「INNOVATION LEAGUE 2021 DEMO DAY」レポート
スポーツビジネスの明日を切り開く企業が集結 Googleの視覚障害ランナー支援プロジェクトが大賞に
2022年04月14日 11時00分更新
2022年3月15日、東京ミッドタウン『BASE Q』にて「INNOVATION LEAGUE 2021 DEMO DAY(イノベーションリーグ 2021 デモデイ)」が開催された。「INNOVATION LEAGUE」は、スポーツ庁とSPORTS TECH TOKYOがタッグを組んで行っている産業拡張プロジェクト。テクノロジーを用いた新しいスポーツの取り組みや、スポーツビジネスの拡張を目指す事例を顕彰している。
同プロジェクトは、スポーツビジネスの拡張を目標とする「INNOVATION LEAGUE 2021 アクセラレーション」と、スポーツの可能性を広げる活動を表彰する「INNOVATION LEAGUE 2021 コンテスト」という2つのプログラムで構成。今回の「INNOVATION LEAGUE 2021 DEMO DAY」では、両プログラムの「授賞式」と「成果発表」が行なわれた。
オープングではプログラムオーナーの中嶋文彦氏が登壇し、本プログラムの概要を説明。その後、スポーツ庁の串田俊巳次長による主催者挨拶が行われた。串田次長は「スポーツオープンイノベーションの取り組みは、スポーツの成長のための中核的な政策と位置付けている」と話し、「INNOVATION LEAGUE」の重要性や今後への期待を語った。
今後もスポーツ界を変える5つのプロジェクト
「INNOVATION LEAGUE アクセラレーション」は、応募企業の中から選ばれた企業が、スポーツ団体と協力し、課題解決や新しいアセットの創出を目指す取り組み。今年度は採択企業5社が、日本フェンシング協会、ジャパンサイクルリーグと協力し、約4カ月という限られた期間で実証まで推進。その成果発表と表彰が行われた。
1社目は「エクスペリエンス・コーディネーター」の株式会社休日ハック。「お客さまの休日のスケジュールを企画する」という変わった切り口の試みを行っている。日時や予算を設定すると、要望に合わせて休日の楽しみ方を企画してくれるというものだ。
今回はジャパンサイクルリーグとの実証実験を、横浜赤レンガ倉庫で行われたエキシビジョンレース会場で実施した。「コロナ禍でも楽しめる」「地域そのものがスタジアム」という考えの下、その地域ならではの謎解き要素を盛り込んだ体験型の応援グッズや、地域と連携した企画を開発。競技団体と地域、ファンの「関係性のアップデート」に取り組んだ。
登壇した田中和貴代表取締役社長は、「今回の実証実験で課題も多く見つかったが、それ以上に応援グッズとご当地体験ミッションの組み合わせによる観戦体験のアップデートは、非常に有効だと感じた」とコメント。今後は異なる地域での実施や、レース会場以外での観戦体験のアップデートに取り組む予定だ。
2社目の採択企業は「バイタルデータ・プラットフォーマー」の株式会社グレースイメージング。生体情報を可視化する最先端解析技術のよる、スポーツ・ヘルスケアサービスの実現を目指している。今回の取り組みでは、ジャパンサイクルリーグと協力し、同社が開発した「汗中の乳酸濃度を測定できるデバイス」を用いた実証実験を行った。
登壇した同社の中島大輔代表は、「実証実験のテーマは自転車競技の拡張性を検証すること」と説明。乳酸測定デバイスを用いた効率的な運動負荷管理の検証や、バーチャル自転車システムによるリハビリの検証、さらにはファンエンゲージメントの強化などだ。
実証実験では、汗乳酸の出現パターンの計測により、パフォーマンス評価が可能であることを確認。疲労し難く回復が早いトレーニングの開発につながると話した。また、ファンが運動データを基に選手と自分の比較を行うといった、ファン交流にも生かせる可能性を示唆。バーチャルアプリとの連携や、他競技での活用など今後の展開に注目だ。