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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第108回

アップルがいまイノベーションを起こしているのは環境対策だ

2020年07月31日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●Apple Silicon移行も無関係ではない

 環境対策は、単なるコストではありません。企業の本気の持続可能性を追求することであり、企業が存続する本能に直結しています。

 そして技術革新で最も注目される領域に取り組むことで、企業の価値を高めていくことにつながります。これは、グレタ演説で投資家が環境対策を怠る企業を無視する機運が出来上がったことで、決定的になりました。

 同時に、サプライヤーの間でも、激変が始まるかもしれません。

 カーボンニュートラル化では、日本のイビデンやソニーセミコンダクターソリューションズ、セイコーアドバンスといった企業が賛同し、その取り組みを加速させようとしています。世界では71のサプライヤーがこれに賛同しています。しかしすべてのサプライヤーというわけではありません。

 WWDC20ではMacプラットホームが、IntelチップからApple Siliconへ移行することが発表されましたが、前述のカーボンニュートラルを約束したサプライヤーの名前にIntelはなく、Apple Siliconを製造する台湾のTSMCは、きちんとリストに入っています。

 もちろん、Apple Siliconの待機・低負荷時の省電力性はIntelチップを大きく上回っており、電池の容量などの電源周りの制限が存在するモバイルデバイスの高度化のための移行という見方も捨てるわけではありません。ただ、アップル製品に対して製品や組み立てを提供したければ、カーボンニュートラルを実現せよ、という強烈なメッセージとして受け取ったサプライヤーもいるのではないでしょうか。

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