「ロボット同士のケンカ」がこれからの課題
── スマートホームでは「家と対話する」みたいな話があるじゃないですか。オフィスビルもそのくらい行くんじゃないですか?
オフィスビルと話すとなると、会話の仕方をどうするかという方法も考えないといけないですね。
── 部屋ごとに人格があるみたいな?
あははは。そういうソフトの話もあるんですが、床とか壁がしゃべれるようになるかもしれないですよね。エレベーターからロボットが出てくるときに「ロボットが出てくるので道をあけてください」と床に表示するとか。そうすると、人間とロボットが……。
── 共生できるようになる。建物にビーコンが入っていてロボットがそれに従って動くだけでなく、ロボットが人を意識して共存するようになると。
いまロボットが流行っているからやろうということではなく、ロボットや自動運転が入ってきたら、本業である建物であったり人間の暮らす空間の環境が絶対変わるから、そこについてはやっていかないといけないというのが我々の認識ですね。
── やっぱりビルは人間のいる空間ですからね。押しつけになっても「ロボットじゃまだよ」という人が出てきたり、あるいはロボット同士がケンカしちゃったりというのもありえそうじゃないですか。
ロボット同士のケンカって実際あるんですよ。たとえばメーカーAとBが競合して1つのエレベーターをとりあったり、狭い通路でAとBが向かい合ってスタックしちゃったり。やっぱりロボットは人間ほど賢くないんで、そこはビル側できちんと建物の設備を含めて管理してあげないといけない。DX-Coreでロボットと設備を統合運用してるのはそこもあるんですよね。
── なるほど〜! ロボット同士がケンカしないためのプロトコルみたいな、ロボット対ロボット通信というのはないんですか?
何にでも使える一般的なものは聞いたことがないですね。
── ロボットは賢くなりすぎると困る。かといってあんまりバカだと困るから、そこのさじ加減がすごく重要な気はしますね。
お金をかければ賢いロボットはできますが、スペックを下げないとなかなか入ってこない。そうすると完璧ではないものも入ってくる。その完璧ではないものをうまく入れることで普及していくと思うんですよ。
── ロボットの統合運用そのものは大変じゃないですか?
ロボット側が口を開けてくれていれば(APIを公開していれば)問題ないです。ただ、ロボットメーカーさんも自分たちのプラットフォームでやりたいと口を開けてくれないことがあるので、その辺りを今後どうするかは課題です。エレベーターとロボットの連携については経産省さんが音頭をとって通信規格の標準化を進めているところで、その辺りはこれからですね。
遠藤諭(えんどうさとし)
株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長などを経て、2013年より現職。角川アスキー総研では、スマートフォンとネットの時代の人々のライフスタイルに関して、調査・コンサルティングを行っている。「AMSCLS」(LHAで全面的に使われている)や「親指ぴゅん」(親指シフトキーボードエミュレーター)などフリーソフトウェアの作者でもある。趣味は、カレーと錯視と文具作り。2018、2019年に日本基礎心理学会の「錯視・錯聴コンテスト」で2年連続入賞。著書に、『計算機屋かく戦えり』(アスキー)、『ジェネラルパーパス・テクノロジー―日本の停滞を打破する究極手段 』(野口悠紀雄氏との共著、アスキー新書)、『頭のいい人が変えた10の世界 NHK ITホワイトボックス』(共著、講談社)など。
Twitter:@hortense667Facebook:https://www.facebook.com/satoshi.endo.773
(提供:清水建設株式会社)
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