夜間訪問者の傾向を分析し来訪者増加につなげる
3つ目は「夜の需要をつかむ」。地域内では、中津市にある庭園・渓石園のライトアップやお祭り等の夜間イベントを開催している。イベント期間の来訪者の居住エリアや行動を分析したところ、飲食店や宿泊施設への誘導はされていないことがわかった。来場者について分析すると、渓石園は広い範囲からの来訪があるものの、夜間訪問者は少ないため、ライトアップ情報を積極的に発信することで、来場者増加が見込める仮説が立てられた。ほかの夜間イベントに関しては、近郊からの来場者が多かったため、広域地域への周知を行うことが必要だとわかった。
ビッグデータを活かした観光施策立案に向けて
今回のビッグデータ分析はおおいたノースエリア観光推進協議会のメンバーに共有され、新たな気づきにもつながっている。
事務局からは「北部にある観光地を回るよりも、別府へと流れているというのは衝撃。コロナ禍で観光客が複数個所に回らなくなっている傾向にあるのでは」との見解があった。
また推計数の正確性について疑問を指摘する声もあった。それに対しては、複数のデータを利用することや、実数よりも傾向を把握するために利用できるという意見があった。
おおいたノースエリア観光推進協議会は、今回の実証実験終了後もデータと分析結果を観光施策の形成に活用するという。また、大分北部と同様に通過型観光地となっている地域にも今回の分析結果は参考になると捉えており、観光関係者が集まる会議などで情報提供を行っていく予定だ。
多くの地方にとって観光客の誘致は共通の課題だ。公共団体によるビッグデータ活用はまだ始まったばかり。目的によって適したデータや効果的な分析手法の選定は、事例を重ねることで知見が得られていくことだろう。今回の取り組みは同じ悩みを持つ市町村が最初の一歩を踏み出す際の参考になるのではないだろうか。
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