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クレディセゾン、SOMPOシステムズがそれぞれの取り組み紹介、「Slack Tour Japan Online」講演レポート

SlackのROI=導入効果を数値化するための「3つの着眼点」

2020年12月01日 08時00分更新

文● 指田昌夫 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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SOMPOシステムズ 白羽氏:セクショナリズム打破に期待する

 続いて、SOMPOシステムズ 常務執行役員の白羽隆博氏が、同社のSlack導入の狙いについて説明した。同社はSOMPOグループの戦略的IT企業として、国内生損保事業、介護・ヘルスケア、海外保険事業などに必要な社内外のサービス開発を担う。

SOMPOシステムズ 常務執行役員の白羽隆浩氏

 同社がSlackに注目したのは2年以上前だった。レガシーシステムのコストが高く、情報が散在するなど組織の生産性が上げられない中で、Slackによってエンゲージメントを高め、生産性を改善することができるのではないかと期待し、小規模な導入を開始していた。

 だが、2020年のコロナ感染による強制的テレワーク移行によって、あらためて全社の潜在的な課題が浮き彫りになった。それは、メールや電話だけではリアルタイムに正しい情報を共有することが非常に難しいという形で表れた。さらにニューノーマルの働き方を考えると、環境の変化に対応したツールの導入が必要になった。そこで2020年9月、Slackの全社導入に踏み切った。

 同社では、Slack導入によって新たな企業文化への変革を目指している。白羽氏は、その変革を「セクショナリズムからコーポレーショニズムへのシフト」と説明し、その効果として円滑なコミュニケーションによる開発期間の短縮、コミュニケーションの活発化による会議時間の短縮、情報共有のロスタイム削減、業務可視化と適切な業務割り振りの実現などを挙げる。

 導入効果については、クレディセゾンと同様に「生産性」「エンゲージメント」「アジリティ」という3つの観点で、具体的に改善度を計測していく。生産性改善は、システム連携や自動化による業務自体の効率化や付随作業の簡素化、時間削減を、エンゲージメント改善は、一人ひとりのコンディション把握や全体的な変革による従業員満足度工場を、またアジリティ改善は、情報の一元化と共有スピード/質の向上により、業務プロセスの迅速化を図るものだ。

 この3軸について、生産性はメールの削減数/会議時間/会議室の空き状況/間接業務の低減など、エンゲージメントはアクティブユーザー数/メッセージ発信件数/パブリックチャンネルの投稿割合/従業員満足度など、そしてアジリティはリアクション・リプライのレスポンスなどを、それぞれ計測する。

 「たとえばメール削減は80%を目標にするなど、各項目で目標値を設定して活動していく。まだ始めたばかりで発展途上だが、導入効果をできるだけ定量的に見ていく」(白羽氏)

SOMPOシステムズにおけるSlack全社導入の狙いと導入効果。同社では狙いが達成できているかどうかを確認するために、細かな数値項目で効果を定量的に測定している

 全社導入からおよそ2カ月だが、すでにSlackの効果は出ているという。

 「今までコメントなどに積極的でなかった社員が、Slackの全社員チャンネルにメッセージを投稿している。また質問があるときも、従来は社内の担当者を探してその人に会いに行く必要があったが、Q&Aチャンネルに質問を入れると、担当でない人からも解答が返ってくるなど、活発に利用されている」(白羽氏)

 また会議時間の調整も、従来は参加者全員のスケジュールを開いて、そこから空き時間を探していたが、SlackとGoogle Workspace(旧称:G Suite)のAPI連携によって、自動で空き時間を探して会議のスケジュールを全員に通知することができる。

 「まだ導入2カ月だが、Slackは業務効率化とともに、コロナ禍で社員の安全確保、不安の解消に大きく貢献している。部門を超えたコミュニケーションも生まれ、セクショナリズムの解消も、徐々に進んでいる。最大の目的はコーポレーショニズムへの変革だが、Slackはそれを実現するツールだと思っている」

* * *

 クレディセゾンとSOMPOシステムズは、コミュニケーションという数値化しにくいテーマに対してしっかりと計測ポイントを設定し、Slackの効果を社内で共有している。それによって、ユーザーである社員も業務改善の効果を実感し、さらに利用が進む効果を生んでいるといえるだろう。

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