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鳥居一豊の「コンパクトスピーカーが好き!!」 第10回

懐かしい顔付きと現代的な音──JBL 「4312MⅡ」で聴く「Shiro SAGISU Music from_SHIN EVANGELION」

2021年03月28日 15時00分更新

文● 鳥居一豊 編集●ASCII

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JBLらしさをどこに求めるかで評価が分かれるかも

 JBLと言えばジャズという人は多いと思うが、往年のJBLの音を求めるならば4312MⅡは目的にはそぐわないと思う。しかし、4312MⅡがJBLらしくないというとそんなことはない。紛れもなく現代のJBLのスピーカーだ。

 こういうことを言うと怒られてしまうかもしれないが、筆者は昔のJBLの音が好みではなく、現代のK2 S9900やエベレストDD6700なども過小評価していた。ずいぶん前にK2 S9900の音をじっくりと聴く機会があり、その音の素晴らしさに愕然とし、一時は真剣にJBLのスピーカーを手に入れようかと迷ったことがあるほどだ。

 そんな筆者の感覚からすると、4312MⅡは絶対的なクオリティーは別にして、K2 S9900寄りの現代的な表現力に近い鳴り方をするスピーカーだ。小型サイズに加えて価格的な制約もあって、JBLの良さのひとつである力強い低音を含めて諦めている部分もあるが、それでも中低域の反応の良さや弾むような鳴り方はよく出来ているし、中域の密度感や若々しい勢いの良さを感じるところはJBLの良さをきちんと受け継いでいると思う。要するにJBLの良さをどこに求めるかで、4312MⅡの評価は大きく分かれると思う。

 見た目のイメージが往年のJBLなので誤解されてしまいそうなところもある。けれども、ある種の風格を感じさせる顔付きは今見ても魅力的だと思う。どれも優秀な現代のスピーカーが、みんな同じような2ウェイ構成になってしまっている今、こうした目に見えてわかる強い個性は貴重な存在と言いたい。

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