ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第664回
Zen 3+で性能/消費電力比を向上させたRyzen Pro 6000 Mobileシリーズを投入 AMD CPUロードマップ
2022年04月25日 12時00分更新
4月19日、AMDはRyzen Pro 6000 Series Mobileプロセッサーを発表した。といっても特にプレスリリースなどはなく、Pro版ということでOEMベンダーが搭載ノートの出荷を開始するという静かなスタートとなった。とは言え、AMDとしてはこのRyzen Pro 6000 Series Mobileにはかなり期待している部分もあるので、そのあたりを含めて説明していこう。
まずProプラットフォームそのものについて。これはビジネス向け製品のマーケットシェアであるが、2018~2021年の4年間で全セグメント向けに製品ラインナップがそろう格好となった。
この中でラップトップ向けに関して言えば、2018年から2021年までの4年間で基本的には右肩上がりの成長を遂げてきている。
もっともこの4年間で大きく成長してもまだ20%前後のシェアしかないという点は問題ではあるのだが、コンシューマー向けと異なりビジネス向けに関して言えば機種選定や購入の決断は個々のユーザーというよりもシステム部などが主導を取ることが多く、自社で利用しているシステム(業務システムだけでなく管理システムもここに絡む)との互換性などを考慮する必要がある部分も大きい。
この部分ではインテルのvProのシェアが大きかっただけに、それを覆すのには時間がかかるし、むしろ4年で20%ものシェアを獲得できただけでもすごいというべきか。
とはいってもこれはインテルの自責点とまでは言わないまでも、プロセスの不調にうまく付け込む形で成長できたという話も少なからずあるわけだが、Intel 7で製造されるAlder Lakeベースの第12世代Coreプロセッサーはプロセスの差をある程度詰め、かつIPCを大幅に向上することで再び有力な競合製品になった。
ラインナップなどは1月のCESで発表された通りで、3月4日には改めて詳細などが公開されている。この3月から各社第12世代のCore vProプロセッサー搭載ノートが大量に発表されており、これに対抗する必要がある。
もう1つ付け加えておくと、ここ2年ほどの製品のトレンドは下の画像の通り。おそらくこうした傾向は今後も続くことは間違いない。
作業がオンライン化する、オフィスに出勤しない(から、持ち運びできるノートが好まれる)という話はともかく、コロナの流行以降でサイバーアタックが6倍になったというのは軽視できない数字であり、このあたりの対策は当然必要になる。別にこれはAMDだけでなくインテルも当然対応を表明している。
Ryzen 6000 Series Mobileとの差は
AMD Pro機能の有無
ということで前置きが長くなったが、Zen 3+ベースのRyzen Pro 6000 Series Mobileがやっと発表になった。基本的な特徴はコンシューマー向けのRyzen 6000 Series Mobileと同じで、以下が大きな相違点となる。
- CPUコアをZen 3→Zen 3+に進化させ、より性能/消費電力比を向上
- GPUコアをVega→RDNA2に変更し、高性能化と高機能化(レイトレーシングなど)を実現
このあたりはRyzen 6000 Series Mobileと違いがないというよりも、Ryzen Pro 6000 Series MobileからAMD Proの機能を無効化したものがRyzen 6000 Series Mobileになる。といってもこちらは基本的に以前と変わらず、セキュリティーとマネジメント、それとサポートとなる。

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