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クルマとスマホをつなげるSDLアプリを作ろう! 第1回

今年度もSDLアプリコンテストを開催中! まずはSDLについて知ってみよう

スマートフォンと車をつなぐSDL規格。その魅力とは!?

2020年07月13日 09時00分更新

文● 田中 雅也 編集●藤井 創

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 自分がもっているスマートフォンと車がシームレスにつながる――もうすでにそんな時代に突入していますが、その一歩先として、“自分が作ったアプリ”が車とつながると、そこにはどんな世界が待っているのでしょうか? そんな夢のようなことを可能にする規格が「SDL」です。ここではまず、SDLとは何なのかを解説します。

世界中の自動車メーカーなどが参加するSDL規格とは

SDLコンソーシアム Webサイト(https://smartdevicelink.com/)

 スマートデバイスリンク(以下、SDL)は、スマホと、カーナビなどの車載器をつなぐ規格のひとつです。似たような規格としてAndroid AutoCar Playなどがありますが、SDLは、世界中の自動車メーカーや車載器メーカー、ソフトウェア会社、アプリ事業者などが参加している「SDLコンソーシアム」が規格を主導しています。

 日本でも2017年に「SDLコンソーシアム日本分科会」が設立されました。そして2019年には、SDL対応車載機を搭載した車や対応アプリが、続々と登場しました。

なぜスマホをつなぐ必要があるのか

車載機と接続したスマートフォン(出典:トヨタモビリティ東京株式会社のWebサイトより)

 いまやカーナビも音楽も、すべてスマホだけでも対応できるのに、なぜ車載器とつなぐ必要があるのでしょうか。いい音を車から出すため? 充電するため? いいえ、違います。運転中でも安全にスマホを使えるようにするためです。

 運転中にスマホを使うのは、そもそも道路交通法に違反します。それでも運転中にスマホを使って起きた事故、いわゆる「ながら運転」による事故は年々増えており、その件数はここ10年で約2倍になっています。運転中にスマホを使っている場合では、そうでないときに比べて、死亡事故の確率が2倍違うという数値も出ています(【参考】警視庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」)。  

 事故の増加を受け、2019年12月から、「ながら運転」の罰則が強化されました。今以上に、運転中にスマホを使わないことが求められています。

なぜSDLでつなぐと、安全で便利になるのか

 SDLでスマホと車をつなげば、直接スマホを触らなくても、車載器の画面をタッチすることでスマホを操作できます。SDLと連動する車やバイクであれば、コンソールやハンドルなどに装備されている物理的なスイッチやスピーカー、マイクが利用可能になります。これらを使えば、スマホや車載器にすら視線を合わせず、操作が可能になるでしょう(【参考】Ascii.jp「車・バイクとスマホを連携させるSDL規格の基礎知識」)。

運転中にスマホを見たり操作するのは、道路交通法違反。けれども、車載機に連動させれば、スマホを適法かつ安全に利用できる

SDLに対応している車なら、ハンドル上に設置されたボタン類や車載マイクなどを、アプリから入力装置として利用できる場合もある

 また車の速度やシフトレバー位置、シートベルトの装着状態といった「車両情報」も取得できるので、速度が出ているときは操作できないように制限をかけたり、シフトレバーがバックに入っているときは画面の色を変える、といった工夫もできるようになります。単なるスマホのアプリだけではできないことが、可能になるのです。

実はもう使える! SDLに対応する車が続々

 SDLを使ってみたくなりませんか? SDLが利用可能な車載器を搭載した車は、2019年から続々と登場しています。ここに搭載車の情報をまとめておきます。新しく車を購入された方なら、もしかしたらそのカーナビはSDLに対応しているかもしれません。
 

トヨタ自動車

カローラ ツーリング 特別仕様車 “2000 Limited”(9インチディスプレイオーディオ)

 T-Connectナビ 10インチモデル / T-Connectナビ 9インチモデル / T-Connectナビ(7インチモデル) / エントリーナビ(販売店装着オプションナビ〔18年9月以降モデル〕)、T-Connect SDナビゲーションシステム(標準装備・メーカーオプションナビ)、ディスプレイオーディオ / ライズ専用ディスプレイオーディオ(ディスプレイオーディオ)が対応しています。  

 販売時期や車種によっては使える機能に差があるようなので、ご注意ください。詳しくはこちらのWebサイトで確認してください。

【対応車種例】 
カローラスポーツ
カローラ
カローラツーリング
RAIZE
C-HR
カムリ
グランエース
アルファード
ヴェルファイア
ヤリス
クラウン
レクサス RX、RX L、RC、LC 


ダイハツ工業

ダイハツの9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ

 9インチスマホ連携ディスプレイオーディオが対応しています。詳しくはこちらで確認してください。

【対応車種】 
ロッキー

スズキ

ハスラーの9インチメモリーナビゲーション

 全方位モニター付き9インチメモリーナビゲーションが対応しています。詳しくはこちらで確認してください。

【対応車種】 
ハスラー

今すぐ使えるアプリもある

 SDL対応のカーナビが搭載されたのに合わせて、SDL対応アプリも続々と登場しています。ここではアプリの一部を紹介します。
 

 • LINEカーナビ
 Clovaが搭載され、目的地検索、LINEの送受信、音楽再生も声で操作できるカーナビです。また、トヨタの純正カーナビと同じナビエンジンが使われているため、性格な到着時間と走りやすい道を案内してくれます。
カーナビタイム
 スマホの機能がそのままSDL対応車載器に最適化され、ボタンなどが押しやすくなっています。事前に自宅でルート案内を開始しておけば、車に乗ってSDLでつなぐだけですぐに出発できます。
Yahoo!カーナビ
 Yahoo!カーナビを車載器の大きな画面で表示できます。2019年11月時点において、ダイハツコネクト対応車で利用できるようです。
LINE MUSIC
au うたパス
radiko auto

ほしいアプリがない? だったら作ってみよう  

 アプリや使える環境が増えてきましたが、自分の使いたいものは少ないかも……。もしそう思ったら、ほしいアプリを自分で作ってみましょう。SDLは、開発用SDKや実行用の動作環境も用意されています。Android AutoCar Playと違い、OSによる縛りはありません。AndroidとiOSのどちらの環境でも対応するアプリケーションを作成できます。サンプルコードも公開されてるので、すぐに始められます(【参考】GitHub:iOSのサンプル、Androidのサンプル)。

実行環境を知ろう

 SDLは、オープンソースのため、実行環境も自分で構築できます。自分で構築すれば最新の環境をすぐに利用できたり、自分の好きなように手を加えることもできます。しかし、技術的な難易度は高く、すぐに利用するのは難しいでしょう。そこで今回は、簡単に利用できる2つの実行環境を紹介します。ちなみに、自分で環境から作ってみたいという方はこちらを参考にしてください。

Manticore

Manticoreの画面。左下にコード、左上に車載機に表示される画面、右が各種のパラメーターの操作画面だ

 Manticore(マンティコア)は、SDLが提供しているクラウドベースのデバイスシミュレーターです。SDLのアカウントを作る必要はありますが、ボタン1つで利用できます。

 ただし、Manticoreはボタンやテキスト文字、画像などを決まった場所に表示できる「テンプレート表示」に対応していますが、LINEカーナビのような、画面を自由に作成できる「プロジェクションモード」には、残念ながら対応していません。車両情報の操作は、マウスの操作で簡単に利用できます。とっかかりとして最初に開発するには、一番使いやすいシミュレーターだと思います。

【メリット】
• ブラウザがあれば利用可能
• すべての車両データをシミュレート可能

【デメリット】
 • プロジェクションモードに非対応


 SDLBOOTCAMP

SDLBOOTCAMPは、Raspberry Pi3上で動作するシミュレーター。タッチパネルとRaspberry Pi3が必要だが、SDLBOOTCAMPのソフトウェアは無償で利用できる

 SDLBOOTCAMP(SDLブートキャンプ)は、自由な画面が作れる「プロジェクションモード」が利用できるシミュレーターです。カーナビのようなアプリを作りたい場合は、こちらの環境を利用するといいでしょう。

【メリット】
 • プロジェクションモードで作れる

【デメリット】
• Raspberry Pi3などの機器が必要
• 不具合があり、動作が不安定
• バージョンが少し古い

 それぞれ一長一短がありますが、自分が作りたいアプリにあった環境を選びましょう。


ManticoreとSDLBOOTCAMPの比較

 本連載では、今後ManticoreやSDLBOOTCAMPを用いた開発方法についての記事も公開予定なので、ぜひ参考にしてください。
 

アプリを作ったらコンテストに応募しよう

SDLアプリコンテスト2019の表彰式。グランプリには賞金50万円と、副賞として電動バイクを贈呈

 「スマートフォンとクルマをなかよくする」をテーマに、SDLアプリコンテスト実行委員会が主催するSDLアプリコンテストが、今年度も実施中です。今回でなんと3回目! いいアプリができあがったら、ぜひ応募してみてください。

• 第一回 グランプリ作品
インスタ映えするバイクのライディング写真を撮影してもらう「Instaride」 https://ascii.jp/elem/000/001/936/1936948/

• 第二回 グランプリ作品
安全確認作業を点数かする「優良ドライバーチェッカー」 https://ascii.jp/elem/000/001/984/1984013/

 

「クルマとスマホをなかよくする SDLアプリコンテスト2020」

主催:SDLアプリコンテスト実行委員会(事務局:角川アスキー総合研究所)
協力:SDLコンソーシアム日本分科会
応募締切:2020年11月4日(水)24:00
募集内容:エミュレーターか開発キット上で開発したSDL対応アプリ(既存アプリのSDL対応、新規開発)
募集対象:年齢、性別、国籍等不問。個人・チームどちらでも応募可
応募方法:プレゼンシートと動作解説動画をWebフォームで応募
審査:審査員が新規性、UX・デザイン、実装の巧みさ等で評価
最終審査会:2020年12月上旬、東京都内で開催予定
グランプリ:賞金50万円+副賞
特別賞(最大5作品):賞金各10万円
公式サイト:http://sdl-contest.com/

8月1日・2日にオンラインハッカソン、および事前ハンズオンを実施!!

本コンテストへの応募をサポートするために、8月1日・2日にSDLアプリ開発のオンラインハッカソンを開催!

 さらに、連動した事前ハンズオンを7月21日・28日に実施します。詳細は、「スマホとクルマをつなぐSDL対応アプリを作る(オンラインハッカソン)」をご覧ください。ぜひふるってご応募を!

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