Alder Lakeに2種類のダイが存在するのは間違いない
P-Core×8+E-Core×8とP-Core×6
というわけで本題のAlder Lakeである。連載623回で、Alder Lakeはデスクトップが先行して投入される模様、と書いたがどうもこれが本当のことになったらしい。実際多くの情報系サイトがこれに関してニュースをリリースしている。
今回筆者はWCCFTechとTom's Hardwareの記事を参考にさせていただいたが、これをまとめると以下のようになる。
- 発表時期は11月中。ただしここではCore i9~Core i3までのSKU。また11月に全SKUが発売になるのか、それとも一部だけで残りは(以前書いたように)2022年のCESで発表になるのかははっきりせず
- 一部の製品(おそらくKモデル)のみ、GPUなしのKFが設定される模様。その分、若干価格は下がるらしい。
- 少なくとも2種類のダイが存在するのは間違いない模様。1つは連載630回で紹介した、P-Core×8+E-Core×8で、LLCが30MBのモデル。もう1つはP-Core×6でE-Coreを持たないモデル。こちらはLLCが18MBとなる。
具体的なSKUの一覧が下表になる。これらの数字は基本的に、上で紹介したWCCFTechやTom's Hardwareの記事のものをそのまま利用しているが、一部の数字は筆者の推定である。
ここで2種類のダイがあるのが確定らしい、という話はもちろんこのSKU一覧で、特にCore i5-12600以下がすべてE-Coreなしになっており、これを同一ダイで実装するのはややもったいないという話があるのだが、もう1つ傍証がある。
10月16日、インテルは(たぶん)うっかり“Intel Codename Alder Lake(ADL) Developer Guide”なるページを公開した。現時点では消えているのでもうアクセスできないのだが、このページには下の画像が掲載されており、8C+8A(CoreとAtom)+32EU GPUのほかに6C+0A(Coreのみ)+32EUのSKUがあることが明らかにされている。
またこの2つのダイはコア数以外に命令セットの差もあることが示されていた。具体的には、8C+8AのダイではAVX512命令とTSX命令が「利用できない」と明記されている。もっともこの「利用できない」と「実装されていない」は必ずしも等価ではないわけで、実際には8C+8Aコアには(TSXはともかく)AVX512は物理的に実装されていない可能性もある。
ただこれも微妙、というのはロードマップの図に戻るわけだが、いずれAlder LakeベースのXeon Wが投入されるのは間違いないと筆者はみている。
時期的に言えば、Rocket Lake-SベースのXeon W-1300シリーズが2021年4月だったから、1年後の2022年4月頃か? と見ているのだが、デスクトップ向けはともかくワークステーション向けにはAVX512なし、というのは少し厳しいだろう。だからといって6C+0AコアをXeon W向けに充てるのか? というと、それもそれで厳しいように思える。
現実的な実装として考えられるのは、8C+8Aも6C+6AのどちらもAVX512は実装されており、ただしE-Coreを有効化すると自動的にAVX512やTSXが無効化される、というあたりだろう。
Xeon W-1400シリーズの場合は、例えばAVX512を使いたい場合はBIOSでE-Coreを無効化する、といった形の選択になるかもしれない。ただXeon Wの場合は、必ずしもWindowsで利用されるとは限らない(最近ではLinuxを使うことも多い)から、ここでThread Directorに相当するものがないとむしろ性能が下がりかねない。したがってXeon W-1400シリーズは、E-Coreを無効化した状態で提供される可能性もありそうだ(ロードマップ図はこの前提で記載している)。
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