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ファーウェイ2021年決算は大幅減収、中国での5G構築が一段落も響く

2022年03月29日 17時50分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 Huawei Technologies(ファーウェイ)は28日、2021年のアニュアルレポートを発表した。2021年の収益は6368億人民元(約12兆3480億円)、前年比28.5%マイナスとなった。減収は2003年以来、実に18年ぶりとなる。

3年ぶりに昨年帰国した同社CFOの孟晩舟氏も登壇

 同社は公開企業ではないため、決算の報告義務はないがアニュアルレポートとして自主的に報告している。財務情報はKPMGによる独立した監査を受けている。

 ファーウェイの発表によると、2021年の収益は6368億人民元、これは2020年の8913億人民元から28.5%減となる。規模としては2017年(6036億人民元)と同程度になる。

 一方の純利益は1137億人民元(約2兆2050億円)、こちらは前年比75.9%増となった。営業活動によるキャッシュフローは596億人民元、こちらも前年の352億人民元から増加した。

ファーウェイの2021年度の収益(左)、営業利益(中央)、営業活動によるキャッシュフロー(右)

 カナダで約3年の勾留期間を経て現職に復帰した同社の最高財務責任者、Meng Wanzhou(孟晩舟)氏は、「2021年の売り上げは減少したものの、収益力とキャッシュフロー力は強まっており、不確実性への対応力がついている」とコメントした。

 事業部別の収益は、通信事業者向け事業が2815億人民元(5兆4580億円)、法人向け事業は1024億人民元(1兆9860億円)、コンシューマー向け事業は2434億人民元(4兆7200億円)と、前年との比較ではそれぞれ7%減、2.1%増、49.6%減となった。

 地域別には、中国で約65%を占めた。次いで、EMEA(欧州・中東・アフリカ)が20.6%、アジア太平洋が16.7%、アメリカが26.3%となり、すべての市場でマイナスとなった。

2021年度の事業別収益(上)、地域別収益(下)

 通信事業者向け事業の減収については、米国を始めとした国での5G機器でのボイコットがあるが、昨年はさらに中国での5G構築が一段落したことも大きく影響しているようだ。ファーウェイは通信事業者および提携企業との取り組みにおいて、3000件以上の産業向け5G展開事業契約を締結したことを報告している。

 法人事業はDXが後押しとなり、3事業で唯一プラス成長となった。「Huawei Cloud」として展開するパブリッククラウドでは、世界ナンバー5、中国ではナンバー2のシェアという。

 スマートフォンを含むコンシューマー事業は、米国の制裁による部品調達が困難になり大きく減収した。同社は「シームレスAIライフ戦略」として、スマートフォンだけでなくウェラブルなどにも製品の幅を広げているがスマートフォンのマイナスをカバーできなかったようだ。「HarmonyOS」については、2億2000万台の搭載端末を出荷し、「世界最速で成長しているモバイル端末OS」とアピールした。

 ファーウェイは昨年、1427億人民元(約2兆7670億円)を研究開発に投じたことも報告している。これは収益の22.4%で、この10年で累計8450億人民元(16兆3850億円)を研究開発に費やしたという。

 アニュアルレポート発表に合わせて同日、日本で開催した発表会の席で、華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)の代表取締役会長、王 剣峰氏は、Dell'Oro Groupの調査で2021年第4四半期の通信機器市場市場でシェア28.7%でトップになったことなどに触れ、「これからもオープンコラボレーションを進める」と述べた。「価値を創出し、高い品質を保ちながら発展を続け、困難を乗り切ることができると確信している」と語った。

 日本市場については「重要なハイエンド市場」と述べ、「シェアの数字にはこだわっていない。世界最先端の日本の顧客とビジネスで協業関係を築きながら、我々の成長に役立てていきたい」と続けた。日本は調達拠点としても重要であり、「日本のサプライヤーが我々に供給してもらえる限り、取引を最大限に大事にしていく」と王氏。

 社会的責任では中高生のICT教育に力を入れるなどの取り組みを進めていることを紹介した。

 最後に王氏は「ファーウェイ・ジャパンは日本社会の一員として、これからも日本に根ざして息長く成長を続けながら、日本社会に貢献していきたい」とした。

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