スマートフォン上の地図サービスというと、多くの人はグーグルやアップルといった、スマホOSプラットフォーマーのものをまず思い出すかもしれない。だが、日本にもそれらとは違う、歴史が長くて利用者数も多い地図サービスはある。「Yahoo! MAP」がそれだ。
現在のYahoo! MAPはどこを重視して作られ、どのように他のサービスと差別化しようとしているのだろうか?
Yahoo! Japanでサービス開発を担当する人々に聞いた。お話を伺ったのは、Yahoo! MAP責任者である水谷真樹氏、コンテンツ周りを担当する山口玲弥氏、ナビなどの移動に関するプロジェクトを担当する山本拓巳氏の3名だ。
現在の「Yahoo! MAP」はどんな存在なのか
Yahoo! MAPについて、基本的なところをおさらいしておこう。同サービスは、Yahoo! JAPANがスマホ(iOS/Android)向けに提供しているものだ。
現在使っている地図情報は、アメリカの地図情報サービス会社Mapboxの日本法人で、ソフトバンクも出資するマップボックス・ジャパンのもの。それをベースに、店舗などを含めた地点情報をコンテンツとしてYahoo! JAPANが追加し、オリジナルの地図として作り上げている。
水谷氏は、Yahoo! MAPを含めたスマホ上の地図サービスの現状を以下のように分析する。
水谷真樹氏(以下敬称略):競合も優れた地図を作っていることは間違いありません。その上で、ユーザーの地図の使い方は「決まった場所に行くために調べる」のではなく、「行く場所を決める」ために使うことが増えています。ですから我々はその起点になること、すなわち、いかにこのサービスを使って目的地を見つけてもらうか、というところを重視してサービス開発を行なっています。
現在の考えをあてはめてみれば、水谷氏のいうことはよくわかる。ちょっと食事をしたいと思った時でも、家を出る前に決めている例は少ない。移動中の電車の中などで「ついた先でなにか美味しいものはないか」と考えながら検索することが多い。
そうした使い方をするなら、単に行き先がわかるのではなく「行き先を決めるための情報を求めて地図アプリを使う」のが便利なよう、機能を作り込むのが良い。これは別の言い方をすれば、Yahoo! MAPが地図サービスとして「コンテンツに力を入れている」(水谷氏)ということでもある。
水谷:Yahoo! JAPAN全社としてのコンテンツの強み、メディアとしての強みがありますので、いかに地点情報・拠点データを、広く深く集められるか、という点に注力しています。そこはYahoo! JAPANのオリジナルとしてやっているところです。