PCの空箱を整理するついでに、納戸の大掃除を決意
どんなにデジタル化が進んでも、ず〜っとアナログのままなのが、リアルな空間の片付けや整理整頓です。
このところ「外出」がしづらいので、「納戸(倉庫)のPCの空箱でも整理でもしようかなぁ……」と思いつきました。しかし、それが底無し沼の入り口だとは、そのときはまだ気がつかなかったのですが……(笑)。
最近、iMacをストアに持ち込んだり、修理に発送したりしたのですが、あれって、宅配業者が専用の梱包ケースを持ってきてくれるんですよね。そんなことで、今更ながらにPCの空箱が不要なことに気がついたのがフラグだったのかもしれません。
そうしたら、納戸から、出るわ、出るわ、大量の空箱。デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、レンズ類、三脚、フラッシュ……。とくにカメラ機器は、立派な箱に入っていることが多いので、つい保存したくなるんですよね。
そんな大量の空箱を1日がかりで解体して捨て、納戸の1/4くらいが空きました。しかし、それだけでは終わりません。空箱を整理する過程で、組み立てていないプラモとか、探していたモノとか、今後は使いそうもない旧規格の変換ケーブルなど、いろいろなものが納戸から発掘されたわけです。
そこで、「ヒマじゃないけど、外出控えめだし……」と、たった3畳の納戸のモノをリビングルームに出してみると……マジックみたいに大量にモノが出現しています。もう、底無し沼に首までハマっている状態です。
そんなわけで、出したモノを再び収納しないと、日常生活がすごせそうにありません。それなら、次はしばらく整理しなくてすむようにと、知恵をしぼって、いろいろと収納法のアイディアを考えてみました。
アイディア1:棚の縁にマグネットは便利
あまり詳しくは言えませんが、マジシャンとマグネットはとても仲良しなのです……(汗)。だから……というわけではありませんが、収納棚の縁にマグネットがあると、とても便利です。
たとえば、以下のように利用できます。
☆よく使う台車が、しっかり収納できる
☆スチール缶を付ければ、ラベリング用のペンやテープ、ハサミを収納できる
☆狭い空間でも、ドライバーなどの工具が行方不明にならない
☆スチール片で挟めば、ゴミ袋がセットできる
ただし、磁気に弱いもの、たとえばハードディスクなどを納戸に出し入れするときや、収納して置く場所などには注意が必要です。
アイディア2:取り出しやすさの優先度で収納場所を決める
マジシャンはポケットからトランプなどを取り出してマジックを始めますが、実はポケットにも「取り出しやすさの優先度」があります。
右利きの筆者なら、まず、右のパンツポケット、次にジャケットの左内ポケット、次に右ジャケットポケットという順番です。そこにマジックに使う順に入れておきます。
クローゼットの収納場所にも、同じような場所の価値があり、入り口の正面や右側の中段は、価値が高い場所(取り出しやすい場所)。そんな場所に優先度に合わせて収納コンテナが戻せるように、棚に色の目印を付けました。
アイディア3:頑丈でリーズナブル、色分けできる収穫用コンテナ
よく見かける乳白色の引き出しの衣装ケース(主にポリプロピレン製のもの)は、リーズナブルで便利です。しかし、衣類などの収納を想定しているからか、収納するモノの重さによっては変形してしまうのが難点。
そこでおすすめなのは、収穫用コンテナ。アイディア2のところで写真をのせている、色の目印を付けたオレンジ色のコンテナです。これは、農作物や工業製品向けに作られたBtoB製品なので、積載荷重も20kgと頑丈。重いものを長期保存しても変形せず、積み重ねも可能です。
価格も安価で、ネットショップだと2000円前後ですが、郊外のホームセンターなどでは600円ほどで販売されていることも。底面にキャスターはありませんが、底を滑らせて移動させられるのも気に入っています。
色も豊富で、筆者は出し入れの頻度が高いモノ(大型掃除機やコード類など)はオレンジやグリーンなどの濃い色、あまり使わないモノ(CDなど)は水色や黄色と、薄い色に収納しています。納戸のように見せない収納にはピッタリ。
アイディア4:三脚ラックなど積み重ねにくいものはボイド管を利用
我が家の収納が難しいランキングの1位はカメラ三脚。積み重ねられない上に、長さもいろいろ。乱暴に扱うわけにもいきません。
そこで、「ボイド管」と呼ばれる大型の紙筒でスタンドを作りました。ボイド管とは、コンクリートに筒状の空間を作るための建築資材のこと。安価で入手できる上、加工が比較的簡単。紙製で不要になれば燃えるゴミで出せるのも特徴です。
アイディア5:ロッド状のモノは、フックと髪留めゴムを利用
海外の家の写真で見かける、カッコいい釣りざおの専用スタンド。あこがれますが、スタンドの穴とロッドの数が合わないと無駄なスペースになってしまうのが難点です。
両面テープで留められるフック(コマンドフックなど)と、髪留めゴムを利用すれば、収容物に合わせて増減できます。
アイディア6:手に触れるコード、ケーブル類は洗って密閉
収納品で、一番多かったのはコード類。考えてみれば、デジタル機器を買うと、電源ケーブル以外にも、サービスのようにいろんなケーブルが付属しています。
筆者はマジック以外の講演も多いので、ピンマイクや送受信機、スライドをスクリーンに映すためのプロジェクターにつなぐケーブルなどが、コンテナ4個分もありました。
あまり知られていませんが、コード類はカビが生えます。とくに、手で触れやすいマイクコード、マウス、ゲームコントローラー、ヘッドセットコードなどは、しまっておくとすぐにカビだらけに。
そこで、皮脂などの汚れに強いアルカリ性洗剤(「マイペット」など)を薄めた水に浸けてから洗い流します。注意点は、プラグ部分を浸けないことと、よく乾燥をさせてから収納すること。チャックのついたビニール袋などに密封して収納します。
旧規格のケーブル類、被覆が傷んだコード、同じ種類のケーブルなどを整理して、なんとかコンテナ2個分に半減できました。
アイディア7:トランプ用に除湿機とオゾンで燻蒸
最後はマジシャンならではの収納テクをご紹介。実は、納戸には仕事で使うトランプも保存しています。今回数えたら、23グロス(およそ3000個)もあって驚きました。マジックに使うトランプは紙製なので湿度やカビは大敵です。そこで、納戸に湿度計と除湿機を設置し、たまにオゾンで納戸全体を燻蒸することで解決!
マジックのタネや仕掛けは、じつはアナログのことがほとんど。その理由は、センサーや無線技術の弱点は「不具合や寿命が目に見えないこと」だからなんです。マジックなので、途中で「ちょっと、タネの調子がよくないので、少し待ってください……」なんて、許されません。
そんなマジシャンが考えた収納方法は、いかがでしたでしょうか。マジックのタネは教えられませんが、こんな収納法が皆さんのお役に立つこと、そして早くエンタメ業界が通常運行できるようになることを心から願っております。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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