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ASUS「ROG Strix G15 Advantage Edition」をRyzen 7 5700GやTiger Lake-H搭載ノートと比較する

2021年10月12日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラハッチ/ASCII

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Tiger Lake-Hと頂上対決

 では性能の検証に入ろう。まずはRyzen 9 5900HXの処理性能をチェックしてみたい。今回はStrix G15がデスクトップPCに対してどの程度近いかを見るために、CPUもGPUも近似のスペックのものを用意した。即ちCPUはコア数もベース設計も共通なRyzen 7 5700Gを、GPUはCU数やVRAM搭載量が等しいRadeon RX 6700 XTの組み合わせである。

 さらにCPU性能に関してはライバルの“Tiger Lake-H”世代のフラッグシップCPU「Core i9-11980HK」を搭載したノートPCも用意した。ただこのTiger Lake-H搭載ノートのGPUはRTX 3060なので、Strix G15のRX 6800Mに比して相当に格落ちになる。

 そこでTiger Lake-HノートPCとは純粋にCPUパワーを比較するだけにとどめたい。ちなみに比較に利用したノートPCはインテルのリファレンスモデル的なもので、こちらの記事(https://ascii.jp/elem/000/004/068/4068379/)でレビューしている。

「ROG Strix G15 Advantage Edition」の主なスペック
ディスプレー 15.6型(2560×1440ドット、165Hz、FreeSync Premium)
CPU AMD「Ryzen 9 5900HX」(8コア/16スレッド、最大4.6GHz)
GPU AMD「Radeon RX 6800M」(12GB)
メモリー 16GB(DDR4-3200)
ストレージ 1TB SSD(PCI Express 3.0x4)
通信機能 IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.1
インターフェース HDMI出力、USB 3.2 Gen2 Type-C、USB 3.2 Gen1 Type-A×3、ギガビットLANほか
公称駆動時間 約11.8時間
サイズ/重量 354.9(W)×259.9(D)×27.2(H)mm/約2.4kg
OS Microsoft「Windows 10 Home」(64ビット)
【検証環境】
CPU AMD「Ryzen 7 5700G」(8コア/16スレッド、最大4.6GHz)
CPUクーラー Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」(簡易水冷、280mmラジエーター)
マザーボード GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」(AMD X570、BIOS F34)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」(DDR4-3200、16GB×2)
ビデオカード AMD Radeon RX 6700 XTリファレンスカード
ストレージ Corsair「Force Series MP600 CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB)
電源ユニット Super Flower「SF-1000F14HT」(80PLUS TITANIUM、1000W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(May 2021 Update)
Tiger Lake-H搭載PCの主なスペック
ディスプレー 16インチ液晶(2560×1600ドット)
CPU Core i7-11980HK(8コア/16スレッド、最大5GHz)
GPU GeForce RTX 3060(VRAM 6GB)
メモリー DDR4-3200、16GB×2
ストレージ 512GB SSD(PCI Express 4.0×4接続)×2
OS Windows 10 Pro 64bit(October 2020 Update)

 まずは定番「CINEBENCH R23」でスコアー比べをしてみよう。テストは10分回してからスコアー計測に入るデフォルト設定を利用しているため、CPUの熱は天井付近での計測となる。

「CINEBENCH R23」のスコアー

 今回検証の俎上に上げたCPUはどれも物理8コアモデル。Strix G15に搭載されたRyzen 9 5900HXのシングルスレッド性能はデスクトップ向けのRyzen 7 5700Gの8%程度下、マルチスレッド性能は3%程度下を示している。モバイル向けなので若干クロックが絞られているが、それでもデスクトップ向けのRyzen 7 5700Gにかなり近い性能が出ることが示されている。

 一方Tiger Lake-Hの最上位であるCore i9-11980HKと比較すると、シングルスレッドは11980HKに10%以上の差を付けられているものの、マルチスレッドは逆に20%高い性能を示した。モバイル向けCPUとしては、Ryzen 9 5900HXは極めてマルチスレッド性能に長けたCPUに仕上がっているといえるだろう。

 CPUパワーが問われる処理といえば動画のエンコードだ。ここでは「Premiere Pro 2021」上で編集した再生時間約3分の4K動画を「Media Encoder 2021」にエンコードさせ、4KのMP4ファイルを出力させた時の時間を計測する。コーデックはH.264およびH.265とし、ビットレートは50Mbps、VBR1パスでエンコードした。

「Media Encoder 2021」によるエンコード時間

 CINEBENCH R23で最も高スコアーをあげたRyzen 7 5700Gがここでも最短で処理を終えた。Strix G15のRyzen 9 5900HXはH.264ではRyzen 7 5700Gとほぼ同等のタイムで終了したが、計算負荷のより高いH.265では1分半遅れとなった。一方、Core i9-11980HKはRyzen 9 5900HXよりもエンコード時間が奮わない。

 ただ留意点として、Media Encoder 2021(Premiere Pro 2021もだが)のエンコード時にはGPUもある程度使われる(Mercury Playback Engine)ため、この結果にはRX 6800MとRTX 3060の性能差も加味されている。

 もうひとつCPUパワー系の比較として「Lightroom Classic」でのDNG画像から最高画質のJPEG画像へ書き出す時間も比較してみたい。DNG画像は61メガピクセルのものを100枚用意し、書き出し時にシャープネス(スクリーン用、適用量標準)も付与した。

「Lightroom Classic」によるDNG→JPEG書き出し時間

 このテストではCore i9-11980HKがトップ、Ryzen 9 5900HXは最下位となった。L3キャッシュの少ないRyzen 5000GシリーズはLightroom Classicの処理にハンデがあることはRyzen 5000Gシリーズのレビューで判明しているが、モバイル向けのRyzen 5000シリーズでも同じ傾向にあることが確認できた(同じ“Cezanne”ベースのCPUなのだから当然だ)。

 このグラフで示された性能の傾向がLightroom Classicの全ての処理に対して適用できるとは言わないが、Ryzen 9 5900HXでも不得意な分野があり、そのひとつがこのLightroom Classicのような写真編集分野だといえる。

 Core i9-11980HKを交えた最後のテストは「PCMark10」の“Standard”テストを使用する。一部GPUを使う処理もあるが、CPU依存度が高いためCore i9-11980HK搭載ノートも評価に加えた。

「PCMark10」Standardテストのスコアー

 総合スコアー(青のバー)で最高値を出しているのがRyzen 7 5700G、2番手はStrix G15のRyzen 9 5900HX。ただテストグループ別のスコアーを見るとCore i9-11980HKとRyzen 9 5900HXが勝ったり負けたりといった状況。EssentialsとProductivityテストグループは僅差だが、Digital Content Creation(DCC)テストグループだけはRyzen 9 5900HXが圧倒的有利となっている。

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