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パートナーとともに切り拓いてきた新しいソフトウェア販売と価値とは?

パーペからサブスクへ アドビの営業が見たソフトウェア販売のリアル

2022年04月15日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

提供: アドビ

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「お客さまにお金の話をできない営業」に当初は違和感があった

大谷:続いて高橋享佐さん、お願いします。社歴としては菅田さんの次に古いとお聞きしています。

高橋:2007年4月入社なので、今月末で丸15年です。日本法人設立から30年ということで、菅田さんは2/3ですが、私は半分ということですね。

アドビ デジタルメディア事業統括本部 第一営業本部 執行役員 本部長 高橋 享佐氏

大谷:入社当時はどんな役割だったのですか?

高橋:最初2年間はハイタッチ営業で、シュリンクパッケージを大量に購入されている大手顧客を狙い撃ちして、ライセンスに切り替えませんかと提案していました。ただ、ハイタッチ営業といっても、当時のアドビは100%パートナーを経由する販売方式だったので、最終的なお客さまとの価格交渉に関しては、パートナーにゆだねていました。その後、10年近くパートナーセールスに所属し、2年前にエンタープライズの営業に戻ってきています。

大谷:ソフトの種類にもよるのですが、私のイメージだと、外資のソフト会社ってけっこう直販が多いじゃないですか。そう考えると、アドビは珍しいですね。

高橋:そうなんです。入社した当時からパートナーセールスの仕組みはけっこうできあがっている会社でして、お客さまとパートナーとのつなぎ込みや流通経路などが確立していました。

ただ、私はもともとダイレクトセールス畑だったので、入社したときは「お客さまにお金の話ができない営業」というのは、ものすごく違和感があったんです(笑)。しかも、どのパートナーから購入するかを決めないと、商談に入れません。

大谷:それは慣れるまでに時間がかかりそうです。

高橋:外資系企業なので基本はクオーター(四半期)で期がしまるのですが、日本企業は上期・下期じゃないですか。だから、スピード感に違いがありました。こちらの「すぐお願いします」が、私は1週間くらいなのに、パートナーさんからしてみると1ヶ月くらいだとか(笑)。そういったギャップは戸惑いました。

サブスクへの移行はアドビ・パートナー双方で大きなチャレンジだった

大谷:アドビというと、永続版ライセンスモデルからサブスクリプションにいち早く移行した企業として知られています(関連記事:サブスクリプションへの移行とインパクト、アドビ責任者が語る)。パートナービジネスが中心の日本法人の苦労を教えてください。

高橋:アドビでは永続版のライセンスをパーペチュアル(以下、パーペ)と呼んでいますが、このパーペからサブスクへの移行はすごく苦労しました。クリエイティブ系の製品に関しては、パーペとサブスクがしばらく併存していたのですが、パートナーの評価はあくまで売上なので、サブスクだと単価が低くなってしまうんです。

岡上:それに当初は、パーペとサブスクで大きな機能差はなかったんですよね。だから、パートナーのみなさまから「なにが違うのか? これでは売上減るだけでは?」と言われても、答えに窮してしまう。

高橋:当然、われわれも「来年も確実に契約更新が来ますよ」という話をするのですが、パートナーの担当者にとってみれば、「来年は担当かどうかわからないので、今までと同じ数字がほしい」という話になってしまいます。こうした事情でサブスクに移行できないパートナーも多かったです。

ただ、当時のわれわれは、すでにサブスクを増やすことしか評価されない状態。だから、パートナーと軸が合わなかったんです。「1週間でやっと百本超えたー」という時期もありましたよ。長岡さんなんて、そんな大変な時に入りましたからね。

長岡:はい。僕が入った頃は、ちょうどパーペからサブスクへの移行時期。やっぱりパートナーからすると、アドビの売上って1~2年は確実に落ちてしまうんですよ。われわれもサブスクだと、「3年後には売上は倍になります」「きちんと儲かります」って説明するんですけど、最初は誰も信じてくれなかったです(笑)。

アドビ デジタルエクスペリエンス営業本部 パートナー営業部 執行役員 本部長 長岡 昌吾氏

菅田:あと、サブスクへの転換期でもう1つ大変だったのは、やはりオペレーション周りですかね。たとえば、期間限定のキャンペーン1つとっても、パーペとサブスクだとやり方が全然違う。お互いに混乱してしまうので、何回も説明が必要でした。

高橋:パーペのライセンス販売だと2~3年に一度更新すればよいのですが、サブスクの場合、1年に1回はやりとりが発生します。だから、パートナーもパーペだけの販売体制だけだと、手が回らない。これをいかにサブスクに最適化するか。われわれにとってもパートナーにとっても大きなチャレンジだったと思います。

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