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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第116回

来年には50ドル下げるか、100ドル下げるか:

Apple Watch SEは「iPhone 11」的ポジションにある

2020年10月12日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●マーケティング的には、「若者」狙い

 Apple Watch SEとApple Watch Series 6の違いとして大きいのが、心臓に関わる機能です。ここが、Apple Watch SEをマーケティング的な視点で見たときのターゲットを明確化する部分です。

 心拍計はApple Watchにおけるワークアウト計測の基本となっていることから、SEにも従来通りのものが搭載されます。しかし心電図、血中酸素飽和度の計測には対応しません。その点で、健康目的を重視してApple Watchを選ぶ年齢層ではないターゲットを強化しようという狙いが透けます。

 米国では、心疾患が死因の第1位で23.1%。ちなみに2位はガンで20%です。新型コロナウイルスが拡大している2020年は、死因でガンを上回る見通しですが、アップルとしては死因第1位の心疾患の早期発見や、緊急時の通報手段を確保する事によって「命を救うデバイス」「健康を守るデバイス」という成果を早く挙げたいところでしょう。

 もちろん20代も心疾患と無縁ではありませんし、すべての若者が自分の心臓の様子に興味を持たないとは言いません。しかしそういう機能はいらないから最新デザインのApple Watchをできるだけ安く手に入れたい、というニーズに応えられていなかったことも事実です。

 そこでApple Watch SEは、心臓に関する2つの健康機能と常時点灯ディスプレーを削り、価格を3割ほどおさえた製品という形で登場しました。最も価格をおさえて併売中のSeries 3は、2017年までの旧デザイン。Apple Watch SEがSeries 4以降採用された新デザインであることもまた、若者をターゲットにする意味では絶対外せない条件だった、と考えられます。

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