iPhone 12シリーズですっかりおなじみになった、背面にマグネットで充電台やウォレットケースなどを取り付けられる「MagSafe」。アップル以外のメーカーも同じようなソリューションの採用を始めるようです。OPPOとrealmeからそれぞれ「MagVOOC」「MagDart」がアナウンスされ、近いうちに両社のスマートフォンもワイヤレス充電対応のモバイルバッテリーなどを背面に簡単に装着できるようになりそうです。
OPPOのMagVOOCは8月23日、中国で開催中の「Smart China Expo 2021」で初めて実物が展示されました。ラインナップとして展示されたのは薄型のワイヤレス充電器「MagVOOC ultra-thin flash charger」、背面に張り付けてワイヤレス充電できるモバイルバッテリー「MagVOOC wireless power bank」、そして本体を横向きに張り付けることもできる「MagVOOC wireless flash charging stand」です。
それぞれの技術仕様はまだ公開されていませんが、OPPO独自の高速充電技術「VOOC」の名前を付けたシステムであることから、主に高速充電系のアクセサリが登場すると思われます。動画を見ながら充電したいときに、スマートフォン本体を横向きに乗せるだけで充電できるMagVOOC wireless flash charging standはOPPOならではの使い勝手を考えた製品と言えそうです。
一方、realmeは8月3日にMagDartを発表しています。こちらは製品化が近いのか、具体的なスペックも公表されています。50Wの高速充電(SuperDart)対応で加熱対策も考えファンを内蔵した「50W MagDart Charger」は、ワイヤレスでもスマートフォンの4500mAhのバッテリーを54分で満充電することができます。マグネットで取り付けられることで、スマートフォンを持ったままでも高速ワイヤレス充電が可能になります。
「15W MagDart Charger」は3.9mmと薄いため、こちらは張り付けていることを意識せず使うこともできるのが特徴。
そしてrealmeもMagSafeバッテリーパックのようなワイヤレス対応モバイルバッテリー「Two-way MagDart Power Bank」をリリース予定。充電器に刺して充電台のような使い方もできます。
realmeはMagDart対応スマートフォンとして「realme Flash」を発表しましたが、製品化時期は未定とのこと。一方、すでに販売中の「realme GT」シリーズをMagDart対応にできるカバーを提供する予定です。この方式であれば、スマートフォン本体にマグネットを埋め込む必要がなく、コストをアップを抑えることもできます。
ちなみに「Dart」はrealmeの高速充電技術「Dart Charge」からつけられた名称です。OPPOとrealmeは同じグループ企業(Oujia Holdings)の会社であることから、OPPOのVOOCとrealmeのDart Chargeはベース技術は同じです。そのため両者のマグネット式システムのMagVOOCとMagDartは互換性があると思われます。
またグループ企業内のもう1社、OnePlusも同じ技術を使った高速充電技術「Warp Charge」を採用していることから、同社からもマグネット式ソリューションとして「MagWarp」が出てくる可能性は十分高いでしょう。3社で共通のシステムを展開すれば、他の中国メーカーにはない3社だけの強力なアドバンテージとなります。
とはいえ、これらのマグネットを使ったシステムは、スマートフォンの背面の中央部分を中心に大きな面積を利用します。スマートフォンの背面はカメラ以外には何もないデザインが多いものの、最近のスマートフォンはカメラモジュールの大型化が進んでいます。シャオミの「Mi 11 Ultra」のように高画質カメラだけではなく背面にサブディスプレーを搭載すると、スマートフォンの背面の空きスペースはさらに少なくなっていきます。
ASUSのROG Phoneシリーズのように、ゲーミングスマートフォンは背面を光らせたりディスプレーを搭載する動きもあります。スマートフォンの背面は何もない空間であり、スマートフォンに残されたカスタマイズ可能な最後の空間でしたが、マグネット式アクセサリーが広がる前に、ほかの用途に使われるケースが増えるかもしれません。OPPO、realmeそしてOnePlusが今後Androidスマートフォンの「Mag」技術をどう展開していくのか気になるところです。
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