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業務現場のネットワークを安定稼働させるために必要な「堅牢性/安定性/機能性」を考える

Wi-Fi 6アクセスポイント、ビジネス向けと一般向けの“差”を検証してみた

2021年07月20日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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 企業オフィスに限らず、小売店舗や倉庫、工場など、近年ではビジネスのあらゆる現場でWi-Fi(無線LAN)の利用ニーズが高まっている。日常業務を支えるWi-Fiデバイスとして、PCだけでなくスマートフォンやタブレット、ハンディターミナル、監視カメラ、その他のIoTデバイスと、多様なものが登場しているからだ。さらに飲食店や宿泊施設、公共施設などの現場では、顧客サービスの一環としてゲストWi-Fi(フリーWi-Fi)を提供するケースも増えた。

 こうした現場のネットワークには「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」対応アクセスポイントの導入がおすすめできる。最新規格のWi-Fi 6では、通信の高速化に加えて、多台数のデバイスを同時接続しても途切れにくく、安定した通信ができる技術が盛り込まれている。利用するWi-Fiデバイスの多い業務の現場でこそ、こうした特徴は生きてくるはずだ。

 それでは、「Wi-Fi 6対応」をうたうアクセスポイントであれば、どれを選んでも同じなのだろうか。特に、ビジネス向け製品と一般向け(コンシューマー向け)製品では大きな価格差がある。同じ性能ならば安価な一般向け製品を選べばよいと思うだろうが、現実にはほとんどの企業がビジネス向け製品を選択する。価格差に見合うだけの“差”はどこにあるのだろうか。

 本稿ではそうした疑問を解消するべく、ビジネス向けと一般向けのWi-Fi 6アクセスポイントの違いについて、実機テストの結果もまじえながら比較してみたい。ダイワボウ情報システム(DIS)の協力をいただき、ビジネス向けWi-Fi 6アクセスポイントの代表選手として、シスコシステムズの「Cisco Meraki MRシリーズ」、LANスイッチとして「Cisco Meraki MSシリーズ」を用意した。

中小企業のネットワーク、悩みは「安定性」の確保

 シスコシステムズでは今年(2021年)、従業員数300名以下の国内中小企業を対象とした「社内ネットワーク機器に関するアンケート調査」を実施した。以前の記事でも紹介したが、ここで再度、そのポイントを確認しておきたい。

 同調査によると、中小企業が現在のネットワーク機器を導入する際に重視した点は「価格」「機能」「安定性」が主だった。その一方で、現在のネットワークで困っている点として「セキュリティ対策」と「ネットワークの安定性」が多く挙げられている。

設問「現在導入されているネットワーク機器(ルーター・スイッチ・Wi-Fiアクセスポイント等)の導入の決め手をお知らせください(複数回答、3つまで)」

設問「現在のお勤め先のネットワーク環境において、お困りのことがあれば教えてください(複数回答、いくつでも)」

 ここでは、両方の回答で「安定性」が挙がっていることに注目したい。つまり、価格だけではなく安定性も重視して製品選択をしたにもかかわらず、実際には安定性に対する不満が解消できていないケースが少なくないということだ。

 製品の購入前に調べることができる価格や機能とは異なり、安定性という要素は事前に予測することが難しい。導入してみたら安定稼働しなかった、といったことも起こりがちだ。それでも、業務の中でネットワークを活用する場面は急速に増えており、ネットワークの安定稼働は欠かせない要件になっている。この調査結果は、ビジネス現場のネットワークに対する「安定性」への期待と現実のギャップを示すものと言えるだろう。

 ネットワーク機器の安定性が重視される背景としてもうひとつ、IT管理者の業務負荷の大きさも挙げられるだろう。ほかの業務で日々多忙なIT管理者でも、現場業務を支えるネットワークに障害が発生すれば、最優先でその復旧に当たらなければならない。障害の原因がわからず、トラブルシュートに時間がかかるとなると、その負担はなおさら大きくなる。IT管理者のそうした悩みを減らすためにも、ネットワーク機器には安定性が強く求められるわけだ。

ビジネス向けと一般向けのネットワーク機器を実機で検証してみる

 とは言え、冒頭でも触れたように、ビジネス向けと一般向けのネットワーク機器にはある程度の価格差がある。今回のテーマであるWi-Fi 6アクセスポイントでも、その事情は変わらない。価格差に見合うだけの“違い”はどこにあるのだろうか。

 その疑問を解消するために、まずはビジネス向け/一般向けアクセスポイントの実機を使って、比較テストをしてみることにした。

 まず、ビジネス向けWi-Fi 6アクセスポイントとしては「Cisco Meraki MR36」、LANスイッチとして「Cisco Meraki MS120」を用意した。Meraki MRシリーズのWi-Fi 6対応アクセスポイント5モデル(MR56/46E/46/44/36)のうち、MR36はエントリーモデルに当たる。2x2 MU-MIMOで2ストリーム(UL/DL)の通信ができ、Wi-Fiの合計帯域幅(理論値)は1.7Gbpsとなっている。またMeraki MS120は、MRシリーズのアクセスポイントとセットで用いられることも多い、PoE/PoE+の給電が可能な1ギガビットスイッチだ。MRシリーズと一緒に、MerakiクラウドのWeb GUIで設定、運用管理できるようになっている。

Wi-Fi 6対応アクセスポイント「Cisco Meraki MR 36」

 比較対象として、一般向けのWi-Fi 6アクセスポイント(Wi-Fiルーター)製品も用意した。基本スペックの部分で差が付かないように、同じ2x2 MU-MIMO、2ストリーム、帯域幅1.7Gbpsという製品を選んでいる。メーカー名や機種名は伏せるが、ECサイトでは売上上位の製品であり、一般家庭だけでなく小規模なオフィスや店舗でも広く利用されていると思われる。推奨同時接続デバイス数は「14台」と表記されていた。またスイッチも、一般向けの安価な1ギガスイッチを使用している。

 今回はそれぞれに多数のWi-Fi 6対応PCを接続し、「スループットテスト」によってアクセスポイントが安定して稼働するかどうかを試した。なお、あくまでも簡易的なテストであること、テスト環境はオフィスビルの一室で周辺の電波環境に影響を受けていることはあらかじめご了解いただきたい。

 スループットテストは、LAN内に設置したNAS(1Gbps有線接続)からWi-Fi 6接続のPCへ、1GBのファイルをダウンロードする際の速度を計るテストだ。PC1台でダウンロードする場合と、PC8台で同時ダウンロードする場合をそれぞれ3回ずつ計測して、ダウンロードにかかる1台あたりの平均値を求めた。

「スループットテスト」の概要

●PC 1台で1GBダウンロード実行
 ・一般向けアクセスポイント:最大スループット238Mbps、平均38.9秒
 ・ビジネス向けMeraki MR :最大スループット809Mbps、平均11.6秒

●PC 8台で同時実行
 ・一般向けアクセスポイント:最大スループット38.4Mbps、平均183.9秒
 ・ビジネス向けMeraki MR :最大スループット205Mbps、平均82.7秒

 テスト結果では、事前の予想以上に大きな差が付いた。こうした差が生まれた原因のひとつとして、Meraki MRシリーズがビジネス向けの処理能力を有するプロセッサを搭載していることが推測される。MR36をはじめとするMeraki MRシリーズは、たとえば合計40台以上の端末が同時にインターネット動画を再生するような、学校の1人1台端末環境(GIGAスクール)でも数多く採用されている。

 今回のテストにおいては、いずれのアクセスポイントも安定性を失うことはなく、処理中にダウンしたり不安定になったりすることはなかった。それでも、キャパシティに余裕が感じられたのはMeraki MR36のほうだった。接続するデバイス台数がさらに増えれば、この差はよりはっきりと実感できるに違いない。

稼働監視やトラブルシュートを効率化する「管理性」にも大きな差

 ビジネスネットワークの安定稼働を実現するためには、ネットワークが正常に稼働しているかどうかを把握し、何らかの障害が発生した場合には即座に対処、復旧できるような「管理性」も重要な要素である。IT担当者としては、何か問題が生じた際にできるだけ効率良くトラブルシュートができる製品や、LANスイッチなども含めたネットワークインフラ全体を一括して運用管理できることが望ましいだろう。

 ビジネス向けネットワーク製品に対しては「設定や運用管理が難しいもの」というイメージがあるかもしれない。だが、日本語化されたWeb GUIのクラウド型管理ツールを備えるMerakiシリーズの場合は、ITに関する基本的な知識があれば簡単に設定や運用管理ができるようになっている。コマンドライン操作を覚える必要はないし、管理専用サーバーを自ら構築する必要もない。LANスイッチもまとめて監視、管理できる点もうれしい。

MerakiのWeb管理コンソール。幅広い情報をわかりやすく整理、可視化してくれる

 Merakiシリーズのアクセスポイント(MRシリーズ)やスイッチ(MSシリーズ)は、インターネット経由で常時、Merakiクラウドとの通信を行うようになっている。ネットワークの詳細な稼働状態をクラウドに送信して蓄積し、時系列グラフで可視化するとともに、クラウド側の管理コンソールで入力された設定情報を取得して、自動的に設定変更を行う仕組みだ。これにより、同じ管理アカウントにひも付けられたMerakiシリーズのデバイスは、リモートから一元的な監視や管理ができるようになっている。

 一般向けアクセスポイントの場合、ローカル(LAN内)から1台ずつログインして管理する方式の製品がほとんどだ。また、Wi-Fiの利用状況についても、リアルタイムに接続デバイス台数を確認できる程度の機能しかない。たとえば業務用Wi-FiやゲストWi-Fiがどの程度、どのような目的で利用されているのか、またピーク時のトラフィック量から現在のキャパシティで十分かどうかを判断するようなことは難しい。管理性の面では、ビジネス向けのMerakiシリーズとは明らかな差がある。

クラウド経由で各拠点のMeraki製品を設定し、同時に稼働情報を収集、分析する仕組み

 Merakiシリーズの提供する管理機能は、IT管理者にさまざまなメリットをもたらす。たとえばアクセスポイント設置時の「ゼロタッチコンフィグ」だ。Meraki MRアクセスポイントや Meraki MSスイッチをあらかじめMerakiアカウントにひも付けておけば、設置拠点ではインターネット接続するだけで、クラウドから設定情報を取得して自動的に初期設定が完了し、Wi-Fiネットワークの運用がスタートする。つまり、IT管理者が現地におもむく必要がないわけだ。もちろん、運用監視後の設定変更や稼働監視、ファームウェアアップデートなどのメンテナンス作業も、リモートから行うことができる。

 ネットワークのトラブルシューティングを簡単にする機能として「Meraki Health」も用意されている。ネットワークの“健康状態”をグラフィカルに表示するとともに、接続トラブルなどが起きた場合には、アクセスポイントやSSID、Wi-Fiデバイスといった単位でドリルダウンして詳細な調査ができる機能だ。

 たとえば今回のテスト環境で、特定のiPadについて「クライアント接続状況」を表示してみたところ、次の画面が表示された。同一チャンネルの使用率(デバイス接続数)がやや高めで注意が必要だが、接続は100%成功しているという分析結果だ。このように具体的な情報が得られれば、トラブルシューティングも効率的に進むはずだ。

あるクライアント(iPad)の接続状況をドリルダウン表示。接続先アクセスポイントや上位スイッチまで情報が表示され、問題があるポイントも一目でわかる

 問題が多く発生しているアクセスポイント、SSID、クライアントがあれば、ダッシュボードにわかりやすくアラートが表示される。もちろん、こうしたアラートはメールやモバイルアプリで通知させることも可能なので、IT管理者は常にダッシュボードを見張っていなくても大丈夫だ。

 ユーザーから「インターネットにアクセスできない」というクレームが来たときに、アクセスのどの段階で障害が起きているのかを分析、表示してくれる機能もある。問題があるのはアクセスポイントとの無線接続か、認証の部分なのか、あるいはクライアントのDHCPやDNSの設定が間違っているのか、LANスイッチなどを含めたネットワーク全体の視点から原因の切り分けが簡単にできる。

 接続デバイス台数やトラフィック量、通信のクオリティといったデータは時系列グラフとして表示できる。どの時間帯に利用が多いのか、利用ピーク時でも十分な通信品質が保てているかといったことが一目でわかるので、将来的なネットワーク拡充計画にも生かせるだろう。

Merakiの管理コンソールは豊富な視点からネットワークの稼働状態を可視化できる

多拠点展開とネットワークの一括管理など、便利な利用シーン

 ここまで紹介してきたMerakiシリーズの管理性は、さまざまなビジネス現場で便利に生かせるはずだ。

 たとえば、オフィスや店舗を多拠点に展開している会社では、本社にいるIT管理者がMerakiクラウド経由で全拠点のネットワークを一括管理できる。ゼロタッチコンフィグで導入し、運用開始後もリモートから稼働状態を把握できるため、IT管理者が現地におもむく必要を完全になくすことができる。昨今ではIT管理者にもリモートワーク/在宅勤務が求められているが、そうした“働き方改革”にも役立つはずだ。

 遠隔地の拠点でネットワークにトラブルが発生した際も、まずはMeraki Healthを活用して、リモートから詳細な原因調査が可能だ。原因を発見したら、設定変更や再起動もリモートからできるので、ネットワーク復旧までの時間も大幅に短縮される。業務でネットワークを利用している従業員からも喜ばれるだろう。

 Merakiは、アプリケーショントラフィックの識別/分析機能も備えている。オフィスネットワークならば、どのようなアプリケーションがトラフィックを多く消費しているのかを調査したり、Web会議などの特定アプリケーションを優先設定(QoS)したりすることができる。また不特定多数が利用するゲストWi-Fiでは、セキュリティリスクの高いアプリケーションの通信は制限するといった使い方も可能だ。

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 今回は、一般向けネットワーク製品と比較するかたちで、ビジネス向けMeraki MRアクセスポイント(およびMerakiシリーズ製品)の特徴を見てきた。あらゆるビジネスの現場で求められている「安定稼働するネットワーク」を実現するためには、機器の「堅牢性 」と性能の「安定性」、さらに豊富な「機能性」が必要である。それらをバランスよく実現しているCisco Merakiシリーズ製品には、ぜひ注目していただきたい。

 Merakiには、本記事中で紹介できたもの以外にも豊富な運用管理機能が備わっている。シスコシステムズでは現在、Merakiシリーズ製品の「30日間無料トライアル」を提供しているので、この機会を活用してMerakiシリーズの安定性や便利さを体感していただきたい。さらに、Merakiのウェビナー視聴でアクセスポイントやLANスイッチが1台もらえるキャンペーンも実施中だ。詳しくは下記のリンク先から確認してほしい。

(提供:シスコシステムズ、検証協力:ダイワボウ情報システム)

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