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D1グランプリ2021 TOYO TIRES密着レポート! 第6回

D1GP最終戦は今年で営業を終了するエビスサーキット南コースで激闘!

2021年12月05日 15時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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【第6戦・単走】藤野6位、川畑10位
横井選手が優勝するも、単走チャンプは中村選手に

 2021年シーズンの最終戦となる第6戦。この日も朝から快晴。空には虹がかかり、最後のエビス南コースの大会を祝福しているかのようです。

 ドライバーたちもそれに応えるように、そして最後のエビスに名を残そうとします。その一人がチャンピオン経験者である87号車 齋藤太吾選手(FAT FIVE RACING)。朝の練習走行でシャーシにまで及ぶ大きなクラッシュしたにもかかわらず、なんと約3時間後には復活。しかも130km/h近い速度でジャンプに飛び込む雄姿をみせてくれました。前日の中村選手もですが、普通のレースならリタイアしてもおかしくない状態でも、短時間で修復するメカニックの力量と、それに応えるドライバー。D1は本当に凄いです!

 前日単走1本目でクラッシュしリタイアとなったTeam TOYO TIRES Driftの川畑選手は、1本目に97.66を記録。これで追走トーナメント進出はほぼ確定。2本目は、より上位の点数を狙います。

 ですが、前日同様ピットウォールに右リアタイヤをヒット。これで走行不能となり、チームは慌ただしく修復作業にとりかかります。

 藤野選手は1本目に97.36を出すと、2本目に107km/hでジャンプに進入。綺麗なドリフトをみせて98.66と6位につけることができました。

中村選手

 優勝したのは前日に引き続き横井選手。点数をまたもや伸ばして99.59を記録します。ですが、単走シリーズチャンピオン争いの中村選手が3位に入ったため、年間チャンプの栄冠は中村選手の頭上に輝きました。TOYO TIRESサポートドライバーでは、松井選手が97.47と振るわず13番手、松山選手は93.94で追走トーナメント進出はなりませんでした。

【第6戦・追走】川畑はベスト16、藤野はベスト8で敗退
中村がエビスマイスター小橋を破り有終の美を飾る

 午後から始まったベスト16戦。川畑選手の相手は、前日2位の目桑選手です。目桑選手先行の1本目、川畑選手はジャンプの着地後で一気に詰めたのですが、審査員前のコーナーで大きく外れてしまいます。川畑選手先行の2本目も、ほぼ同じようにハーフスピン状態になってしまいベスト16敗退。

クラッチまわりの部品をパーツクリーナーで洗浄するメカニック

 藤野選手の相手は、ヱヴァンゲリオン初号機カラーに彩られたGRスープラを駆る91号車 畑中選手(横浜トヨペット SAILUN 俺だっ)。ここはヱヴァを完全に沈黙させたいところです。ですが藤野選手はこの日、朝からクラッチトラブルに見舞われており、本調子ではない様子。

 藤野選手先行の1本目、97点の走りをする藤野選手に対して、畑中選手は入り切ることはできず後追いポイントはわずか0.5のみの97.5。これなら逆転はできそうです。

 藤野選手後追いの2本目。ヱヴァにピタリとつけて余裕で勝利。ベスト8へと進みます。

 ベスト8の相手は中村選手。中村選手先行の1本目、98点の走りをする中村選手に対して後ろにつけることができずDOSS得点96に後追いポイント0.5のみ。

 藤野選手先行の2本目、中村選手は終始ピタリとつけられてしまい、98点の走りをするものの、中村選手は97点の走りに後追いポイントフルマークの12点を獲得し109点。ここで藤野選手の2021年シーズンが終わりました。

 決勝はエビス5勝している4号車 小橋選手(LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE)と中村選手。「絶対に勝ちたかった」という中村選手は果敢に攻めて最後のエビスを優勝。一方、小橋選手は「昨日、末永さんが勝ったから勝ちたかった。それに大好きなエビスで名を残したかった」と悔しさを隠し切れない様子でした。TOYO TIRESサポートドライバーである松井選手は13位で2021年シーズン最終戦を終えました。

 シーズンのランキングですが、中村選手がチャンピオン、横井選手が2位、3位に36号車 高橋選手(TMS RACING TEAM SAILUN TIRE)が入りました。藤野は11位、川畑選手は18位。

 TOYO TIRESサポートドライバーでは、松井選手が6位、松山選手が8位入賞をはたしました。なお、松山選手はGRスープラ勢のトップとなりました。

 最終戦を終え、川畑選手と藤野選手の両名に話を伺いました。川畑選手は「最悪な3日間でした。まったくクルマに乗れず、わかってから色々セットアップしたんですけれど、どうにもならず。あと人間で頑張るしかなかったんですけれど、人間もヘタクソでしたね」「来年の抱負はないですね。とにかく頑張ります。それだけです」と言葉少なく。

 藤野選手は「昨日の段階では何もなく、レース後のメンテナンスでもメカニックから万全の状態だよという話だったんですけれど、朝来たらクラッチがオカシイとなって。部品を探したんですけれどなくて。で、急きょなんで違うパーツを使ってとりあえず直したんですが……。今年86に乗り換えてトラブルだらけだったので、まずトラブルがない状態で走れることが最終的に成績につながると思います。ですから、走ることだけに集中できる体制を作りたいですね」と来年の意気込みを語りました。

 こうして終えたD1グランプリ2021年シーズン。振り返ってみると、Team TOYO TIRES Driftの追走最高順位は、藤野選手の開幕戦2位。TOYO TIRESサポートドライバーに目を向けても、追走優勝は第9戦のオートポリスでの松井選手のみという結果に終わりました。その理由は様々考えられますが、最も大きな理由としてはTOYO TIRES勢のマシンは、中村選手や横井選手のような「S15&2JZエンジン」という熟成されたパッケージではなく、GRスープラや86にVR38、さらには4ローターといった「新しい」仕様のマシンが多いからではないでしょうか。

 中でも川畑選手は誰も使ったことがないエンジン、V8の3UZを使っている上に、シーズン途中から東名エンジンにビルダーを変更するなど、仕様を変えてきています。あえてニューマシンでシリーズに挑むTeam TOYO TIRES DriftとTOYO TIRESサポートドライバーたち。マシンの熟成が進み、川畑選手が表彰台に上がる姿を早く見たいものです。

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