業界人の《ことば》から 第424回
Alphabet ピチャイCEOのことばから
教育分野での存在感高まるグーグル、CEOもChromebook/仮想授業の広がりに驚き
2021年02月26日 09時00分更新
今回のことば
「1年前には4000万人だった生徒、教師のChromebookの利用者数は、現在、1億5000万人にまで増えた。10年前に開発したChromebookが、パンデミックにおいて、仮想授業の実現に役立つとは思いもしなかった」
Googleは、日本時間の2021年2月18日、全世界の教育関係者を対象にしたオンラインイベント「Learning with Google」を開催した。
教育分野向け組織であるGoogle for Educationの取り組みなどについて説明。全世界で1億7000万人以上の教育関係者が利用しているG Suite for Educationの機能を強化するとともに、Google Workspace for Educationへと名称を変更することを発表。2020年10月に発売したGoogle Workspaceの流れを汲み、「教育分野にGoogleの最大の価値をもたらすという決意を込めた。選択肢の増加、柔軟性の向上、機能のさらなる強化を提供できる」と位置づけた。
Google Workspace for Educationでは、Google ClassroomやGoogle Meet、Chromebookの機能強化のほか、無料版のG Suite for EducationをGoogle Workspace for Education Fundamentals に、有料版のG Suite Enterprise for Educationを、Google Workspace for Education Plusにそれぞれ名称を変更する一方、高度な管理とセキュリティを強化したGoogle Workspace for Education Standard、教員向けアカウントして、Google Meet によるビデオコミュニケーション機能の強化などを図ったGoogle Workspace for Teaching and Learning Upgradeを新たに追加。1億を超えるドキュメントの保存に十分な100TBのクラウドストレージ容量を、利用者のドメインごとに提供することも発表した。
同社では、「数1000人の先生に話を聞き、G SuiteやClassroom、Chromebook、Google Cloudなど、既存のソリューションの改善と開発を行ってきた。昨年だけで、無料版には数10の新機能、プレミアム版には25以上の新機能を追加した。より多くの学びを支援するために、新しいサービスおよび新機能を提供する」と語る。
ピチャイCEOは「場所を問わない学習のニーズ」を強調
完全オンイランで行われた今回の「Learning with Google」の冒頭に登場したのが、AlphabetおよびGoogleのCEOを務めるサンダー・ビチャイCEOである。
ビチャイCEOは、「Googleの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできるようにすることである。学びは、その根幹にあり、深く関わっている」と前置きし、「学びがあってこそ、情報が活用され、その知識を応用して、自分や家族、コミュニティを向上させることができる。私自身を振り返っても、成長期に、両親や先生が、世界への好奇心を育んでくれたことが、テクノロジーを多くの人に届ける道を選ぶことにつながった」とする。
そして、「その成果のひとつが、10年前に開発したChromebookである。それが、パンデミックにおいて、仮想授業に役立つとは思いもしなかった。1年前は、教育分野におけるChromebookの利用は全世界で4000万人だったが、現在では、1億5000万人の生徒、教師、スクールリーダーがChromebookを使っている」としながら、「非常に困難な1年であった。それでも教育関係者の皆さんは、生徒のために、毎日いつも通り授業を行った。生徒にやる気を起こさせ、安全に授業を行うための努力をしてきた。大変な状況のなかで努力してきた皆さんに感謝したい。Googleが、そこに少しでも役立てたことを誇りに思う」と述べた。
その一方で、「場所を問わない学習へのニーズは、パンデミック後もなくならない。私たちは未来に備え、教育を新たに創造するチャンスを手にしている。Googleは、そう考えて、従来の学習教育の取り組みを強化し、主要事業に位置づけた。Googleの力を最大限に発揮して、教育現場における課題解決をお手伝いさせていただく」と語った。

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