全10戦で争われる「D1グランプリ」2021年シーズンも折り返し。第7戦・第8戦が10月2~3日(日)、奥伊吹モーターパーク(滋賀県米原市)で行なわれました。ASCII.jpが応援する「Team TOYO TIRES Drift」の活躍をご紹介します!
スキー場の駐車場の特設コース
それがD1奥伊吹ラウンド
「全10戦の折り返しで第7戦・第8戦とは?」と思われますが、これは8月下旬の開催を予定していた第5~6戦が新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から11月中旬に順延したから。ですが大会名はJAFに事前申請している都合、変更することはできず、第7~8戦として開催される運びとなりました。
舞台となる奥伊吹モーターパークは、今シーズン開幕戦・第2戦の舞台。広大な第4駐車場に特設コースが設置されたのですが、そのレイアウトは前回と同様で、外周に沿って大きく旋回してから、インフィールドに突入する右回りのレイアウト。前回が4月下旬、今回が10月初旬ということで気候もほぼ同じ。カメラマンの間で「前回と同じ写真使ってもいいんじゃない?」というボヤキが漏れるほど……。
そんな奥伊吹のコースですが、初年度の開幕戦は川畑選手と藤野選手は追走トーナメントのワン・スリーフィニッシュを達成! 今年も川畑選手は第2戦で追走トーナメント4位、藤野選手も開幕戦で追走トーナメント2位を獲得していることから、相性の悪いコースではないハズ! 期待できそうです。
さて。前回の筑波大会から約3か月の期間が空いての開催。川畑選手はマシンを徹底的に見直したとのこと。特にエンジンは、V型8気筒(3UZ)ツインターボ仕様はそのままですが、チューンを日本のレース用エンジンチューナーで知られる東名エンジンに依頼。精度や耐久性向上が図られたとのこと。
一方、筑波戦では「走るたびに挙動が変わってしまい、気持ちのよい走りができなかった」という藤野選手は、筑波戦前に施したサスペンションの取り付け位置を元に戻すことからスタート。その上でセットアップを重点的にしたようですが、その練習走行中にエンジンが壊れるアクシデントに。そこで予備のエンジンに乗せ換えたのですが、本番使用のVR38DETTの4.3リットル仕様ではなく、4.1リットル仕様というパワーダウンバージョン。ちょっと不安を残したまま大会を迎えました。
【第7戦・単走】蕎麦切選手が初優勝
藤野選手11位、川畑選手13位で追走進出
台風一過の見事な秋晴れで迎えた第7戦。ときおり山頂から吹く風が、秋の風情を感じさせる中、午前中に単走決勝が行なわれました。抽選の結果、川畑選手と藤野選手はいずれも最終組からの出走。それまでのトップは昨年D1デビューの蕎麦切選手の99.18。他選手の結果から見ると、96.7以上を獲得すれば追走トーナメントに進出できそうです。ですが、この組には中村選手、斎藤大吾選手、今年好調の高橋和己選手が控えており、ちょっとしたミスも許されません。
まずは川畑選手の1本目。今までとは異なる、快音を響かせながら最高速度117km/hと圧倒的なハイスピードでコーナーに進入。そこからミスの無い走りで97.18を獲得し、追走トーナメント進出を手に入れます。
藤野選手も第3セクターの手前にあるイン側のゾーンはギリギリ通過するなど、ちょっと不安な要素は見えましたが、97.91を叩き出して、追走トーナメント進出を早々に決めました。
川畑選手の2本目。1本目に比べて侵入速度は111km/hと少し遅くなり、そのためか第一セクターは角度が足りなかったものの、インフィールド区間を綺麗にまとめて、1本目と変わらない97.17をマークしました。一時期に比べて調子は戻ってきたように思えます。これにより12番手以下が確定。
藤野選手の2本目。1本目より車速を伸ばして110km/hでの進入からの鋭い振り替えをみせますが、思ったほどは角度がついていない様子。点数も97.65と少し下がってしまいました。これで10番手以下が確定。総合順位は川畑選手13位、藤野選手11位となりました。
TOYO TIRESユーザーでは、他に今年の開幕戦と第2戦で単走優勝を果たした松山選手が13位で追走トーナメント進出をはたすも、FD乗りの松井選手は18位、今年からD1参戦の川島選手が24位、AE86乗りの田所選手が28位で追走トーナメントへ進むことができませんでした。
単走初優勝の蕎麦切選手「めちゃくちゃ嬉しいです! 前回の反省を活かし、やりたいことができたように思います。(チームオーナーである)柴田社長も『一つ夢がかなったな。おめでとう! よくやった』とほめてくれました」と笑顔を魅せてくれました。
第7戦・追走
午後3時頃から始まった追走トーナメント。川畑選手の初戦の相手は、今年から参戦した目桑選手です。川畑選手は「ここからシーズンが開幕するという気持ちで頑張ります」と、ユーモアを交えながらインタビューに答えます。
目桑選手先行の1本目、車速に勝る川畑選手がゾーン1付近で目桑選手の右側面に2回接触!
ですが、当てられた目桑選手は怯むことなく、そのまま走行を継続。川畑選手もビタビタの追走を続けるという、近年稀に見るドッグファイト。ですが残念ながら川畑選手に大きな減点がはいってしまい93対86で目桑選手大幅リード。
川畑選手先行の2本目、速さで勝る川畑選手に追い付くことができない目桑選手。綺麗な走りをしてDOSSの得点97を獲得した川畑選手ですが、ゾーン1不通過による減点2により95点に。目桑選手のポイントは93点であったため、川畑選手の逆転はなりませんでした。敗退しましたが、川畑選手のGRスープラが進化していることを感じさせました。
藤野選手のベスト16戦の相手は高橋和己選手。「一番最後の組って、ずーっと待つから嫌なんだよなぁ」という藤野選手ですが、クラッシュなどにより随分待たされることになります。単走の時にエンジンの回転数が足りなくて、クルマのギア比を変更して追走に挑みます。
ですが、この変更が大失敗で、とても走れる状態ではなくなってしまったのだとか。高橋選手先行の1本目、終始寄せるのですが、どこか角度が足りないようにも。高橋選手96点に対して、藤野選手は後追いポイント6を加えた100点と、4ポイントリード。
藤野選手先行の2本目。ゾーン減点もなく綺麗な走りをみせる藤野選手の得点は97。それに対して、高橋選手は96点に後追いポイント7がついて103点。結果、逆転負けとなってしまいました。藤野選手とメカニックは翌日に向けて、再度ギア比を変更。単走の時よりは少しロングとなるセッティングへと変更していました。
クラッシュの処理や、1回で勝負が決まらないケースもありで、時間も押しに押して、気づけば陽も傾き、そして夜へ。よく走れるなぁと誰もが思う暗闇の中、決勝は中村選手対目桑選手の対戦が行われました。暗闇になればなるほど、走りにキレが増す中村選手が目桑選手を終始圧倒。久々の優勝を飾りました。
勝った中村選手「無の境地でした。ですが、夜になるにつれ、だんだん楽しくなってきて。チャンピオンシップ争いの面でも、勝てたのはうれしいですね」と笑顔。前日に親戚に不幸があったとのことですが「これで喜んでくれるかな、孝行できたかなと思います」と語りました。
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