Calappa Gamesが手がけ、 PLAYISMが販売する「カニノケンカ -Fight Crab-」(以下、カニノケンカ)は、カニを操作して己の"ハサミ"をぶつけ合う3D格闘ゲームだ。23種類のカニが一同に集結し、相手をひっくり返す熾烈なケンカを繰り広げるのが特長。ただのネタゲーと思うなかれ、本作は神ゲーならぬ"カニゲー"といっても過言ではないのだ。
格闘ゲームの概念を覆すかもしれないカニノケンカ。本記事では、カニ同士のケンカに秘められた"旨味"について紹介する。
相手をひっくり返せば勝ち!
カニを題材にした斬新すぎる格闘ゲーム
格闘ゲームというと人間同士がお互いの肉体能力を発揮し、格闘の極みを示し合うイメージが強い。剣術や魔法を使う格闘ゲームも多々あるが、肉体的な闘いを生み出しているは"人間"という生き物の存在だ。各キャラクターの技を習得し、独自のコンボを構築する面白さ、いわば"人間による武芸"をゲーム内で極めることが、30年以上の歴史を持つ格闘ゲームの醍醐味といえるだろう。
だが、今回紹介するカニノケンカの主役は人間ではなく、カニだ。嗜好の一品として多くの人の舌を魅了するあのカニが、甲殻類の頂点を目指して競い合う。このコンセプトは格闘ゲームにしてはかなり斬新で、当然のことながらゲームファンの間で大きな話題を生むこととなった。6月27日、28日に開催されたインディーゲームの祭典「BitSummit Gaiden」にて、本イベント初のスポンサー賞「カップヌードル賞」を受賞したニュースは記憶に新しい。
カニノケンカは、ボタンとコマンドを組み合わせて技を編み出したり、技と技を組み合わせてコンボ技を決める従来の格闘ゲームと大きく異なる。その違いの1つとして、本作の操作はラジコンに近いことが挙げられる。
Xboxのコントローラーを例にすると、右スティックで右手を、左スティックで左手を上下左右に動かし、前に倒せばパンチが可能。RBで右手のハサミを、LBで左手のハサミを操り、敵の体を挟むことでガード不能のダメージを与えられる。これが本作における基本的な戦い方だ。そのほかにも、十字キーで移動、LBもしくはRB長押しでガード、Yボタンで壁登りなどの操作も可能となっている。
物理シミュレーションに基づいているため、重みのあるゆったりとした動きは実にカニらしい。いちおうダッシュもできるが、人間による武芸とくらべるとややスローペースに感じる。だが、格闘ゲームらしいスピーディーさを廃することでカニの挙動を忠実に再現すると同時に、読み合いや策を練る余地を与えることにも成功している。格闘ゲームが苦手な人でも楽しめるようになっているのがポイントだ。
もう1つの違いは、勝敗の条件である。我々がイメージしている格闘ゲームの場合、相手のHPを0まで削れば勝ちだが、冒頭でも述べたように、カニノケンカは相手をひっくり返せば勝利、ひっくり返されたら負けである。パンチなどで攻撃し、相手の耐久ゲージを一定数削るとひっくり返りやすくなる。ケージのパーセンテージが高ければ高いほど、その分勝機も高まる。だが、プロレスと同様、相手をダウンさせても3カウント以内に立ち上がったら再戦となる。完全に相手をひっくり返すまで、カニのケンカは終わらないのだ。
ハサミだけでなく、拳銃や刀、槍などといったありえない武器を装備できるのも本作の面白いところだ。まさか武器も使えるなんて夢にも思っていなかったが、プロレスのような娯楽的なバトルを楽しめるのがたまらない。左右のスティックで武器を振るなど、直観的な操作で相手のゲージを削っていく。ゆったりとした動きにより、最初は正確に当てるのが多少難しく感じた。だが、極めれば勝率も高まるので練習の甲斐はありそうだ。
そのほか、ダメージがたまると15秒間パワーアップする「ハイパーモード」や強力なビームを放つ「ハイパースキル」も発動できる。武器を使えるだけでも凄いのだが、まさか必殺技まで繰り出せるなんて驚きだ。本作で展開されるカニの武芸は、人知を超越するほどの凄みがあった。
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