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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第119回

アップル新型「iPad Air」完璧に近いコンピュータ

2020年11月04日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●新しいTouch ID

 iPad Airに採用された新しいハードウェアは、Touch ID内蔵のトップボタンだ。Liquid Retina採用により、ディスプレイ面からホームボタンがなくなったことで、Touch IDを備える場所がなくなってしまった。そこで、活用しうるパーツとして、トップボタンに白羽の矢が当たった。

 トップボタンは、画面の点灯・消灯、電源ONなどの役割を果たしている。オールスクリーンのiPhoneやiPadは、画面に触れれば画面が点灯するし、Magic Keyboardと組み合わせて使う場合、iPadを閉じれば画面が消えるため、その役割はだんだん薄れつつあるが、Touch IDを内蔵する場所としては最適と考えたのかもしれない。

 Touch IDの元々の構造は、表面にサファイヤクリスタル、周囲を金属フレームとして指の設置を検出できるようにし、内部に指紋センサーを備える構造となっている。読み取った指紋データはプロセッサに保存される仕組みだ。

 トップボタンはiPad Proの1.5倍サイズに拡大されているが、形は細長い形状。ここに指を押し当てて指紋を登録する必要があるため、正円だったホームボタンに比べると、登録作業は若干しにくいと感じた。

 しかし一度登録してしまえば、360度どの方向で指を当ててもロック解除できる。登録の際は、指先をボタンの長辺に合わせて読み取らせるが、ロック解除の際にはボタンに対して直角に指を当てても、問題なく解除できるのだ。

 ただし左右の指での登録は必要だと感じた。筆者は多くの時間Magic Keyboardを装着して使っていたが、その場合トップボタンは左上に来るため、左手の人差し指で指紋登録が必要だ。しかしiPad Airを取り外して縦長に構える場合、トップボタンは右上に来るため、今度は右手の人差し指を使うことになるのだ。

 iPad Airを試す際は自宅の書斎やオフィスの個室などが多く、マスクをしていないシチュエーションばかり。iPad AirはFace IDではないので、指で解錠しなければならないのだが、つい画面を見たままロック解除を待ってしまうクセが抜けなかった。

 筆者が2年近くiPad Proユーザーだったため、Touch IDがわずらわしく感じる原因となった。コロナ禍とはいえ、指紋認証から顔認証に移行してしまったユーザーは、なかなか指紋認証に戻りがたいかもしれない。

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