシンは、4KでHDRにも対応。表示可能色は10億6433万色と写真編集などのちょっとしたクリエイティブ作業にも向いている。

 カラバリはファインホワイト、アーバンブロンズ、ブライトシルバー、ファインブラックの4色から選択可能。ファインホワイトを選ぶと、キートップの色がホワイトになる。

カラバリの種類は従来モデルと変わらず

 キーボード周りも特に変更はなし。VAIO Zのキーボード構造を踏襲しており、静音性も高く、タイピングがしやすくなっている。タイピングのしやすさは作業効率に直結するので、この点でVAIOは常にこだわり続けている。

キーボードは静音性が高く、タイピングしやすい。

電源ボタンに指紋センサーを内蔵しているので、マスクで顔認証が通らないときでも大丈夫

 インターフェースは従来モデルと同じ。USB-C端子は右サイドに2つ備わっていて、充電用の端子としても利用する。左サイドは排熱口がありUSB-A端子はあるものの、USB-C端子はない。この仕様に対して筆者は従来モデルから右サイドにも欲しいと訴えていたが、今回も実現しなかったようだ。VAIO Zのように左右に付けるのは意外と大変という話を聞いているので、いつの日か実現してほしいところだ。

本体左サイドは、USB-A端子とステレオミニ端子(ヘッドセット対応)のみ

本体右サイドには、USB-C×2、LAN端子、USB-A端子、HDMI端子を備える

 なお、従来モデルにあったUSB-A端子での5Vアシスト充電機能は削除されている。最近はUSB-C端子での充電が主流になってきたので、以前ほど問題にはならないが、あればあったで便利なだけにちょっと残念だ。

 Webカメラの機能として、「VAIOの設定」に「カメラ」の項目を追加。背景ぼかしや自動フレーミング、顔優先AEなどの補正機能が利用できる。Web会議のツールに関係なく利用できるので、どんな環境でも望んだ画質で会議に臨める。

カメラは変更ないが、「VAIOの設定」の「カメラ」で各種補正をかけられるようになった

12コア16スレッドでVAIO Z超え

 さっそく新VAIO SX14の性能をチェックしてみた。計測にあたっては、電源を接続した状態で「VAIOの設定」の「CPUとファン」を「パフォーマンス優先」にして行なっている。また、お借りしたのは開発機のため、製品版とは違う結果になる可能性があることをあらかじめご了承願いたい。なお、今回お借りしたマシンのスペックは以下の通りだ。

今回計測したVAIO SX14の主なスペック
CPU インテル Core i7-1260P プロセッサー
画面解像度 4K(3840×2160ドット)
メモリー 32GB
ストレージ 第四世代 ハイスピードSSD(NVMe 暗号化機能付き) 512GB

 まずは、CPU性能を測る定番アプリ「Cinebench R23.200」からチェックした。計測は標準設定の10分回したときのスコア。このため一発計測よりは数値が低くなる。

「Cinebench R23.200」の結果

 結果はマルチコアが8282pts、シングルコアが1512ptsと、マルチコアのスコアはVAIO Z(Core i7-11375H搭載モデルのマルチコアで6500pts程度、シングルコアは1610pts程度)を超えている。スレッド数の増大がスコアアップに大きく寄与している。

 続いて、アプリを実行したときの性能をチェックする「PCMark 10」を実行。

「PCMark 10」の結果

 結果は5226でCore i7-1280P搭載モデルと同等のスコアを出している。Essentials(Web系作業)が10096、Productivity(文書・表計算の作業)が6417、Digital Content Creation(クリエイティブ系作業)が5979となっており、ビジネス系はもちろん、クリエイティブ系でも写真編集なら十分快適に作業できるレベルだ。

 次に、3DCG性能を測る「3DMark」からDirectX 11を利用する「Fire Strike」とDirectX 12を利用する「Time Spy」の2つをチェックしてみた。

「3DMark」の「Time Spy」の結果

「3DMark」の「Fire Strike」の結果

 結果は、Fire Strikeが4943、Time Spyが1928とCPU内蔵GPUながら意外と健闘している。これなら、軽めの3DCGゲームなら遊べそうだ。

 そこで、軽めの3DCGゲーム「ドラゴンクエストX ベンチマークテスト Ver.1.6」を行なってみた。グラフィック設定は最高品質、フルHD解像度のフルスクリーン表示で計測している。

「ドラゴンクエストX ベンチマークテスト Ver.1.6」の結果

 結果は、7983と「とても快適」の判定。この手のゲームであれば、問題なくプレイできそうだ。もう1つ、少し重めの「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」も実行してみた。グラフィックの設定を標準品質(ノートPC)にし、フルHD解像度のフルスクリーン表示にしている。

「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」の結果

 結果としては、7831の「やや快適」判定。ただ、平均フレームレートは60fpsを切るため、もう少しグラフィックの設定を詰めたほうがよさそうだ。FPS系は難しいが、RPGやストラテジー系なら楽しめるだろう。内蔵GPUでもゲームによっては十分プレイできるようになっている点は嬉しい。

 続いてストレージ性能もチェックした。定番の「CrystalDiskMark 8.0.4」を使用し、NVMeモードで計測している。

「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果

 結果は、シーケンシャルリードで6858MB/秒、シーケンシャルライトで4913MB/秒と、PCIe 4.0対応NVMe SSDとして十分な速度を記録。今回はストレージ容量が512 GBだったが、ほかの容量だと多少値が変わる可能性があるので留意してほしい。

 最後に、バッテリーベンチの「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行した。液晶の輝度は20%にし、「VAIOの設定」の「CPUとファン」は「バランス」にして計測している。

「PCMark 10 Modern Office Battery Life」の結果

 結果はスコアが5097、時間は9時間13分だった。ディスプレーの解像度が4Kであること、PCMark 10のテストは結構厳しいので公称値よりかなり短くなることを踏まえても、10時間は超えてほしかった。とは言え、約9時間持てば1日モバイルワークしてもなんとか電源なしで作業できそうだ。

新VAIO SX14の中ではコスパ的にオススメ

 ベンチマークテストの結果を見ても、意外とCore i7-1280P搭載の最上位モデルに、さほど引けを取らないのではないだろうか。CPU性能としてはVAIO Zを超えているし、ALL BLACK EDITION よりは価格も抑えられるので、好きなカラバリを選んでCore i7-1260Pを選択した構成にするのが賢いかもしれない。

 もちろん、予算に余裕があればよりパワフルで5Gモジュールが選択できるALL BLACK EDITIONを選択するのもあり。数年使うことを考えると、現時点で最高スペックを選んでおくというのは理にかなっている。

 価格はVAIOストアの場合、Core i7-1260P を選択すると24万4500円から。VAIOストアだとパソコンあんしんサポートが付属するので、3年間はメーカー保証に加え、破損、水ぬれ、火災など、偶然な事故の際にも無料で修理が受けられるため、安心して持ち歩けるはず。各種割引やキャンペーンなどを活用すれば、お得に購入も夢ではない。

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