ノキアといえばスマートフォンや携帯電話のブランドとしてコンシューマーには知られていますが、1年前にスマートTVを発売したことも話題になりました。そして今度はノートPCを発売! ノキアのスマートフォンユーザーならぜひノートPCもノキアのものにしたいものです。
ノキアのノートPC「Nokia PureBook X14」のスペックは、CPUが第10世代Core i5 10210U、グラフィックスはインテルUHD Graphics 620。8GBメモリー(DD4)に512GBのSSD(NVMe SSD)を搭載。ディスプレーは14型フルHD(1920×1080ドット)で、Windows Hello対応のカメラを内蔵。インターフェースはUSB 3.1×2、USB 2.0×1、USB Type-C×1、HDMI×1、RJ45×1、オーディオ×1と盛りだくさん。本体はマグネシウム-アルミニウム合金で、サイズは320.2×214.5×16.8mm、重量は1.1kg。バッテリーは46.7WHr。OSはWindows 10 Home 64となっています。
IDCによるとインドは2020年第3四半期のPC出荷量が過去7年間で最大の成長を示しており、同期の出荷台数は340万台だったとのこと。特にノートPCを買う消費者が増えています。ノキアのノートPCもこの成長する市場で「Nokiaブランド」をバックに少しでもシェアを取ろうと考えているのでしょう。
とはいえNokia PureBook X14はノキアが製造・販売しているのではありません。スマートフォンと携帯電話はHDM Global社がNokiaのブランドをノキアからライセンス供与を受けて世界展開しているように、Nokia PureBook X14はインドの大手EC、Flipkartがライセンスを受け、製造はノートPCのOEM/ODM大手のTongfang社が担当しています。そのためNokia PureBook X14はインドのみで売られているのです。価格は定価が90000インドルピア(約13万円)ですが、販売記念価格は59990インドルピア(約8万6000円)となっています。
ノキアブランドのノートPCは古くからのノキア好きならちょっと気になる存在でしょうが、実はこれが初めてではありません。2009年にノキアは「Nokia Booklet 3G」で一度ノートPC市場に参入しています。ノキアの製品らしく、HSPAモデムを内蔵しSIMカードを入れればどこでも通信できることを売りとしていました。CPUはAtom Z530、1GBメモリーに120GBのHDD、ディスプレーは10.1型(1280×720ドット)といった構成です。
当時はiPhoneとAndroidが生まれた直後で、ノキアはスマートフォンと携帯電話のシェアで堂々の1位。スマートフォンOSシェアでもノキアが採用するSymbianは2008年に52.4%と圧倒的な強さを見せていたのです(ガートナー調査)。
ノキアとしてはアップルやグーグルの力が急激に伸びるとは考えておらず、むしろSymiban OSスマートフォンの活用範囲を広げるために小型で持ち運べるノートPCを投入し、モバイル市場でリードを広げようと考えていたのかもしれません。ちょうど2007年にASUSが「Eee PC」を発売し、小型・格安の「ネットブック」が各社から登場し人気製品となりました。Nokia Booklet 3Gが発売されたのはネットブックブームの真っただ中だったのです。
しかしネットブックは後から出てきたiPadやAndroidタブレットに使い勝手で劣ってしまうなど、中途半端な存在に終わり、わずか5年でブームは終了します。そしてノキアのBooklet 3GもPCメーカー相手には勝てず、失敗に終わってしまいました。
Symbian時代(そしてWindows Mobile時代)のノキアや、Booklet 3Gを覚えている人はもはや少なくなりました。しかし、ノキアのブランドそのものは今でも多くの国で知られた存在です。2021年に発売されたNokia PureBook X14は、新しい時代のノキア製品として、インドの消費者に愛される存在になるでしょう。グローバル展開はなさそうですが、ぜひ定期的に新製品を投入し続けてほしいですね。
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