●ちょっと待って……Apple Watchが必要?
しかし、ちょっと待って下さい。Face IDを搭載するiPhoneユーザーのすべてがこれで救われたわけではありません。かなり重大な但し書きが残っていました。
「ただし、Apple Watchユーザーに限る」
Apple Watchを介してロックを解除するわけですから、当然Apple Watchユーザーのみがこの新機能の恩恵に授かれるわけです。当たり前ですが、Apple Watchを持っていない人はマスクずらしやパスコード入力から逃れられません。
アップルは基本的に、できるだけその製品単体で完成されたユーザー体験を作り上げようとしており、「連携」によるメリットは追加的な価値、という位置づけと見えていました。
iPhoneを単体で使ってもいいし、Mac単体で使ってもきちんと機能する。iPadだって、スタンドアロンで動作する。iPhoneとのペアリングが前提のApple Watchも、セルラーモデルによって単体でコミュニケーションやストリーミング音楽のリスニングを実現できます。
そうした独立性、「体験の完結」が各製品で確保されていながら、Face IDの回避方法がApple Watch頼みという点は、少しアップルらしからぬ対応、とも思いました。
もちろんマーケティング的に言えば、大正解です。より多くの人がFace ID搭載のiPhoneとApple Watchを組み合わせて使うことになり、Apple Watchをより多くの人に手に取ってもらうことができるようになるからです。

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