このスマホ、ホントに買い? 話題のスマホ徹底レビュー 第254回
山根博士のグロスマレビュー
Kirin 9000搭載のハイスペックスマホ「HUAWEI Mate 40 Pro 5G」は不満点がほぼない
2021年01月23日 12時00分更新
日本で未発売の「HUAWEI Mate 40 Pro 5G」
中国版をレビュー
ファーウェイの2020年秋冬フラッグシップモデル「Mate 40」シリーズは2020年10月22日に発表され、秋冬フラッグシップモデルとして現在海外数ヵ国で販売されている。そのシリーズ中核製品となるのが「HUAWEI Mate 40 Pro 5G」だ。チップセットにKirin 9000を採用し、50倍望遠のペリスコープカメラを搭載。さらにオプションでペン入力にも対応しており、プライベートからビジネスまであらゆるニーズにこたえるハイスペックな製品だ。今回は中国大陸で販売されているモデルを入手したのでレビューしよう。
HUAWEI Mate 40 Proは6.76型(2772×1344ドット)ディスプレーを搭載する。なお上位モデル「HUAWEI Mate 40 Pro+」もディスプレーサイズは同じで、背面カメラ以外は両者の差はほとんどない。ちなみに2020年春モデルとなる「HUAWEI P40」のディスプレーは6.58型(2640×1200ドット)。HUAWEI Mate 40 Pro 5GはPシリーズよりディスプレーのサイズも解像度も一回り大きくなっている。なお、フロントカメラはデュアルで1300万画素と200万画素の深度測定用を備えている。
背面カメラは5000万画素+2000万画素の超広角+1200万画素の光学5倍・デジタル50倍望遠の3カメラ構成。背面中央上部に円形にカメラを配置したデザインは昨年の「HUAWEI Mate 30」シリーズをイメージさせるが、HUAWEI Mate 40 Pro 5Gはより外側にカメラを配置している。
本体サイズは約75.5×162.9×9.1mm、重さは約212g。ディスプレー側面の角を落とした「ホライゾン・ディスプレー」を採用している。本体右側面には電源ボタンとボリュームボタンを備える。赤い電源ボタンにファーウェイのフラッグシップモデル共通のデザインだ。またHUAWEI Mate 30シリーズはボリュームボタンを廃止していたが、HUAWEI Mate 40 Pro 5Gは物理的なボタンが復活している。
左側面にはボタン類はなくスッキリした仕上げ。
本体上部もスピーカーなどの穴があるだけだ。
本体下部はUSB Type-C端子とnanoSIMスロット。SIMトレイは上下に2枚のnanoSIMまたはnanoSIM+NMカードのどちらかの組み合わせとなる。
本体を持ってみると角が落とされているため持ちやすく、重量も思ったほどは感じない。指紋認証センサーはディスプレー下部に埋め込まれているが、本体を握ったままで親指がちょうど当たる位置に配置されているため使いやすい。エッジのほぼ見えないホライゾンディスプレーは6.76型という大きさも相まって動画を見る時などに高い臨場感が得られる
とはいえ片手持ちではディスプレイの四隅まで指先が届かないのは仕方ないところ。ディスプレー側面はダブルタップでソフトウェアボリュームボタンが表示されるので、左利きの人も音量調節がしやすいだろう。なおエッジ部分を握って手のひらが当たっていても誤操作(タッチ判定)されることはないので、本体をしっかり持って使うことができる。
本体カラーはMystic Silver、White、Black、Olive Green、Sunflower Yellowの5色展開。グリーンとイエローはビーガンレザー仕上げだ。なお、昨今の情勢の影響により販売国は限られており、国によって投入されるカラーも限定されるようだ。筆者の居住する香港ではMystic SilverとBlackのみが販売される。
リングライトが飛び出す専用ケースも
さてHUAWEI Mate 40 Pro 5Gにはちょっと変わったケースが販売されている。背面に円形のLEDライトを内蔵した「Ring Light Case」だ。HUAWEI Mate 40 Pro 5Gはワイヤレスパワーシェア、いわゆるほかの端末を無線充電する機能を持っており、Ring Light CaseもHUAWEI Mate 40 Pro 5Gから給電されてライトを点灯できる。
背面にはボタンがあり、下方に押すとリングライトが飛び出し、ボタンを押しこむとライトが点灯する。
ディスプレーをLEDライト代わりにできるスマートフォンもあるが、このリングライトならビデオ撮影中にずっとつけっぱなしにすることもできる。夜間や暗い室内でのビデオ撮影やライブ配信時に便利だろう。ライブコマース流行りの中国では屋外からのライブ配信をすることも多いようで、そこから生まれたアイディア商品と言えるだろう。ほかのメーカーも類似の製品を出してほしいものだ。
さてOSはAndroid 10にファーウェイ独自UI「EMUI 11」を搭載。例によってグーグルサービス(GMS)ではなくファーウェイサービス(HMS)が搭載されている。ちなみにファーウェイ端末は設定画面からネットワーク状況の表示が可能で、4G LTEと5G NRへの接続状況もある程度見ることができる。アンテナピクト表示が5Gでも、実はアンカーの4Gにしかつながっていないこともあり、その際は速度が出ない。HUAWEI Mate 40 Pro 5Gは実際にNRに接続しているかどうかを確認できるのだ。
高リフレッシュレートに加えて
スタイラスペンにも対応
ディスプレーのリフレッシュレートは90Hzに対応。固定か自動切換えを設定から選ぶことができる。ゲーミングスマートフォンの144Hzほど高速ではないものの、ブラウザーやSNSのタイムラインのスクロールが快適になる。またフロントカメラを使ったジェスチャー機能も持っており、本体の前で手のひらを左右に動かしてギャラリーの写真表示を送る、といったエアスクロール操作ができる。
ほかにも「手のひらをかざして起動」というハンドジェスチャー機能も追加された。画面がOFFの時でもHUAWEI Mate 40 Pro 5Gに触れることなく、手のひらをディスプレーの上、20~40cmの距離にかざすと画面ONとなる。料理中など本体に手で触れることのできないときに便利な機能だ。なお、画面ONのあとはそのまま顔認証させればロック解除までできる。
設定画面には「スタイラスペン」の項目もある。HUAWEI Mate 40シリーズ用に新たに発売されたスタイラスペン「M-Pen 2」が使える。M-Pen 2はApple Pencil初代同様にペンの頭の部分にキャップがあり、その中にUSB Type-C端子を備え、HUAWEI Mate 40 Pro 5Gに差し込むと充電とペアリングが行なわれる。5分の充電で2時間使用が可能、満充電では10時間使うことができる。
M-Pen 2は17gと軽量で普通のペンを持った感覚で利用できる。4096階調の筆圧に対応。本体にはボタンがあり、ボタンを押しながら画面タップでメモ帳を開くなどショートカット操作にも対応する。
プリインストールされているファーウェイのメモ帳アプリのほか、手書きに対応したアプリに書き込みができる。PDFの赤入れなどにも便利だろう。
それでは本体のパフォーマンスを見てみよう。本体パワーを最大限利用できるパフォーマンスモードにしてAnTuTuを測定したところ、スコアは65万を超えた。またGeekbench 5でもシングルコアで1012、マルチコアは3540。Kirin 9000のパフォーマンスは業界トップクラスであることがわかる。また、5G NRのスピードテストは香港の5G環境で下り約400Mbps。測定したエリアではこの程度の速度が最速なので、モデム性能も十分なことがわかる。
さてカメラ性能はPシリーズの構成より若干劣るものの、2020年秋冬モデルの中では高いスペックを誇る。DXOMARKのスコアを見ると、1位はHUAWEI Mate 40 Pro+ 5Gの139、2位がHUAWEI Mate 40 Pro 5Gの136だ。フロントカメラではHUAWEI Mate 40 Pro 5Gが104で1位となっている(2020年12月25日時点)。HUAWEI Mate 40 Pro 5Gのカメラの総合的なパフォーマンスは業界トップなのだ。
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