自動車とスマートフォンという、10年、いや15年前ならまったく繋がりがないような組み合わせがあまり驚きではなくなってきている。最新の動きになるかもしれないのが、中国の自動車企業Zhejiang Geely Holding Group(Geely=吉利、浙江吉利控股集団)。同じく中国のスマホメーカーMeizuの取得に向けて動いているという報道が出ている。
2010年にフォードからボルボ・カーズを買収した吉利
浙江吉利控股集団は、Geely Auto(吉利汽車)のほか、フォードから買収したボルボの乗用車部門であるボルボ・カーズ、ボルボのEVブランドPolestarなどを傘下に持つ企業で、Fortune Global 500には2012年以来毎年ランクインする常連だ。
Meizuはスマートフォンに詳しい層にはよく知られた中国のメーカーで、2011年にAndroid端末の提供を開始。個人的には2014~16年、第3のモバイルOSに名乗りを上げていた「Ubuntu」搭載機の印象が強い。中国市場ではVivo、OPPO、Honor、シャオミ、アップルが5強だが、それを追うポジションという立場だ。
そのMeizuをGeelyが狙っているということだが、実はGeelyにとってスマートフォンは初の取り組みではない。同社は昨年9月にHubei Xingji Shidai Technology(Xingji)としてスマートフォン企業を立ち上げている。同社はこの分野に100億人民元(約1800億円)を投じるとしており、ハイエンドのスマートフォンを狙っていると報じられていた。
Geelyの創業者のEric Lee氏は当時、設計、研究開発、ハイエンド端末のスマートな製造、産業チェーンの統合、自動車のインテリジェンス、ソフトウェア開発などを活用できると主張、「インテリジェントな自動車の運転とスマートフォンテクノロジーには深い関係がある」と声明文で語っていた。
ZTE、シャオミなどから人材が集まっている?
GeelyがMeizuを取得することで話し合い中というのは、中国メディアの36Kryptonが1月21日付で報じた(https://www.36kr.com/p/1577952337464066)。この記事によると、Xingjiは昨年12月に非公開での戦略的資金調達を完了しているとのこと。
なお、XingjiのCEOは、ZTEでスマートフォンを担当したこともあるWang Yong氏が務めているそうだ。このほかにも元ZTE幹部、さらにはシャオミやOPPOでキャリアを重ねたシステムソフトウェア開発者も加わっているそうだ。すでにスマートフォンが関連した特許を出願していることも指摘している。
これにMeizuを加えることで、人材とノウハウ、サプライチェーンなどを一気に抱えることができると考えれば、理にかなった戦略と言える。そのMeizuはこのところ新製品のリリースがおとなしめだったが、実際に部品調達に苦労していたようだ。
昨年3月に「Meizu 18」「Meizu 18 Pro」を発表。9月にも「Meizu 18s」を発表している。Snapdragon 888(18sはSnapdragon 888+)を搭載した5G対応のフラッグシップ機となる。年始にはエントリーと位置付ける「Meizu 10」をリリースしている。

この連載の記事
-
第342回
スマホ
AR/VRの長すぎる黎明期 「Apple Vision Pro」登場から6ヵ月、2024年Q1は市場はマイナス成長 -
第341回
スマホ
世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある? -
第340回
スマホ
対米関係悪化後も米国のトップ大学や研究機関に支援を続けるファーウェイの巧みな戦略 -
第339回
スマホ
ビールのハイネケンが“退屈”な折りたたみケータイを提供 Z世代のレトロブームでケータイが人気になる!? -
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? - この連載の一覧へ