コロナ禍に乗じた“経費削減”施策ではない
富士通が発表したこれらの新たな働き方は「オフィス半減」「通勤定期券代の廃止」といった言葉が話題を集め、同時にコスト削減につながる施策との見方も出た。
富士通の時田隆仁社長は、「オフィス半減が前面に出てしまい、我々の意図と違って、残念なところがある」と話す。
2022年度末までにオフィスを半減することについては、「結果として、半減までいくかどうかを精緻にみたわけではない」とし、通勤定期代廃止についても「場所を限らない限定しない働き方においては、通勤定期代を支給しないことにした。必要な交通費や出張旅費は、都度、精算する仕組みになる」と語る。
コストは減るかもしれないし、増えるかもしれない
そして、コスト削減効果については、「プラスもあれば、マイナスもある。コラボレーションスペースを作り、いままでのオフィスの在り方とは違うスペースを作る計画である。その結果、相殺して、コスト削減に効いた部分は、体験や経験をもとにしたソリューションづくりにあてていくことになる」とする。
緊急事態宣言や外出自粛要請もあり、テレワークが浸透した2020年度第1四半期(2020年4月~6月)は、「テレワークの実施や渡航制限などがあり、海外旅費がまったくなくなったり、イベントの取りやめ、ウェブ開催に移行したことなどにより、正直、コスト削減効果が出ている」(富士通 取締役執行役員専務/CFOの磯部武司氏)。
としながらも、「Work Life Shiftは、コスト削減を目的とした活動ではない。働き方を変え、生活の仕方を変えていくことを目的としている」とコメント。「確かに、定常的に使うオフィスのボリュームは半減を目指すが、その一方で、新たな働き方にあわせた投資も行っていく。通勤定期代の支給は廃止するが、在宅勤務のための環境整備費用補助金を支給するといったように、新たな働き方にあわせた形で、支出のバランスを変えていくことになる。出張旅費、海外旅費の削減効果はあるが、Work Life Shiftにおける新たな投資をセットで考え、働きやすくするための支出に振り分けていく」と語る。
この連載の記事
-
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ -
第580回
ビジネス
コンカーの第2章は始まるのか、SAPの生成AIを使って効率的な経費精算を -
第579回
ビジネス
AIの筋トレはいまから始めるべし、マイクロソフト津坂社長がCopilotの議論から得たもの -
第578回
ビジネス
大赤字からの再起はかるバルミューダ、その足掛かりは? -
第577回
ビジネス
日本の強さは量子力学におけるトンネル効果があるため、量子と出会い、広げよう - この連載の一覧へ