国際認証「B Corp」取得に向けた取り組みも:

古本ビジネスの「おかしい」を変えたいバリューブックス

文●石井英男 写真●篠原幸宏(バリューブックス)提供 編集●ASCII

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本の買取代金を寄付する「チャリボン」

鳥居:仕入れ方法のひとつに、応援したいNPOや大学に買取代金を寄付できる「チャリボン(charibon)」というものもあります。2010年から開始して、累計寄付金額が今年8月で6億円を超えました。

 たとえば藤木さんが弊社に本を送っていただく場合、通常の買取であれば藤木さんに買取代金をお支払いしますが、チャリボンでは買取と同じ査定基準で出した買取代金を、藤木さんからの寄付金として、チャリボンのパートナーの中から藤木さんが選んだNPOや大学にお届けします。その後の本は買取の場合と同じように販売しています。

 ありがたいことに、チャリボンの選択肢があることで本を送ってくださる方もいます。大学ともパートナーシップをたくさん結ばせていただいているので、学術書や専門書を送っていただけるということもありますね。

より良い本の循環を目指す試み

 本の販売は主にECサイトですが、昨年から買取サービスと同じ自社サイト内でも販売を始めています。自社サイトでは、古本・新刊書籍の販売をしたり、本の管理ツール「ライブラリ機能」もあります。本を売るのも買うのも、本を好きな方にとってより使いやすいサービスにしていきたいと思っています。

 実店舗の「本と茶『NABO』」でも、古本・新刊書籍を販売しています。また、会社のミッションのもと、「ブックバス」という移動販売車での販売をしたり、少しですが、少年院の寮の図書も整備したりしています。

上田市にあるバリューブックスの実店舗「本と茶『NABO』」

ブックバスで移動販売も行なっている

 先ほどお話しした買い取れる本を送っていただくための取り組みと共に、買い取れなかった本を生かす取り組みも行なっています。「ブックギフト(Book Gift Project)」という形で小学校や保育園などへ寄贈することから始め、最近では、「捨てたくない本」プロジェクトと名付け、「バリューブックスラボ」というNABOと同じエリアにあるもう1つの実店舗で小説、絵本、コミックなどを手頃な価格で販売したり、様々なパートナーとその生かし方を模索しています。また、古紙回収される本の一部を「本だった紙」という独自の再生紙にして、それをノートにアップサイクルする試みも始めています。

本を寄贈するブックギフトプロジェクト

本から再生された紙を使った「本だったノート」

 また、自分たちが二次流通の本を使って事業をさせてもらっているので、本の作られる生態系に何かできることがあるのではと考え、「VALUE BOOKS ECOSYSTEM(バリューブックス・エコシステム)」も2017年に始めました。出版社さんと提携して、その出版社の本を弊社が買い取って販売した場合、売上の3割を出版社に還元するという取り組みです。現在、4社の出版社さんと提携しているんですが、全体で平均すると半分くらいしか買い取れないという状況の中、こちらの4社の出版社さんの書籍に関しては9割以上の本を買い取ることができていることに気づきました。中古でも値崩れせず、長く読み継がれる本をつくっている出版社に利益を還元することで、廃棄しなければならない本を減らし、本がより良く循環する構造をつくることがねらいです。

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