マスク顔に最適化するための3つの技術
今回の新エンジンによるマスク対応の強化では、3つの技術を活用している。
ひとつめは、AIを活用した新技術により、マスク着用顔を精度よく検出する顔検出精度の向上だ。「顔の表面が隠れていたり、様々な種類のマスクをしていても、マスクをしていることを認識し、マスクをした顔を検出し、処理を行うことになる。かつては白いマスクばかりだったが、最近では様々な色や柄をデザインしたマスクもある。各種マスクに対応できた点も重要な要素である」とする。
2つめは、限定された領域からでも本人の特徴を捉えて照合する顔照合精度の向上である。「マスクをすると面積では3分の2ほど隠れてしまう。かつては、鼻の部分を出した着用も多かったが、コロナ禍では鼻まで隠してマスクをする人がほとんどである。鼻を隠しても照合できることが大切である」という。ここでは目の部分を中心に照合を行うため、「顔で認証するというよりも、目の部分だけで認証を行っている技術ともいえる」とする。
そして、3つめが、マスクの有無に応じた最良の照合方法を選択する照合方法の最適化だ。マスク非着用時は全顔領域で照合し、マスク着用時は限定領域で照合できるようにするために開発した新たな認証技術に切り替えて、照合する仕組みとしている。これにより、マスク着用者と非着用者が混在しても、高精度な認証を実現したという。
「顔認証は、目、鼻、口などの位置や形、大きさをはじめ、さまざまな特徴点を抽出して、照合を行うが、新たに開発したマスク対応顔認証技術のエンジンは、マスクで覆われていない目の周辺に重点を置いて特徴点を抽出して照合する。目の部分の解像度を高め、詳細に判断できるような工夫もしている。
この結果、限定された顔領域のみでも、高精度な顔認証を実現した。社内評価で99.9%という高い認証精度を達成し、1対1認証において、10万回に1回だけ他人を受け入れてしまうという高い水準となったことで、今回発表に踏み切った。なるべく早く使ってもらうことを目指した映像分析基盤や、複数の生体情報を活用するBio-IDiom Servicesなどを通じて、10月上旬から順次、この技術を提供していく」と説明した。
なお、マスクが着用していなくても、着用していても、いずれも1秒以内で認証することができるという。
同社では、企業や教育機関、公共施設、商業施設、イベント会場、テーマパークなど、人が密集する場所での入退システムをはじめ、感染症拡大の抑制を支援するソリューションとして提供することで、ニューノーマルにおける経済活動の継続に貢献したいとしている。