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5つのテクノロジートレンドを掲げる「テクノロジービジョン 2020」、コロナ禍を受けアップデート

「企業が『テック・クラッシュ』を乗り切るには」アクセンチュアが提言

2020年08月20日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 アクセンチュアは2020年8月5日、テクノロジートレンドに関する年次調査レポート「アクセンチュア テクノロジービジョン(Technology Vision)2020」に関する記者説明会を行った。

 アクセンチュアでは今年2月に同レポートを発表していたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が与えるインパクトなどをふまえ、今回これをアップデートした。「企業が考えるべきは、いかに速やかに行動できるかである。新たな現実、喫緊の課題に照らし、アクセンチュアはテクノロジービジョン2020のトレンドを見直し、ポスト・コロナの世界で、人や事業にどのような影響があるかを考察した」としている。

「アクセンチュア テクノロジービジョン 2020」が掲げる5つのテクノロジートレンド

アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ日本統括 マネジング・ディレクターの山根圭輔氏

“新しい生活者”と“古い企業”のギャップが招く「テック・クラッシュ」

 アップデート版レポートは「ポスト・コロナ時代に、企業が『テック・クラッシュ』を乗り切るには」と題して、同社が予見する「テック・クラッシュ」を今後の重要なテーマと位置づける。その一方で、今後3年間でビジネスに大きな影響をもたらすテクノロジートレンドとして、「体験の中の私(The I in Experience)」「AIと私(AI and Me)」「Smart Thingsのジレンマ(The Dilemma of Smart Things)」「解き放たれるロボット(Robots in the Wild)」「イノベーションのDNA(Innovation DNA)」の5つを掲げている。

 アクセンチュアが重要なテーマと考えるテック・クラッシュとは何か。アクセンチュアの山根圭輔氏は、企業側で続く古いテクノロジー活用スタイルと先進的な生活スタイルの間にあるギャップが生み出す、“企業に対する生活者からの信頼喪失”だと説明する。

 「テクノロジーが生活に溶け込み、欠かせない存在になっているにも関わらず、企業は、企業視点での『選択』や『囲い込み』といった狭いエコシステムの中で『既存業務の効率化手段』としてしかテクノロジーを捉えていない。企業が提供するテクノロジーが古いことが問題なのではなく、企業側の古いスタイル(テクノロジーの捉え方)と、先進的な生活者のスタイルの間にあるそのギャップが、テック・クラッシュを生み出す。言い換えれば、企業側が提供するサービスに対して生活者が信頼をおけない状況を指す。企業側は『顧客中心のテクノロジー』を再考していく必要があり、ポスト・デジタル時代にはそれが急務になっている」(山根氏)

新しい生活者と古い企業の意識差=ギャップが「テック・クラッシュ」を生むと指摘

 そのためには、あらゆる企業がビジネスの核にテクノロジーを融合した「テクノロジー企業」になることが前提であり、あらゆるCEOもテクノロジーを企業の核に融合して考える、いわばテクノロジー思考を持つ「テクノロジーCEO」にならなければならないと、山根氏は指摘する。「個人的な意見だが、任天堂の前社長である岩田聡氏は『テクノロジーCEO』と呼べる人物だったと言えるだろう」(山根氏)。

生活者は企業主導のパーソナライズに懐疑的、「顧客との共創」こそ重要

 続いて、レポートが掲げる「5つのテクノロジートレンド」について、事例をまじえながら、新型コロナウイルスの影響などもふまえて説明を行った。

 「体験の中の私(The I in Experience)」は、一人ひとりにあわせたサービスや製品の選択肢を提供するというものだ。ただし、生活者には“ライブ感”があり、自分向けだと感じる体験には好意的だが、企業から(一方的に)提示されるパーソナライゼーションには懐疑的だと語る。山根氏は、「企業は『顧客への提供』から『顧客との共創』というスタンスに変わることがポイントだ」と指摘する。

生活者の多くは自分向けにカスタマイズされる体験に好意的。ただし、企業主導のパーソナライズには懐疑的な姿勢も持つ

顧客自身が能動的に意思決定した(と感じさせる)体験をサービスに組み込む仕組みが必要

 たとえばネットフリックスでは、ゲームプログラミング言語「Twine」を使ってマルチエンディングドラマを制作している。視聴者に主人公の行動を選択させることで、ストーリーを複数に分岐させ、その選択肢に応じたエンディングを提供することができる。またマクドナルドでは、気温や時間帯、注文履歴といったデータに基づくパーソナライゼーションに加えて、現場の状況を踏まえ、従業員がメニューを切り替えることで「顧客体験を共創する」仕組みを導入しているという。

 また、新型コロナウイルスの影響によって「新たなパーソナライズ提案」が始まっていることも例示した。たとえばサザンオールスターズが横浜アリーナでの「無観客ライブ」を開催し、18万人がチケットを購入して6億5000万円の売上げを達成するなど「オンラインを前提とした新たな体験の提供」が各方面で始まっていること、ブレスレットに触るだけでペアリングされた相手のブレスレットに振動が伝わり、離れていてもお互いを感じられる「タッチの仮想化提案」などを挙げる。

 「生活者はデジタルを前提とした“新たな生活様式”へと急速に移行したが、企業側はその追随に苦労している。企業は、新型コロナウイルスによる生活者の変化を捉えたパーソナライゼーションを再考する必要がある。また長期的には、パーソナライズに加えて、企業と生活者が“協働でサービスを創り上げる体験”が重要になる」(山根氏)

新型コロナウイルスの影響により、新たなパーソナライズの提案も始まっている

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