独自CPU「M1」で処理性能&バッテリー駆動時間が大幅向上 新Mac特集 第17回
アップル「M1版」MacBook Air、MacBook Pro、Mac miniのパフォーマンスを実アプリベンチでチェック
2021年01月02日 10時00分更新
iPhoneシミュレーターの起動時間を計測
XcodeによるiOSアプリ開発の際には、実機でテストする前に、Xcodeに付属するiPhoneシミュレーター上で動作を確認するのが一般的だ。そのためのSimulatorアプリは、これまでインテルCPUを搭載したMacで起動する際にかなりの時間がかかるというという印象があった。今回のテストでは、シミュレートするiPhoneとして「iPhone 12 Pro Max」を選び、中身を消去して再起動(Erase All Content and Settings...)するための時間を計測した。
結果は、今回のテストの中で、インテルAirと各M1マシンの差がもっとも大きなものとなった。ざっと4倍以上だ。iPhoneシミュレーターは、いったん起動すれば、ビルドしたアプリを転送して動作を確認するのには、それほど時間はかからない。しかし、シミュレートするiPhoneの機種を変更すると、電源オフの状態から起動することになるので、それなりの時間がかかる。これまではイライラしながら待つ必要があったが、それが4倍速くなるのだから、アプリの開発効率も向上する。
iMovieによる4Kムービーファイルの「共有」に要する時間を計測
ちょっとしたムービーの編集や、フォーマットの変換のためにiMovieを利用する人も多いだろう。その際にいちばん時間がかかるのは、ムービーファイルを書き出す処理だ。iMovieでは、これを「共有」と呼んでいて、メニューからさまざまなファイルフォーマット(解像度)を選択して書き出すことができる。
このテストでは、長さがちょうど50秒の4K(3840×2160)ムービーファイル(H.264、AAC形式)を、iMovieのメニューで言うところの「Facebook用」として書き出す時間を計測した。結果のムービーは、「SD 480p(640×360)」のフォーマットで、サイズは13.4MBほどになる。ちなみに元のファイルサイズは125.6MBだ。
結果は、どのM1マシンでも、インテルAirのちょうど4倍の速度となった。これもはっきりと体感できる速度向上だ。圧縮ファイルの展開もそうだったが、比較的大きなデータの移動をともなう処理では、インテルAirの4倍というのが、だいたいの目安になりそうだ。これはストレージの読み書きも含めたM1搭載機の総合的な能力の高さと判断しても良さそうに思える。
ただし、M1搭載機の性能については、ちょっと気になる点もある。まだ結果が確定していないため、今回は示さないが、さらに大きな(10GBを超えるような)データの移動を伴うような処理では、8GBというメインメモリーの大きさがネックになっていると疑われるような結果も見られる。これについては、16GB搭載機を入手できた時点で、改めて検証して報告したいと考えている。

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