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柳谷智宣のkintoneマスターへの道 第104回

Cybozu Days 2021で披露された「kintone AWARD 2021」レポート前編

医療、福祉、電気工事業界で大きな業務改善を実現したkintone事例がスゴイ!

2021年12月21日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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超属人化の会社にkintoneを導入して在宅勤務を勝ち取った話

 前半最後の3番手は相互電業 総務事務の今野愛菜氏で、プレゼンのテーマは「私たちのエゴで幸せな未来はkintoneで創る」。IT担当未経験の事務員が現場主体の業務改善を実現したメソッドを紹介してくれた(関連記事:愛犬ともっといっしょに過ごしたい!ある事務員の”エゴ”が会社を変えた)。

 相互電業は北海道帯広市にある創業65周年を迎える電気工事会社で、従業員数は30人で、10代から80代まで幅広い世代の人たちが働いているそう。

相互電業 総務事務 今野愛菜氏

 2018年秋、今野氏が自宅に帰ると愛犬の茶々丸が暗い部屋で待っていたそう。その様子を見た今野氏は、愛犬と一緒にいてもっと幸せにしてあげるため、在宅勤務をすればいい、と考えた。

「周りに在宅勤務をしているひとはおらず、どうすればできるのかと調べている時に、「サイボウズ式」を見つけました。100人100通りの働き方を実現していること、それを支えているのがkintoneであること。kintoneは業務改善ができることを知りました。これはkintone導入一択だと思いました」(今野氏)

 とは言え、同社にはいろいろな課題があった。工事の情報は担当者の頭の中にのみあり、30人30通りの業務フローが走る超属人化が起きていた。さらに、社長が過去に導入した多数の業務ソフトを現場が使いこなせずに、システムアレルギーを引き起こしていたのだ。

 しかし、平野氏はkintoneの導入に成功する。その3つのポイントが、「問題解決メソッド」「ざつだん」「kintone」だという。問題とは理想と現実のギャップであるという考え方から、「ざつだん」を行なった。まずは、1人情シスの社長と話をして、現場の人とも話をした。希望者に向けて導入説明会兼ワークショップを開催し、問題解決を一緒に体験してもらったのだ。

システムアレルギーの超属人化している会社に新システムを導入するのに成功した3つのポイント

 生産請求の作業時間を50%削減することには成功したのだが、その後の社内活用が進まなかった。アプリを作り、活用を呼びかけたが使ってもらえない。勇気を出して社員に意見を聞いたところ、問題解決メソッドで理想とするところが、現場と平野氏で違っていたことが原因だった。そこで、ワークショップで1人1人の意見を聞き、部門代表でもざつだん会を開いて話し合うサイクルを回した。

 超属人化で頭の中にしかなかった情報をスレッドで共有したところ、今までアドバイスをもらったことがないような先輩社員から、「その工事得意だよ、一緒に行こうか?」といった声かけが生まれるようになった。情報が見えるようになることで、チームワークが生まれたのだ。

「スレッドでの管理が限界だったので、アプリに移行しました。すると、あの人忙しそうだな、という感覚から、どこのステータスで何件誰がどの工事を抱えているのかが目で見えるようになり、さらにチームワークもアイディアも生まれるようになりました」(平野氏)

 その結果、2年間で57のスペースと127個のアプリが作成されたという。作業時間は1000時間短縮、経費も年間400万円の削減も実現し、企業風土も変わった。そして念願の在宅勤務も実現したという。

kintoneを導入することで超属人化から、1つの業務フローに整理できた

 以上が前半3社の事例となる。次回は後半3社のプレゼンを紹介する。

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