モレスキンのVAIOストアオリジナルノートブックを制作
VAIOのデザインを手掛けてきた森澤有人氏に訊くモレスキン愛とデザインの流儀
偶然の出会いからハマってしまったモレスキンノートブック
――モレスキンノートブックとの出会いは、どのような経緯だったのでしょう。
モレスキンノートブック自体は、それほど昔から使っていたわけではなく、いちばん使っていたのがレーザーコピー紙を自分で半分に切って、まとめてノートにしたものでした。デザインする上でのスケッチというのは、絵というわけではなく、自分の記憶の“鍵”なんです。サムネイルとして描いているというのが正しくて、そういう時にやっぱり小さいノートで、いつでも持ち歩けて、好きなときに瞬時に描けるということがすごく大事なんです。
そういう紙をずっと探していた時に、まず出会ったのが、師匠のカリム・ラシッド氏が使っていた、いちばん流れが良くてかすれないペンと、それに合った紙がレーザーコピー紙だったのです。やはりアイデアが生まれた時、瞬時に描かないと消えてしまうことも多いので、なるべくロスやストレスを減らしたいという理由で、紙を選んでいます。PCを速くしたいというのと一緒で、自分がパッと思いついたときにすぐ描きたいということです。
モレスキンを使うようになったのは、デザイナーがよくリサーチで訪れるイタリアのミラノサローネへ行ったとき、その帰りにちょうどスケッチブックがなくなってしまい、どこかに売っていないかと空港で探していたんです。そうしたら、モレスキンのお店があったんですよ。デザイナーがみんなモレスキンを使っているのは知っていましたが、性格がすごくひねくれているので、絶対同じものは使いたくないって思っていて(笑)。
「僕はコピー紙で描いているよ」というのが好きなところだったのですが、そのときは仕方なくそのお店でモレスキンノートブックと一緒に付けられるペンをセットで買ったんです。そして、飛行機でずっとモレスキンを使っていたら、「あれ? なにこれ。めちゃくちゃいいじゃん」となって(笑)。なんか負けた気分だったのですが、それからずっとモレスキンノートブックを使っています。
――モレスキンのどこに魅力を感じたのですか?
ペンの滑りですね。水性のペンで描いたとき、紙にザラつきがあると滲んでしまうんです。なので、どれぐらいかすれるのかでノートを選んでいて、モレスキンのお店では、試し描きができたので、このペンを使ったら「あ、これだったら大丈夫かな」という感じになって。それで選んだんです。
――それはレーザーコピー紙よりも優れていたということでしょうか。
気持ちがいいというか、ペンの滑り具合がよくて。レーザーコピー紙は、逆に滑りすぎたり、重ねたらインク移りすることがあったりしたので気を付けて使っていたのですが、モレスキンは全然苦を感じませんでした。もちろん僕が求めていたサイズだったし、何よりもそのとき買ったのが、このバッドマンのデザインだったんですよ。
バットマンのほかとは違うヒーロー性がすごく好きで、このキャラクターのノートブックをちょうど見つけて、「バットマンの限定版があるんだ」ってその場で買ったんです。これを使い始めたら気に入っちゃって、ずっと同じデザインのものを探して使い続けています。
――もし、そのイタリアの空港でモレスキンの店に出会えていなかったら……。
まだ意地でもコピー紙を使っていたでしょう(笑)。いろんなノートを試したのですが、やっぱりしっくりこないところがあって。リングノートを使っていた時期もあったのですが、リングに当たったりして、いろいろと自分にとってノイズが多いんです。リングが邪魔で平らにできなかったりもしますし。モレスキンのいいところは平らに置けるところだったりもします。
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