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Yahoo! MAP開発陣に聞く「海外大手でない地図アプリ」の生きる道

2022年03月07日 09時00分更新

文● 西田 宗千佳 編集●飯島 恵里子/ASCII

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インセンティブを高めるための口コミ投稿キャンペーンなども期間を限定し実施している

遅れてスタートした「口コミ」収集への取り組みが課題

 テーママップはYahoo! MAPのチーム内でコンテンツをまとめている。その情報の中心は、いわゆるコンテンツプロバイダー(CP)と呼ばれる事業者が作った有料のデータだ。それに加え現在は、行政から得られたオープンデータも使われている。

 例えばテーママップの中には「ワクチンマップ」もある。行政が公開しているデータと連携し、新型コロナウィルスのワクチンがどこで接種できるのかをわかりやすく提示したものだ。こうした自治体連携はYahoo! JAPAN全体が強みとしているものであり、その流れもあって、Yahoo! MAPの特徴ともなっている。

 だが、各施設や店舗の情報などの中には、ユーザーからの投稿情報を使ったものもある。いわゆる「UGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ)」であり、Google Mapなどでも使われているコメント投稿システムだ。

水谷:UGCの活用はここ1年くらいで始めたところです。従来、口コミやレビューなどは、Yahoo! MAPでは収集してきませんでした。しかし、CPからの情報だけではカバレッジに限界があります。ですので、UGCを組み合わせることにしています。
 一方で、正確さが求められる部分については、CPの情報や行政のオープンデータを活用しています。話題性・瞬発性の部分でUGCを活用できれば、と考えています。

山口:UGCのマップアプリでの活用は、試行錯誤しながらやっている段階です。スパム投稿や正しくない情報への対策も重要なのですが、そこは現状、ガイドラインを設けた上で、怪しいものを監査・対応しつつやっています。水谷も説明するように、やはりUGCについては、瞬発力が必要な部分に期待しています。データを提供していただけるCP・パートナーがいないようなところで活用できれば、と考えているところです。

 ご存知の通り、Yahoo! JAPANはPayPayとグループ会社である。そのため先日まで、Yahoo! MAPへの口コミ投稿については、PayPayのボーナスを提供するキャンペーンが開催されていた。後発ゆえの苦労もあるが、そこでPayPayとの連動を含めた具体的な「利益」を提供できるというのも、Yahoo! JAPANが手掛ける利点といえるだろう。

 そうやって集めたデータを使い、いかにグーグルが提供するエリア情報とは違う「独自のテーマ」を展開し、認知を広げられるかに期待したい。

 

筆者紹介――西田 宗千佳

 1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。 得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「ソニー復興の劇薬 SAPプロジェクトの苦闘」(KADOKAWA)などがある。

 

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