米海軍の要請で開発・納入されたシンプルデザインのダイバーズ
ブローバ/アーカイブス シリーズ「ミルシップ」
ファッションシーンにおいて“ミリタリー”はもはや定番の要素であり、いわゆるお洒落上級者はおしなべてミリタリーのテイストを様々な方法によって、過剰寸前のよき塩梅で取り入れ生かす術に長けている。なかでも、時計は常套手段と言っていい。
ミリタリーウオッチは、あくまで実用性本位の生真面目なたたずまいによってコーディネートの品格をアップさせる。修羅場を生き抜くために開発・設計された本気の機能美が、お洒落の陰に常に潜む軽薄な因子(=チャラさ)を払拭し、本物志向のシンプリシティがある種の説得力を生むのだ。
そんな、マジカルなパワーにあふれた注目作が、ブローバの新作・ミルシップだ。
同社が過去の名作を復刻するアーカイブスシリーズのひとつとして発表された同モデルは、1957年にブローバが米海軍潜水実験隊(The US Navy Experimental Diving Unit=NEDU)の要請で開発したダイバーズの試作品がモチーフ。米海軍が定める極めて厳しい契約仕様書・MIL-SHIPS-W-2181に準拠するため、このモデルは一定の深度までの防水性、長期にわたり水分・湿気の侵入を防ぐ気密性、高度な視認性や経過時間を測定するための回転ベゼルなど、数々のプロスペックを備えていた。
64年の時を経て再現された“ミルシップ”は、言わずもがなあらゆる細部が現代の最新技術や素材によってアップデートされている。だが、視認性の高いドットインデックスやコブラハンド、15分刻みでアラビア数字が配されたベゼルインデックスなど、シンプルなデザインはオリジナルの意匠がストレートに継承されるばかりか、経年変化を表現すべく褐色のスーパールミノバ夜光がセットされるなど、こだわりが光る。
6時位置には、万が一ケースに水分が侵入した場合に色が変化する「モイスチャーインジケーター」が配され、こちらも当時の特殊仕様。20気圧の防水性能は現代の日常シーンで心強いことこの上なく、“飽きずに長く使える”という身上がいわゆる、スタイリッシュ。
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