モレスキンのVAIOストアオリジナルノートブックを制作

VAIOのデザインを手掛けてきた森澤有人氏に訊くモレスキン愛とデザインの流儀

文●飯島範久 編集●ASCII.jp編集部

提供: VAIO

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以前からモレスキンノートブックをVAIOのアクセサリーにしたかった

――今回VAIOを絡めてモレスキンノートブックを制作しようと思った理由は?

 実はVAIO株式会社として独立した頃からVAIOのアクセサリーとしてモレスキンノートブックをやりたいという話をずっとしていました。やっぱり、これとノートPCをセットで持っているというのが、お客さんにとっても結構気持ちいいかなと思っていて。モレスキンはこのバットマンもそうですが、企業コラボをいろいろとやっていて、今回やっと実現できました。

 モレスキンは誰とでもプロジェクトをするのではなく、パートナーブランドとの相乗効果のことを大切に考えているブランドなんです。やはり一緒に旅をするノートブックとしての存在というのを大事にしているんですが、VAIOも人と一緒に旅をしたり、仕事場へ行くというコンセプトもあるので、そこが合致したからできたのかなと思っています。

――やっと実現できたモレスキンとVAIOとのプロジェクト、デザインのコンセプトは?

 やはり、いちばん難しいのは、古くならないことというのがあったので、なるべく飽きられないようなデザインをしたいなと思っていました。また、VAIOというブランドをしっかり表したいなと思ったので、なるべくシンプルにしました。

「モレスキン カスタムエディション for VAIO」。VAIO Zのような控えめなロゴを配し、帯にはデスクトップに使われているカーボンをイメージしたものを使用。ペンにもロゴが入っている

 表紙のVAIOのロゴが黒でさりげなく入っているのは、VAIO Zと同様のコンセプトで、ブランドイメージをちゃんと出しました。普通にやるとロゴを大きく入れたいって言われるのですが、なるべくさりげなく、邪魔をしないぐらいのものにして、普段使いであまり主張しすぎないようなものにしたいという思いです。

 今回作ったノートブックにはVAIO Zのスケッチの一部を掲載しています。僕のスケッチは、ディテールをどうしようか、カーブをどう曲げるのか、電源ボタンの形状、カーブの流れに沿って描いていこうといった、部分的なものしか描かないんです。

 それが結構コンプレックスで、デザイナーは絵が上手い人がほとんどなのですが、僕はアメリカの大学へ行ったこともあり、あまりデッサンの訓練を受けてないんです。どちらかというと、物をパって見せられて3秒間でカーテンを閉められ、今見たものを描け、というトレーニングをしていました。記憶力と形状把握能力のトレーニングをされていたので、結構こういう部分的なメモしか描きません。

 そのため、右側のページにはCAD図を載せています。僕が最終的に描いたCAD図なんですが、僕はスケッチからすぐCAD図に入っちゃうんです。ここからはPC作業になって、キレイないわゆる手描きの絵みたいなものは描きません。いろんなアイデアのピースを拾ってきて、頭の中で整理したものをPCの中でCAD図として完成させるところで1つの形が生まれます。

 手描きのスケッチはメモのようなものなので、普段はスケッチを載せたいと頼まれても、基本的に出さないんですよ(笑)。あと滅多にしないサインもしていますが、どうしても入れてほしいと頼まれたので今回だけということで(笑)。

実際に森澤氏がノートブックに描いたVAIO Zに関するスケッチを印刷している。右ページにはVAIO ZのCAD図も

――制作する上で苦労したことはありますか?

 スケッチの線の再現は苦労しましたね。シルクスクリーンで印刷するのですが、僕のこのペンの細さが出ないんですよ。それを再現するのに、結構苦労しました。元々かすれはあったりしますが、すごく繊細な細い線を出すのが大変で。制限が0.2ミリでお願いしますって言われたのですが、僕の線はもっと細いので、0.1ミリで最初チャレンジしてみて、かすれたら0.15ミリにして微調整をし、なるべく近づけるようにしました。言うことを聞かないデザイナーなので、制限を聞いてしまうと攻めたくなっちゃうんです(笑)。それは製品のデザインでも一緒です。

 0.2ミリにすると、二重になっている線が一本の線になってしまうんです。それだったらスケッチを載せられないなと、その辺はこだわりましたね。どうもこの紙がインクを吸いやすいのだと思います。だから描きやすいところにもつながるのですが、その性質が逆に印刷機だとにじみが出やすくなるのではと推測しています。

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