ワークスモバイルジャパンは6月30日、オンライントークイベント「会えなくても仕事が進む Episode1 休業を乗り越えた経営者に聞く、強い現場のつくり方」を開催した。オンラインで開催した本イベントの内容と登壇者のコメントを一部抜粋して紹介する。
モデレーターに、TECH.ASCII.jp編集長 大谷イビサ、トークゲストに、箱根で創業70年を迎える人気老舗旅館 和心亭豊月を経営する専務取締役 杉山 慎吾さんと、東京・長野・福岡に店舗を持つエステサロンを経営するアンジェラックス 最高人事責任者 CHRO 大杉 一真さんを招き、コロナ禍で会えない・離れた環境で働く仲間や顧客との距離感を埋めるコミュニケーション術、具体的な取り組み事例も交えて語ってもらった。
業界の課題(before コロナ)
杉山氏:働き手を確保するのが難しく、人に悩まされる離職率が高い業界だと感じています。
大杉氏:離職率が高く、情報管理や集客など、まだまだアナログでIT整備があまり進んでいません。
コロナ禍、休業中の顧客とのコミュニケーション
杉山氏:4月5月は、緊急事態宣言後にお店を閉めることにしました。売上集客が-95%~-85%に落ち込みましたが、再開に向けてお客様を迎える準備を進めました。
除菌対策はできる限りの対応を検討しました。ただし、お客様を菌のように扱うのはとても心苦しいことです。お客様を検温することも、非常に悩んだことの一つでした。
大杉氏:東京、福岡を除き、長野の店舗だけ営業し、売上は昨年比50%になりました。現状お客様が少しずつ戻ってきてくださっている状況ですが、そもそも、お客様と対面する商売であり、どうお客様を受け入れるのか非常に悩みました。お客様に自信を持って「来てください」と言えない状況の中で、リピーター様には「今お店はどういう状況なのか」を正直に、真摯な気持ちを込めて、直筆のお手紙を送りました。
コロナ禍、休業中の従業員とのコミュニケーション
杉山氏:シフト勤務のため、そもそも全社員が一斉に集まるタイミングは少ないです。ただ、従業員は会って話がしたい、会議をしたくてしょうがないと思っています。そのような状況で、経営陣としては理念の浸透、フローの共有、従業員の意見聴取など非常にコミュニケーションに時間がかかる課題を抱えていて、イントラや、グループウェアを検討していました。いくつか他のサービスを試した上で、休業が現実味を帯びてきたタイミングの2020年3月に「LINE WORKS」の導入を決定しました。
導入前に従業員から話を聞いてみたところ、経営陣と従業員で、業務で使用する連絡ツールの利用について感覚が違うことに驚きました。経営陣は、業務連絡など、プライベートと仕事の棲み分けをきちんとしなければと感じていましたが、従業員は、携帯の2台持ちなどは不便で、連絡や通知は都度で問題はなく、LINEのような手軽さを求めていました。
大杉氏:東京の従業員はほぼ自宅待機。一方で長野の店舗の従業員だけ働く状態でした。この不平等感をどうマネージメントするかが課題でした。実践した取り組みとしては、職業訓練として、オンライン研修を行いました。「LINE WORKS」での連絡は、トピックごとにトークを分けられるのが良く、細かくコミュニケーションをすることができます。なお、先の見えない状況下で会うことができず、離れている従業員の不安解消のため、定期的にオンラインで経営陣から状況とwithコロナの方針を共有し、距離感を埋めることができたと思います。
杉山氏:メッセージをより正確に伝え、納得感のある状態で従業員を同じベクトルに向かせるために、コミュニケーションを文字に残せることが非常に良かったです。日々のオペレーションに活用しながら、今後のサービス向上に活用できるナレッジをストックするために「LINE WORKS」を利用しています。
大杉氏:ITツールの導入において、従業員のリテラシーの問題もありました。幅広い年齢層の方が働いている中で、使い慣れたものでないと利用に抵抗感が生まれてしまいます。もちろん、プライベートは侵食したくない想いもある中で、LINEじゃなくてLINEっぽいもの、コミュニケーション活性化のため、スタンプが使えるものが良いと考えていました。業務連絡はもちろん、チームの勢いを可視化するものとしても、「LINE WORKS」を有効活用しています。
これからのコミュニケーション
大杉氏:リアルとオンラインはコミュニケーションの深さに違いがあります。従業員の絆は、迷惑をかけて、かけあってできるものだと思います。オンラインは良いところをアピールしやすいですが、自分のできないことや、失敗やダメなところを表現するのは難しい側面があると感じています。
杉山氏:我々の仕事は、最後はリアルコミュニケーションです。業界としても、オンラインのコミュニケーションで、できることはとことん挑戦して、最後の対面コミュニケーションに磨きをかけるのが大事だと感じています。そこに挑戦したい。現在、従業員の手書きの報告書はやめて、「LINE WORKS」のアンケート機能を使って情報蓄積に活かしたり、お客様が利用するお風呂の混雑状況を従業員に知らせるBot機能を連携させて清掃や準備をスムーズに行ったりして、お客様の満足度を上げる仕組みを作っているところです。
大杉氏:完全キャッシュレス、サブスクリプションを導入し、チェックインからお支払いまでスマートフォンで完結する、紙なしのフルデジタルなお店を新しくオープンしました。既存の店舗は、紙文化をすぐにオンラインに切り替えるのは難しく、今後チャレンジしていきたいと思っています。クラウドやITサービスを活用してオンラインの仕組みを構築し、最後の対面コミュニケーションと掛け合わせて、最高のサービスを提供していきます。
ワークスモバイルジャパンのウェブサイトにてアンジェラックス、ASCII.jp特設ページにて和心亭豊月へのインタビューを掲載している。
アンジェラックス https://line.worksmobile.com/jp/cases/angelux2020/
和心亭豊月 https://ascii.jp/elem/000/004/011/4011435/
「会えなくても仕事が進む!Episode2」を開催
8月6日17時30分より、「会えなくても仕事が進む!Episode2 LINE WORKSではじめる地域包括ケア時代の情報連携」と題して、医療・介護 業界のリーダーを招き、これからの地域包括ケアの働き方について実例を交えて紹介する。
「会えなくても仕事が進む!Episode2」
日時:2020年8月6日(木)17時30分~18時30分
場所:オンライン
登壇者:
・モデレーター TECH.ASCII.jp編集長 大谷 イビサ
・トークゲスト
GIFTED アクア薬局 代表取締役 加藤 信幸 氏
健育会 ひまわり在宅サポートグループ 在宅部長 若林 陽盛 氏
URL:https://www.linebrain.ai/lineaiday2020/