●HomePod miniのねらいどころ
99ドルという価格は、ほかの小型スマートスピーカーのほぼ倍の値段です。Amazon Echo Dotは2020年のブラックフライデーでも半額セールをやっていたので、4倍の価格とも言えます。実は、Amazon EchoもApple Musicに対応しており、Apple Musicを楽しむスマートスピーカーとして活用できるため、「手っ取り早く部屋にWi-Fiスピーカーを」ということであれば、Echo dotも良い選択肢になってしまいます。
アップルがそれでもHomePod miniに自信を見せるのは、オーディオ性能とiPhoneとのシンプルすぎる連携、そしてプライバシーではないでしょうか。
普段iPhoneを使っている人であれば、HomePod miniは何も設定しなくても次の予定を教えてくれます。面倒なアプリやスキルを入れる必要はありません。また音楽を聴きながら出先から帰ってきて、iPhoneをHomePod miniに近づければ、聴いていた音楽を室内でそのまま再生できます。
iPhoneで再生していた音楽をHomePod miniに移すと、ぐっと低音が豊かになり、自然な音で空間が満たされます。1台ではモノラル再生しかできませんが、それでも音の拡がりは小型スピーカーとは思えないほど。音量も十分にあり、音を大きくしても低音が破綻しない点も驚かされました。
こうした連携と音質の良さに加え、プライバシーです。アップルは「Hey Siri」以外の音声を聞き取らないとしており、音声アシスタントへのリクエストが暗号化処理される点を強調します。これまでiPhoneで築いてきたプライバシーに強いアップルというブランドを、家でも展開しようとしているのです。
こうしたポジション的な側面からHomePod miniを見てきましたが、次は、HomePod miniを構成するテクノロジーについて見ていきましょう。(後編につづく)
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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