山根博士の海外モバイル通信 第532回
MediaTekの最新ハイエンド5G対応チップ「Dimensity 1200」搭載スマホを Blackviewがいち早く投入
2021年01月29日 10時00分更新
MediaTekは1月20日に5G対応チップセットの新製品を発表しました。ハイエンドモデル向けの「Dimensity 1200」と「Dimensity 1100 5G」の2種類で、いずれもモデム性能は5G SA(スタンドアローン)のデュアルSIMに対応するなど数年先の利用も見据えた設計になっています。カメラ制御もDimensity 1200は2億画素まで、Dimensity 1100 5Gは1億800万画素に対応。5G時代は「億画素」が当たり前のものになりそうです。
この最新チップセットの採用をさっそくシャオミが発表するなど、大手メーカーもMediaTekの動きに敏感になっています。しかし、その動きは大手メーカーだけではありません。アクティブ系スマートフォンを主に展開するBlackviewがDimensity 1200を搭載するスマートフォン「BL8000」を開発していると発表しました。
Blackviewといえば2020年11月に世界初のタフ仕様5Gスマートフォン「Blackview BL6000 Pro」をリリース。大手メーカー以外で5Gスマートフォンを開発するメーカーが少ない中、率先して5G製品を出してきたのです。チップセットはMediaTekのDimensity 800を採用したミドルハイレンジモデルで、IP68/IP69K/MIL-STD-810G対応、マイナス30度でも利用できるという本格的なアクティブ系スマートフォンです。
Blackviewはオンライン販売を主としており、ミッドレンジからエントリーモデルを海外に販売しています。そんな同社がMediaTekのハイスペックの5Gスマートフォンを投入するのは、ハイエンド製品にもフォーカスし製品の幅をより広げようと考えているのでしょう。
Dimensity 1200の性能はAnTuTuスコアで60万前後のようです。すなわちクアルコムのSnapdragon 865相当とかなりの高性能。搭載するスマートフォンの価格はミッドハイクラスになると予想され、1年前のハイエンド機がミドルハイの価格まで下がろうとしています。
すでに5Gスマートフォンは海外では数多くの製品が出てきています。一方、5Gの普及はまだこれから。つまり大手メーカーと並んでいち早く5Gスマートフォンを出せば、Blackviewのようなメーカーにも十分なビジネスチャンスがある状況と言えるわけです。大手メーカーとほぼ同時期に最新チップセット搭載モデルの開発をアナウンスするとは、Blackviewの5Gスマートフォンにかける意気込みが本気であることを表しています。
現在発売中の同社唯一の5Gスマートフォン、BL6000 Proは普通のスマートフォンに比べれば外観はややゴツイものの、タウンユースも十分対応できるスタイリッシュなデザインの外観です。タフ仕様ということを大きくアピールせず、街中でもアウトドアでもどちらでも似合う製品に仕上がっているのです。このような製品は大手メーカーはサムスン電子の「Xcover」シリーズがあるくらいで、ライバルは多くありません。Uber Eatsの配達員など日々アウトドアでスマートフォンを使うような人にも向いた製品と言えます。
Dimensity 1200を搭載するBL8000がどのようなデザイン・仕様で出てくるかはまだわかりません。しかし、ゴテゴテなアウトドア仕様ではなく、BL6000 Proのような外観で普段使いしても違和感のないものとして出てきそうです。しかも価格はリーズナブルでしょう。ちなみにBL6000 Proは399.99ドル(キャンペーン価格)で販売されています。BL8000はそこから100ドル、高くても200ドル追加くらいの価格かもしれません。
大手メーカーの力が強くなる中で、Blackviewのような特別な製品を作るメーカーが積極的に5G市場に参入することで市場は活性化されます。Dimensity 1200搭載スマートフォンが各メーカーから出てくるのは今年の春から夏くらい。BL8000がどんな製品になるのか楽しみです。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。
この連載の記事
-
第782回
スマホ
紙のような書き心地のタブレット「HONOR Pad 9 Pro」は学生に人気 -
第735回
スマホ
もはやアート! シャオミ「Xiaomi 15 シルバー版」は背面の凹凸模様が美しすぎ -
第733回
スマホ
ハッセルブラッドカメラで話題の「OPPO Find X8」の日本未発売カラー3色を比較した -
第731回
スマホ
スマホ世界シェア4位をうかがう「Infinix」から激薄モデルや折りたたみが続々 -
第730回
スマホ
AQUOS R9 proのカメラ周りをドレスアップ! フィルター装着で広がるスマホの楽しみ方 -
第729回
スマホ
激薄折りたたみ「Galaxy Z Fold Special Edition」のケース3種類を試す -
第728回
スマホ
Xiaomi 14Tにフィルター装着できるMagSafeケース、香港の予約特典に登場 -
第727回
スマホ
Galaxyの2025年モデルがいよいよ登場「Galaxy A16 5G」が販売開始 -
第726回
スマホ
1700万円のシャオミ製スーパースポーツEV「SU7 Ultra」を広州モーターショーで見た -
第725回
スマホ
この冬一番の注目スマホ、超薄型折りたたみの「心系天下W25」がサムスンから登場 -
第724回
スマホ
駅名ごとGalaxy! クアラルンプールの「Samsung Galaxy駅」がスゴすぎた! - この連載の一覧へ