1969年の先端デザインを源流に進化した、モダンなフェイス
セイコー/プロスペックス「SPEEDTIMER」
1960年代は機械式時計が多彩な進化を遂げた時代。偉大なドメスティック・ブランド、セイコーもまたスイスの列強を向こうに回し、数々の名作を世に問うていた。
本稿は“オシャレ時計”を軸とした企画ではあるが、セイコーの新作SPEEDTIMERについて語る際、まずは同社の計時技術の歴史に触れなければならない。
セイコーは1964年に東京オリンピックでスタートストップ機構に“ハートカム”を採用したストップウオッチを導入し、それまで不可能とされてきた0.01秒単位の高精度計測を実現。同年には国産初のクロノグラフを発売した。さらに5年後の1969年にはクロノグラフの伝達部位に垂直クラッチを搭載した世界初の自動巻きクロノグラフ、「1969 スピードタイマー」を発売し、ストップウオッチ(クロノグラフ)の分野での決定的な地歩を固めた。
くだんのスピードタイマーは画期的な機構を用いた、同社のみならず時計史上における重要なモデルとなったが、特筆すべきポイントはデザインにもある。機能性と美しさを両立させ、時代の空気も如実に反映したフェイスはセイコーの底力そのものだったのだ。
こうした系譜に連なるアイコンとして発表されたのが新作のSPEEDTIMER。最新のソーラームーブメントを搭載したSBDL085は、反転インダイヤルやファセット加工のアプライドインデックス、ドーム型のサファイア風防などクラシカルなディテールを採用。1969スピードタイマーのデザイン的エッセンスを“現代のクロノグラフ”に最適化してまとっている。
常に時代の先端を走り、ノウハウの蓄積によって洗練された美観はいたってスマートで、その価値は重みも、厚みも“格”が違うのだ。
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