2021年は「α1」ではじまった。2021年1月27日、ソニーのフラッグシップミラーレス一眼「α1」が発表されたのだ。とうとうミラーレス一眼にフラッグシップ機がきたー、ニコンやキヤノンに先駆けてソニーが発表したー、ってことで話題になったのは記憶に新しい。高画素センサーとリアルタイム猫瞳AFと高速連写を、コンパクトなボディーに凝縮したハイテクの塊っぽいカメラだ。高性能と小型軽量の両立がすごかった。冒頭写真がそれである。
そんなわけで今回は「2021年の主な新製品で撮った猫」ってテーマで振り返ってみたい。α1の発売は3月だったので、最初は2月に発売された富士フイルムのラージフォーマットカメラ「GFX 100S」から。2021年最初に発売された超弩級カメラといったらこれだ。
1億画素のラージフォーマットカメラながら、気軽に手持ち撮影が可能でボディー内手ブレ補正も持っていて、価格も70万円弱というその性能を考えれば破格といっていい値段で登場したのである。これで撮った外猫写真は連載で使ったので、ここでは最初に試し撮りしたうちの猫「かふか」を。
いきなりα1、GFX100Sとすごいカメラではじまった2021年の特徴は、性能を追求したハイエンドのミラーレス一眼機がどどっと登場することなんだが、4月にはこの年唯一の一眼レフも登場したのだった。ペンタックスの「K-3 Mark III」である。ここでは「保護猫シェルターQUEUE」で撮った子猫が固まって寝てるほんわか写真を。頭と頭がくっついてる2匹がミソだ。
シグマの「fp L」も忘れてはいけない。メカシャッターを持たない、ミニマルで小さなボディーのフルサイズセンサーカメラfpの高画素版だ。お出しするのは「保護猫シェルターQUEUE」で撮影した寝てる2匹の子猫。おでこの模様が肉球みたいで印象的だったのだが、無事里親も見つかり、引き取られていったそうで何よりである。
パナソニックからは少し小型化したミドルクラスの「S5」を取り上げたい。パナソニックは猫の身体全体を捉えてくれるので、向こうを向いている猫でもちゃんと捉えてくれるのがよいのだ。これはとあるお寺の猫。古いお堂に猫が似合う(DC-S5は2020年発売のモデルでした。筆者が勘違いしておりました)。
オリンパス(会社自体はオリンパスから切り離されて「OMデジタルソリューションズ」になったのは記憶に新しい)からはPENシリーズの「PEN E-P7」。エントリー向けの小さくて軽くて安いデジタル一眼がぐぐっと減ってしまった中、PENは頑張ったのだった。お出しするのはうちのかふか。暗いところにいたので目がまん丸。暗い場所でもマイクロフォーサーズでもこのくらい撮れます。
春から夏はエントリー機からミドルクラスのカメラが出た季節といっていい。レトロな一眼レフスタイルデザインで、若い人にもおじさまたちにも刺さった、ニコンの「Z fc」もそうだ。価格も手頃で、デジタル一眼入門にも趣味で楽しむカメラとしてもいいものだった。
9月には新コンセプトのカメラが登場した。ソニーがVLOGCAMシリーズとしてα6400をベースにした「ZV-E10」を発売したのである。動画がメインのカメラなのだけど、ここでは写真で。
ここに写ってるのはわたしの足。膝の上でくつろいじゃって動かなかったのでそのまま撮ったのである。「保護猫シェルターQUEUE」にて。
同じく9月。春先にGFX100Sを出したばかりの富士フイルムからは、GFX100Sの5000万画素版ともいえる「GFX50S II」が登場。画素数が減った分、価格もちょっとお求めやすくなって、ラージフォーマットセンサーカメラとしては素晴らしいカメラになったのだった。
そして年末が近くなると人気カメラのラッシュがはじまる。これはすごかったね。人気な上に部品の供給不足もあって、発表後すぐ予約した人以外は入手困難というカメラたちだ。
まずはキヤノンのハイエンド機「EOS R3」。視線入力が話題だけど(でも、メガネをかけているとなかなか思った通りに反応してくれないのでオフにした)、本質的には猫瞳AFと高速AFと連写だ。ってことで塀の上を歩いてくる猫を狙ってみた。
さらに、12月にはいるとソニーからα7IIIの後継機、「α7IV」が登場した。これは前回取り上げたばかりなので割愛。
こうしてみると、年初と年末にどかんと大物がきたのだ。2021年最後を飾ったのがニコンのフラッグシップ機「Z 9」である。Z 9はプロ向けのフラッグシップ機でありながら、メカシャッターをなくして電子シャッターのみにし、めちゃAFが賢くて速くていくらでも連写できて画素数も4500万画素あって、要するにスゴいカメラなのだが、これがギリギリ間に合ったので、今年最後を飾るカメラってことで2枚。
1枚は夕刻、ゴツい車の下で見つけた黒猫。夕刻で暗かった上に車の下にいたものだかったら、通り過ぎた後で「あれ? さっきなんか黒いあやしげな塊がいなかったか?」と戻ってみたら黒猫だったというわけだ。カメラを向けたら目が開いたのでその隙に。
もう1枚はうちの猫を。廊下をとことこと歩いてきたキジトラのかふかに、隠れて待ち構えていた黒猫のミルが襲いかかった瞬間だ。かふかの瞳にAFを合わせて連写した中の1枚。こういう瞬間をきっちり捉えてくれるのだ。
ソニーのフラッグシップ機「α1」の発表が2021年1月27日、ニコンのフラッグシップ機「Z 9」の発売が2021年12月24日なのα1ではじまりZ 9で終わった1年と思うと、すごいよね。コロナ禍にありながら歴史に残る1年だったかもしれない。
Z 9は年末年始にかけて使わせてもらうので、来年のこの連載はNikon Z 9ではじまります(たぶん)。乞うご期待。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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