巧みな機体操縦には“パワーの配分”が肝心
結局のところ本作の醍醐味は、タイ・ファイターやXウイングといった戦闘機を自身の手で操縦することで、スター・ウォーズの魅力的な世界にどっぷりと浸れる点に尽きる。すでに述べている通り全編VR対応なので、VRヘッドマウントディスプレー(VRHMD)を用意できるのであれば、機体の操縦とは別に首を動かすことで周囲の確認ができる。
これにより自分が本当にブリーフィングに参加していたり、コックピットに座っているかのような体験が可能だ。実際に筆者もVRでプレイしているが、ブリーフィングから機体に乗り込むまでの流れを体験すれば、モチベーションの上がらないファンはいないだろう。
ただしVRの場合、機体のコクピット部分の構造によって確保できる視界には大きな違いが出てくる。たとえばタイ・ファイターのコクピットは、ほぼ正面のみしか見られない設計のため、レーダーに多くを頼る必要がある。一方のXウイングは、前方と左右に視界が開けているため、ある程度自由に首を動かしての状況確認が可能だ。実際の戦闘ではわりと無視できない差ではあるのだが、そういった機体ごとの相違や不自由さを楽しめるのも本作の魅力と言えなくもない。
そして、普通にプレイするにしてもVRでプレイするにしても、機体を満足にコントロールするためにはある程度の習熟が必要になると思われる。スターファイターの操縦において、特に重要なのが“パワーの配分”だ。
それぞれのスターファイターは、状況によって「ウェポンパワー」「エンジンパワー」「シールドパワー(一部機体のみ)」を最大化、あるいは均一化することで、攻撃力や防御力を高めたり、高速で移動できたりする仕組みが搭載されている。パワー配分の切り替えはワンボタンで可能なため、単に速度をコントロールしたり、ブラスターを撃っているだけではなく、戦闘中にこまめに切り替えなければスターファイターのポテンシャルを最大限引き出せないのだ。
たとえば敵戦闘機とのドッグファイトを行なう場合、理想的なのは“武器の射程距離までエンジンパワー、あるいはシールドパワーを最大化して接近し、射程距離に入ったらウェポンパワーを最大化して攻撃、その後再びエンジンパワーを最大化して高速で離脱する”ような一連の流れだろう。これは慣れないと難しく、またどのような状況でパワーをどこに配分するかも、実際にプレイを重ねなければピンと来ない部分が大きいだろう。
“パワー配分”のシステムはかなり手間ではあるが、上手く使いこなせた時には“機体をコントロールできている”爽快感も並々ならぬものがある。たとえばスペースデブリが多いようなステージでは、スター・ウォーズらしい“障害物スレスレの飛行”が楽しめるが、そんなシーンで無数の残骸をうまく避けつつ敵をダメージなく撃破できれば、本作は実に楽しい。ステージのシチュエーションに関しては、ストーリーモードが実によくできているため、まずはストーリーモードで操作に慣れ、自信が付いたらオンラインで対戦、という流れのプレイがスムーズだろう。