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Dell Technologies World 2022開催、マイケル・デル氏「未来は『マルチクラウド』にある」

デルの新製品発表、「マルチクラウド」と「レジリエンシー」を重視

2022年05月12日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 米デル・テクノロジーズは2022年5月3日~5日(現地時間)、年次イベント「Dell Technologies World 2022」を開催した。その中では、マルチクラウド利用が前提となった時代に対応するための新たなソフトウェアやサービスが多数発表された。

 本稿では、基調講演や報道関係者向けブリーフィングで説明された内容をふまえて、今回新たに発表された製品群を紹介する。

米国ネバダ州ラスベガスで開催された「Dell Technologies World 2022」。3年ぶりに来場者を招くハイブリッド開催となった

Dell Technologies 会長兼CEOのマイケル・デル(Michael Dell)氏

1日目の基調講演に登壇したDell Technologies 共同COOのチャック・ウィトン(Chuck Whitten)氏、2日目に登壇した同社 副会長兼共同COOのジェフ・クラーク(Jeff Clarke)氏

「マルチクラウド時代への対応」と「サイバーレジリエンシ-」

 全体を通してみると、今回のDell Technologies Worldにおける発表は「マルチクラウド時代への対応」と「サイバーレジリエンシ-」が強く意識されたものとなっている。基調講演の中でDell Technologies 会長兼CEOのマイケル・デル氏が語った言葉からは、その背景が読み取れる。

 デル氏は、「オンプレミスか、オフプレミスかを議論する時代は終わった。未来は『マルチクラウド』だ」と語った。すでに顧客企業の90%がオンプレミスとパブリッククラウドの両方を利用しており、75%は3つ以上のクラウドを利用しているという。そうした背景をふまえ、デル氏は「あらゆる環境間でワークロードやデータがシームレスに移動できる環境」が必要だと述べた。

 さらに、1日目の基調講演で発表を行った同社 共同COOのチャック・ウィトン氏は、マルチクラウドの利用が当然という“Multi-Cloud by Default”の時代にはなったものの「パブリッククラウドを寄せ集めて、プライベートクラウドと疎結合している」ような、サイロ化した現状ではまだ不十分だと指摘。よりシンプルで俊敏に利用できるよう設計(デザイン)された“Multi-Cloud by Design”こそが、ビジネスに変革をもたらすインフラを実現する考え方だと説明する。

 加えて、これからの時代には、大量のデータ生成源となる“エッジクラウド”も存在感を増してくることになる。データセンター外のワークロードやデータが増加することで、サイバー攻撃のアタックサーフェスも拡大する。それゆえに、ITインフラには回復力(=サイバーレジリエンシ-)も欠かせないことをデル氏は強調した。

 こうした背景をふまえたうえで、今回のDell Technologies Worldにおける新発表を見ていきたい。

サイバー攻撃やランサムウェア被害からの復旧を“as-a-Service”で提供

 まず1日目には、サイバー攻撃やランサムウェア被害からのシステム復旧作業を簡素化する、マネージド型のサイバーリカバリーサービス「APEX Cyber Recovery Services」が発表された。米国で提供を開始しており、今年(2022年)下半期にはより幅広い市場での提供開始を予定している(日本での提供開始時期は未発表)。

 昨年のDell Technologies Worldで正式発表された「APEX」ポートフォリオは、デル・テクノロジーズが提供するハードウェアからサービス、ソリューションまでの広範な“as-a-Service化”を目指したもの。統合された単一コンソールからの迅速な調達、柔軟なスケーラビリティ、マネージド型でのサービス提供、従量課金型の利用コストなど、クラウドライクな利用の実現を特徴としている。

「APEX Cyber Recovery Services」の概要

 今回発表のAPEX Cyber Recovery Servicesでは、デル・テクノロジーズが顧客のオンプレミス環境内で、外部と隔離(エアギャップ)されたイミュータブルな(書き換え/削除不可の)データボールト(データ保管庫)を運用管理する。

 このデータボールトに重要なデータをバックアップ/コピーしておくことで、サイバー攻撃被害からの迅速なビジネス復旧を助ける。ランサムウェアなどの被害が発生して大量のデータが書き換えられたされた場合には、自動的に異常発生を検知する機能も備える。

 さらに、復旧時のデータリカバリ作業をデル・テクノロジーズの専門家が支援するオプション、2000件以上のデータボールト導入実績に基づき標準化/テンプレート化されたリカバリプレイブックや手順書なども提供される。これらすべてを単一の窓口(同社のCustomer Success Manager)から提供することで、顧客管理者の省力化やより迅速な復旧につながる点もポイントだとしている。

 ウィトン氏は、顧客企業がCyber Recovery Servicesを利用することで、「サイバー攻撃からの復旧に“自信”が持てるようになるとともに、日常的なデータ保護に関する業務をオフロード(委託)することでさらなるアジリティ(俊敏さ)も実現する」と語った。

 またウィトン氏は、今回のCyber Recovery Servicesを皮切りとして、APEXポートフォリオに統合的なソリューションサービス群を追加していく方針も明らかにした。今年度中に、HPCや機械学習オペレーション、VDIなどのソリューションサービスが追加される見込みだという。

「APEX Cyber Recovery Services」が加わったAPEXポートフォリオの全体像

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