コロナ禍によってさまざまな業界が痛手を受けた。中でも観光産業への影響は大きく、地域経済全体の停滞が懸念されている。しかしこの機をチャンスと捉え、コロナ後を見据え観光施策を見直す動きも始まっている。
大分北部エリアもその一つだ。中津、宇佐、豊後高田の3市と各市観光協会などで構成される「おおいたノースエリア観光推進協議会」は、国土交通省が実施する「ビッグデータ活用による旅客流動分析 実証実験事業」に参加し、データをもとにした観光客の行動分析と観光客誘致につなげる新たな取り組みを開始した。実証実験実施期間の終盤には報告会を実施、分析結果と今後の展開が発表された。
GPS位置データから推計した訪問者数をブラウザ上で可視化
実証実験の全体企画・運営等は、おおいたノースエリア観光推進協議会にも参加している株式会社オーイーシーが行った。同社は大分県に本社を持つIT企業だ。同社の川野芳樹氏から実証実験の結果が発表された。
もともと大分北部地域では、連携して地域の観光を推進する試みが進められており、既存のデータからも課題はある程度明確になっていた。それは、「立ち寄る観光客は多いものの宿泊客が少ない」ということだ。大分では中央部となる別府温泉の知名度が高く、宿泊者も多くがそちらに流れていると考えられる。北部地域にも長く滞在してもらうにはどうしたらよいのか──。
新たな観光施策を探るためには、現状を正確に把握する必要がある。利用したのは訪問者の位置情報ビッグデータだ。今回利用したauユーザーのGPS位置データは、基地局データに比べ位置データのメッシュやデータ取得頻度が細かいという特徴がある。
データ分析を行うためのツールとしては、KDDI Location Analyzer(KLA)を利用した。Webブラウザ上で使えるためPCとネット環境があれば手軽に利用することができ、直感的な操作でデータの可視化や分析ができる。施設の時間ごとの利用状況など、条件を指定して地図上でグラフィカルに表示したり、利用者の属性のグラフ化なども簡単に行った。
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