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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第610回

Ice Lake-SPが発表、前世代より大幅に性能が向上したというが…… インテル CPUロードマップ

2021年04月12日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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Ice Lake-SPが発表
Xeon Bronzeはラインナップになし

 以下は発表された内容について。まず製品SKUは表の通り、合計36製品だ。

Ice Lake-SPのラインナップ
拡張性 コア/ スレッド数 L3 Cache (MB) 動作周波数(GHz) UPI 本数 対応メモリー Optane 対応 TDP (W) TCASE (℃) 推奨価格 (USD)
Base Max Turbo
Xeon Platinum 8380 2S 40/80 60 2.30 3.40 3 DDR4-3200 Yes 270 83 8,099
Xeon Platinum 8368Q 2S 38/76 57 2.60 3.70 3 DDR4-3200 Yes 270 58 6,743
Xeon Platinum 8368 2S 38/76 57 2.40 3.40 3 DDR4-3200 Yes 270 84 6,302
Xeon Platinum 8360Y 2S 36/72 54 2.40 3.50 3 DDR4-3200 Yes 250 80 4,702
Xeon Platinum 8358P 2S 32/64 48 2.60 3.40 3 DDR4-3200 Yes 240 80 3,950
Xeon Platinum 8358 2S 32/64 48 2.60 3.40 3 DDR4-3200 Yes 250 81 3,950
Xeon Platinum 8352Y 2S 32/64 48 2.20 3.40 3 DDR4-3200 Yes 205 81 3,450
Xeon Platinum 8352V 2S 36/72 54 2.10 3.50 3 DDR4-2933 Yes 195 78 3,450
Xeon Platinum 8352S 2S 32/64 48 2.20 3.40 3 DDR4-3200 Yes 205 81 4,046
Xeon Platinum 8351N 1S Only 36/72 54 2.40 3.50 0 DDR4-2933 Yes 225 76 3,027
Xeon Gold 6354 2S 18/36 39 3.00 3.60 3 DDR4-3200 Yes 205 77 2,445
Xeon Gold 6348 2S 28/56 42 2.60 3.50 3 DDR4-3200 Yes 235 80 3,072
Xeon Gold 6346 2S 16/32 36 3.10 3.60 3 DDR4-3200 Yes 205 78 2,300
Xeon Gold 6342 2S 24/48 36 2.80 3.50 3 DDR4-3200 Yes 230 81 2,529
Xeon Gold 6338T 2S 24/48 36 2.10 3.40 3 DDR4-3200 Yes 165 87 2,742
Xeon Gold 6338N 2S 32/64 48 2.20 3.50 3 DDR4-2667 Yes 185 83 2,795
Xeon Gold 6338 2S 32/64 48 2.00 3.20 3 DDR4-3200 Yes 205 81 2,612
Xeon Gold 6336Y 2S 24/48 36 2.40 3.60 3 DDR4-3200 Yes 185 80 1,977
Xeon Gold 6334 2S 8/16 18 3.60 3.70 3 DDR4-3200 Yes 165 69 2,214
Xeon Gold 6330N 2S 28/56 42 2.20 3.40 3 DDR4-2667 Yes 165 86 2,029
Xeon Gold 6330 2S 28/56 42 2.00 3.10 3 DDR4-2933 Yes 205 86 1,894
Xeon Gold 6326 2S 16/32 24 2.90 3.50 3 DDR4-3200 Yes 185 78 1,300
Xeon Gold 6314U 1S Only 32/64 48 2.30 3.40 0 DDR4-3200 Yes 205 81 2,600
Xeon Gold 6312U 1S Only 24/48 36 2.40 3.60 0 DDR4-3200 Yes 185 80 1,450
Xeon Gold 5320T 2S 20/40 30 2.30 3.50 3 DDR4-2993 Yes 150 86 1,727
Xeon Gold 5320 2S 26/52 39 2.20 3.40 3 DDR4-2933 Yes 185 79 1,555
Xeon Gold 5318Y 2S 24/48 36 2.10 3.40 3 DDR4-2933 Yes 165 87 1,273
Xeon Gold 5318S 2S 24/48 36 2.10 3.40 3 DDR4-2933 Yes 165 87 1,667
Xeon Gold 5318N 2S 24/48 36 2.10 3.40 3 DDR4-2667 Yes 150 83 1,375
Xeon Gold 5317 2S 12/24 18 3.00 3.60 3 DDR4-2933 Yes 150 84 950
Xeon Gold 5315Y 2S 8/16 12 3.20 3.60 3 DDR4-2933 Yes 140 81 895
Xeon Silver 4316 2S 20/40 30 2.30 3.40 2 DDR4-2667 No 150 84 1,002
Xeon Silver 4314 2S 16/32 24 2.40 3.40 2 DDR4-2667 Yes 135 86 694
Xeon Silver 4310T 2S 10/20 15 2.30 3.40 2 DDR4-2667 No 105 88 555
Xeon Silver 4310 2S 12/24 18 2.10 3.30 2 DDR4-2667 No 120 82 501
Xeon Silver 4309Y 2S 8/16 12 2.80 3.60 2 DRR4-2667 No 105 76 501

 全製品について共通なのは以下の点である。また、第2世代Xeon ScalableまではラインナップされていたXeon Bronzeは、第3世代ではラインナップされていない。

  • PCIe 4×Gen4 x16レーン搭載
  • 最大メモリー容量はDDR4のみの場合で4TB、Optane Persistent Memoryを組み合わせた場合最大6TB
  • パッケージはFCLGA4189-4(Socket P4:ちなみにCooper LakeはFCLGA4189-5で、こちらはSocket P5ないしSocket P+と呼ばれている)

 ちなみに型番はやや紛らわしい。下の画像が「第3世代Xeon Scalable」のSKU一覧であるが、例えばXeon Platinum 8380はIce Lake-SP、Xeon Platinum 8380H/HLはCooper Lakeになっている。型番にH/HLが付いているものがCooper Lake、なしあるいはそれ以外のものがIce Lake-SPとなる。

ほかにもXeon Gold 6348/6348Hとか6330/6330H、5318Y/S/N/HなどはIce Lake-SPとCooper Lakeが入り乱れている

 さてそのIce Lake-SPベース第3世代Xeon Scalableであるが、前世代(Cascade Lake-SP)に比べて大幅に性能が向上した、としている。

こう書くと本当に大幅に性能が上がっているように見えるのだが

 ただ少し冷静に考えてみると、コア数が28→40で1.43倍、IPCが20%(これはSkyLakeベースからSunny Coveベースに変わったことによる)向上しているから、動作周波数が同じなら1.43×1.2≒1.72で7割以上性能が上がってもよさそうなものである。にもかかわらず、SPECrate_intとfloat、Stream Triad、LINPACKの幾何平均が46%アップ、というのはそれだけ動作周波数が下がっていることの裏返しでもある。

 もっとも実際のアプリケーションでそこまで性能が上がることは普通ない。また、昨今Xeonが利用されるであろう企業向けアプリケーションはスケールアウトへの対応がだいぶ進んでおり、動作周波数が下がってもそれをコア数やIPCで埋め合わせできればそれはそれで問題ないわけで、実際実アプリケーションでも5割以上の性能改善が果たされたとしている。

これらの数字は複数のワークロードの性能改善率の幾何平均だったりするので、改善の理由はさまざまである

 微妙なのが競合製品との比較だ。最大25倍というのはIntel DL Boost(つまりAVX-512に実装されたVNNI)をフルに利用した場合の数字で、これは不思議ではない。

逆に言えば、AVX-512を使わない、通常のx64のワークロードで言えば、Ice Lake-SPはMilanの敵ではない、という言い方もできることになる

 インテルの示した数字で言えば、Xeon Platinum 8330 vs EPYC 7763(どちらも2ソケット構成)でHPCのパフォーマンスを比較すると1.18倍(Linpack)~1.5倍(Monte Carlo Simulation)の性能改善があったとするが、これはすべてAVX-512を利用した場合の比較である。

このスライドは日本の説明会に無かったので本国のものより

 他方AMDはAVX-512を使わないベンチマークでは第2世代Xeon Scalable比で100%以上高速としており、これを第3世代に切り替えても5割かそこらはEPYCの方が高速だろう。したがって、あとはどの程度アプリケーションがAVX-512対応になっているかどうか、で決まることになる。

 インテルもそのあたりがわかっているためだろう。Ice Lake-SPに合わせて、Intel Select SollutionとIntel Market Readyを充実させ、エッジ向けからクラウドまで500種類以上のパートナーソリューションを提供するとしている。こうしたものでどこまで囲い込み(というか、AMDやArmの追撃への対応)ができるか、というのが今後の焦点となる。

 なお説明会では、ほかにAgilex FPGAやOptane SSD P5800X/Intel SSD D5-P5316、Intel Persistent Memory 200シリーズ、さらにIntel Ethernet E810-2CQDA2などが同時に並べられたが、実はこれらの製品はいずれもすでに発表済のものだ。

一瞬「あれ? なにか新製品追加されたっけ?」と混乱した

 ただ従来のCascade LakeやCooper Lakeでは、PCI Express Gen3どまりであり、これらの製品のフルの性能は発揮できなかった。これがIce Lake-SPでPCI Express Gen4をサポートしたことで、こうした製品もフル性能を発揮できるようになった、というだけの話である。

 ということでやっと出荷されたIce Lake-SP。とりあえずジサトライッペイ氏の大紅蓮丸の中身が2 Socket Xeon Gold 8380に更新するイベントの中継が待ち遠しい。

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